政局2008
越年覚悟で景気優先
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【今日の読み物(スコープなど)】スコープ 『道路財源から地方へ』 1兆円めぐり 政府内綱引き2008年11月3日 紙面から 道路特定財源の一般財源化をめぐり、政府・与党内で新たな綱引きが始まっている。麻生太郎首相が追加経済対策の一環で、「一般財源化に際し、一兆円を地方に回す」との方針を表明したのがきっかけで、現行の交付金七千億円プラス一兆円か、総額一兆円かで、意見が割れている。 (篠ケ瀬祐司) 道路特定財源の国費分は約三・三兆円で、このうち七千億円は「地方道路整備臨時交付金」として、地方に配分されてきた。 これを念頭に鳩山邦夫総務相は十月三十一日の記者会見で、首相発言を踏まえ、今の交付金枠を維持した上、あらたに一兆円の計一・七兆円を地方に回すべきだと主張した。 自民党幹部の一人は「鳩山氏や総務省は、小泉政権下の『三位一体改革』で減った地方交付税の一部を取り戻すつもりではないか」と解説する。 これに対し、金子一義国土交通相は、一般財源化で七千億円を地方に配分している特定財源制度の仕組みはなくなるのだから、地方配分は一兆円と反論する。 道路特定財源が一般財源化すれば、これまで通りに道路建設費を確保するのは難しい。さらに一兆円を地方に回せば「国の道路建設費はなくなってしまう」(自民党幹部)との危機感がある。 与謝野馨経済財政担当相は二日のテレビ番組で「特定財源は一般財源にしたら溶ける(なくなる)。残るのは一兆円」と金子氏の反論を支持した。 もともと、福田康夫前首相は今年三月末に一般財源化方針を表明した際、「温暖化対策や救急医療の体制整備、少子化対策に使えるようにする」と使途にも言及し、環境省や厚生労働省などが新たな財源になる、と色めき立った。 麻生首相の「一兆円配分」発言によって、この綱引きに総務省が加わった格好で、複雑な戦いになっている。
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