Monday, 3 November, 2008

YouTubeの動画を埋め込むことで発生する著作権問題

7月 10日 at 3:20 pm by ジョナサン ベイリー -

著作権の侵害には複雑な問題が絡んでくる。正当な利用、著作物性、そして派生的な作品。これだけでも弁護士を混乱させるには十分だ。

しかし、「読む/書く」ウェブの時代が到来し、それに伴い、新たな問題が発生している。我々が他人のコンテンツを共有するようになるにつれて、著作権を侵害している可能性がある自分のコンテンツを使わないようにするだけではなく、他人が投稿したコンテンツの利用に関しても注意しなければならなくなったのだ。

YouTube(ユーチューブ)がいい例だ。ユーチューブには数百万本ものビデオクリップ、そして簡単に埋め込むためのツールが用意されており、自分のサイトやブログに動画を表示させるのが、かつてないほど手軽にできるようになった。しかし動画の中には著作権侵害の疑いがある作品が含まれていることを忘れてはいけない。

ここである疑問が浮かび上がる。埋め込んだクリップを投稿したサイトは、とりわけ著作権の侵害に気がつかなかったとしても、責任を負わなければならないのだろうか?

君の悪い予感は的中している。そのため、ユーチューブが好きなら、クリップを埋め込む前に、立ち止まって、よく考えてみる必要がある。

恐ろしき可能性

Lawgarithms(ローガリズム)のライターであり、またThis Week in Law(ディス・ウィーク・イン・ロー)でホストを務める、知的所有権のスペシャリスト、デニス・ハウエル弁護士によると、著作権を侵害するユーチューブのクリップを埋め込む際の問題点はとても単純だそうだ。

「著作権保護された作品を権利者の了解なしにサイトに組み込めば、責任を問われる可能性があります。」

つまり、著作権保護されている他人の作品から、サイトやブログがメリットを受けているため、責任を問われる可能性があるということだ。コンテンツが他の場所でホストされているかどうか、そして他の人が投稿していたかどうかは関係ない。

ハウエル弁護士曰く、クリップを埋め込んでいる張本人が侵害の有無に気づいているかどうかも関係ないようだ。これは最も頭の痛いところだ。「無実の、あるいは無知による侵害も確信犯と同様に違法扱いされてしまいます。」とのことだ。唯一の違いは、裁判沙汰になったときに原告が勝ち取れる金額の差である。それでも作品1点につき最高で30,000ドルも要求されることもある。

もうお分かりだろう。ユーチューブは無意識の侵害に対しても守ってはくれない。利用規約のセクション5-Gに、「ユーチューブは正確性、利便性、安全性、あるいはユーザーが投稿した作品または関連する著作権について如何なる責任を負いません。」と明記されている。

ハウエル弁護士が言うには、結局、ユーチューブのビデオを埋め込んでいるサイトを狙う権利者、とりわけ資金力のある権利者を止める術はないそうだ。もし権利保有者が、サイトのオーナーが違反金を払えるほど、あるいは和解に応じられるぐらい裕福だと判断すれば、狙われても何も文句を言うことはできない。

穏やかな現実

当然ながら、権利保有者が実際に訴訟に踏み切る可能性はとても低い。ハウエルも指摘しているように、ユーチューブは非常にしっかりしたDMCAポリシーを持っており、シンプルな通知一通で、ユーチューブ側から、そして実際にクリップを埋め込んでいるサイト側からも作品を取り下げることができる。

そして、実際に、訴訟に値する裕福なウェブマスターなどほとんど存在しない。通常、侵害の疑いのある作品が数百点にも及ぶRIAA(全米レコード協会)の訴訟でさえ、たった数千ドルで和解していることを考えれば、2、3本の動画に目くじらを立てて、ちっぽけなウェブマスターを訴える価値はない。とりわけ違反に無実の可能性が残されていればなおさらだ。

また、訴訟はPR戦略に悪影響を及ぼす可能性がある。RIAAが過去の法的戦略を蒸し返されている現実もあり、目立たないオプションが他にあるにも関わらず、たった1本のユーチューブの動画を巡って、著作権保有者がわざわざサイトを訴える可能性は低い。

結局、著作権を侵害しているユーチューブのクリップをサイトに埋め込むには、リスクを負わなければならないものの、最悪のシナリオが現実になる可能性は低い。権利保有者がDMCA通知状を提出し、ユーチューブが作品を取り下げ、数日後にクリップが動かなくなるという結末を辿るのが一般的だろう。

ストレスは溜まるかもしれないが、訴訟に持ち込まれるよりは遥かに望ましい。

予防措置

実際に訴えられる可能性は低いが、それでも今後の問題を避けるために、簡単な予防措置を取っておく価値はあるはずだ。

  1. 明らかに侵害している作品は埋め込まない: 有名なテレビ番組や映画の長いクリップは正当な利用とはかけ離れているため、サイトに埋め込むべきではない。著作権保護されていることを知らなかったなどと言い逃れすることはできない。現在狙われているのが、この種のコンテンツだ。
  2. 公式チャンネルから埋め込む: CBS等の多くの著作権保有者は、埋め込みを認めている公式ユーチューブチャンネルを用意している。こういったチャンネルのみから動画を埋め込んでいれば、今後の著作権問題を回避することができるだろう。
  3. 人気のあるアマチュアの動画に徹する: ユーチューブで人気のあるクリップの大部分はアマチュアが作成したものなので、これらのクリップを利用したほうが無難だ。万が一権利を侵害してしまっても、アマチュアレベルの権利者が訴訟に踏み切る可能性は低い。また、人気のあるブログを使っていれば、権利者から「特定される」危険性も低くなる。多くの場合、権利保有者が投稿したことから問題が発生しているのだ。
  4. コメントを残す: 通常、そのまま利用するよりも、少し形を変えて利用することで保護を受けることができる。ただ単にクリップを投稿するのではなく、何か一言加えよう。クリップに関するコメントや批評を加えたり、関連する問題に対して自分の意見を表明するのだ。侵害している事実を変えることはできないものの、クリップの著作権侵害が際どい場合、正当利用の判断材料としては抜群の効果を発揮する。
  5. 怪しいときは、埋め込まずにリンクを貼る: リンクを貼ったからといって確実に著作権侵害に対する訴訟を回避することができるというわけでない。しかし埋め込むよりは望ましいだろう。不安が残るなら、直接埋め込むのではなく、リンクを貼ることも考えよう。

上記のステップは所詮常識の範囲内ではあるが、それでも実行する価値はある。少なくとも、サイトの一部が動かなくなってしまうよりはマシだろう。

結論

ユーチューブのクリップをサイトに埋め込んだからといって、訴訟を気にしてびくびくする必要はない。たとえクリップが明らかに著作権を侵害していても、大抵の場合、権利保有者がDMCAを提出して、動かなくなるだけで終わる。法廷に持ち込まれる可能性は非常に低い。

それでも問題の重要性を考えると、リスクをできるだけ低減する対策を採っておくべきだろう。訴訟は、どんな理由であれ、一般市民にとっては計り知れない影響がある。そのため、2、3通りの適度な予防措置を取ることで今後の問題を避けることができるなら、実行に移す価値はあるはずだ。

権利保有者の多くは自分達のポリシーに対してある程度臨機応変に対応しているが、そうでない人達もいることを忘れはいけない。権利者が作品の誤った利用に対して、いつ「キレて」、過激なアクションを起こすかは誰にも分からないのだ。

著作権の判例、とりわけ最近の著作権の判例は上記のケースが多いので、避けることができるなら、被告席に座る羽目にならないように予防措置を取っておくべきだ。

ライター紹介: ジョナサン・ベイリーは盗用、コンテンツ盗作、そしてウェブの著作権問題をテーマに取り上げ、Plagiarism Today(プレジャリズム・トゥデイ)でブログを書いている。ジョナサンはコンテンツ盗作問題に対応するウェブマスターが正確な情報を集め、この変化の激しい分野で取り残されないようにこのブログを2005年に始めた。それ以来、コンサルティングサービスをウェブマスターや企業に提供し、彼らが現実的なコンテンツ保護戦略を考案できるように、そして効果的な著作権ポリシーを策定できるように支援している。ジョナサンは弁護士ではなく、彼が提供している情報も法的なアドバイスとして捉えるべきではない。

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