来日中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は3日、東京の日本外国特派員協会で記者会見し、チベットの高度な自治獲得を目指し中国当局と対話してきた従来の穏健路線について「成果が見られず失敗だった」と述べた。今後については、インドで今月開く亡命チベット人の緊急会議に判断に委ねる考えを示すとともに、中国側の姿勢変化へ期待感もにじませた。
ダライ・ラマ側と中国当局の対話は02年に始まり、今年3月のチベット騒乱後、3回目の対話が現在、北京で行われている。
これまでの中国側の姿勢についてダライ・ラマは、何度か改善の兆しを見せながらもその都度、期待を裏切られたと指摘。「その間、チベット情勢は悪化するばかり。対話路線で事態が好転しないことに、チベット人の間で批判が強まっている。人々の判断を仰ぐのが私の務めだ」と述べた。
一方で「中国政府への信頼感はどんどん薄れている」としながらも「中国の人々を私は信頼している。中国の政治状況が変われば、合意には何日もかからない」と、対話による解決にも意欲を見せた。
73歳のダライ・ラマは先月、胆石の摘出手術を受け、健康状態が心配されていたが、会見では前半30分間を立ったままでこなし、冗談を連発するなど健在ぶりを示した。