2008年10月17日
■誕生月のできごと。第２弾(10/16)
続いて、10/16(木)。
前日の10/15が息子の誕生日ということで、前の週末には友人達を招いての誕生会があり、今週は家族での誕生会の予定が当日は私達父母の都合が悪く、翌日の10/16になった。
「回らないお寿司屋さんに行ってみたい」
という息子のリクエストに答え、近所の喜久寿司に行った。
この店は私の生まれ育った頃から今日まで営々と続けておられる御寿司屋さんで、途中10年のブランクはあるもののずっとここに住んでいる私にとっては超馴染みの店なのだ。なのに成人式の日初めて家族で連れて行ってもらって以来一度も行ったことがなく、私自身もぜひ行きたいと思っていたのだった。
仕事終わりに家族とドッキングし、息子のプレゼントである“Wii Music”を買いに行く前、急遽御寿司屋さんに行くことが決まり、１時間後に行きますと予約を入れ、イトーヨーカドーへ。帰途、シャトレーゼでバースデーケーキを買い、御寿司屋さんに。
息子は、カウンターに座っていろいろ注文をしながら食べるイメージを持っていたようだが、常連でもない我々がいきなりカウンターもないだろうと、テーブル席に着いた。
女将さんに、まずは自己紹介。この地に住んでいること。父が大変にお世話になっていたこと。御寿司屋さんの息子さんの高校が私と同じで、やはり同じ担任だったW先生もこの御寿司屋さんに来ていると聞いていたこと。
などなど。
桶のお寿司を４つ頼んだ後、息子の好みのお寿司を追加。それから酒のアテとしてお任せで頼んだ。
桶で出てきたものは写真に撮ることも忘れてアッという間に平らげた。
その後の追加が出てきて、慌てて撮影。
お任せで出てきた牡蠣、絶品!!
写真はないが、青柳もこれまた、凄く美味しかった!!
イカゲソはサービスで出してくれた。
生ビールやジュースも頼んで、以上12,000円。家族全員、大満足のお寿司でした。
2008年10月12日
■誕生月のできごと。第１弾(10/11)
さっそくの嬉しかったこと。
もう２週間も前になるが、10/11(土)、東久留米のイトーヨーカドーに買い物に行った際、何気なく新星堂に立ち寄ると、ナ、ナント、浜田省吾DVD“MY FIRST LOVE”初回限定版があった。このDVDは、この春に発売されたもので、このタイトルのアルバムがリリースされた2005年以降から昨年までのライブツアーの模様を収めたものだ。
昨年末にDVDの発売が発表されたものの、最近とみに物欲が薄れ、心から熱望するほど楽しみでもなかったが、浜省のDVDにはちょっとした思い出があった。母が身罷る闘病中、浜省はライブツアーをしていて、その模様などを含めた展示会が母の死後しばらくして銀座のヤマハであった。
鬱々とした気持ち転換したく弟に誘われてそれを観にいった。そんなことで簡単に気分転換ができるほどシンプルな精神構造をしていない私だったが、意外と晴れ行く気分があり、その際、過去にVHSで出ていた浜省のDVDも買った。そんなことがあり、浜省のDVDはちっょとバカにできないのだ。
そしてまた、昨年末から今年の初めにかけて職場での減棒などがあり、やはりこのDVDの発売を心の隅で気分転換のきっかけへと期待もあった。
しかし実際発売されてみると、我が家の緊縮財政の折でもあったり、今年がそれほど悪い年でもなかったりと、購入を見合わせたのだった。
初回限定の特典はあきらめ、わが身の境遇がこのDVDを買える様になったら買おうと決めたこの春だった。
その後、苦節半年(笑)。やっと、この12,800円のDVDを買った。しかも初回限定の特典付で。このDVDを観れるということよりも、堂々と買える境涯になったということが何よりも嬉しい。
2008年10月11日
＃お腹召しませ
これまた久しぶりの浅田次郎だった。
どれくらい久しぶりだったかというと今年の6/2「霧笛荘夜話」以来だから、4ヶ月半ぶりとなる。その間、圧倒的に藤沢周平を読んでおり、宮本輝を2冊。それらを挟んでみると、ちょっと内容的に物足りなさを覚えてしまう。
この本は「五郎治殿御始末」の続編とも言える幕末もの。
表題作である「お腹召しませ」を始め、どれも面白いって言ゃあ面白いのだが、冒頭言ったとおり、物足りなさは否めない。
とは言え、ちっょと小腹が空いた時に食べるおやつ感覚で読むには格好の短編集だ。
「お腹召しませ」
「大手三之御門御与力様失踪事件之顛末」
「安藝守様御難事」
「女敵討」
「江戸残念孝」
「御鷹狩」
2008年10月10日
＃にぎやかな天地(上・下)
久しぶりに読んだ宮本輝だ。この本の下巻はずいぶん前にBOOK OFFで100円で買っていたのだが、なかなか上巻が入手できずにいた。そして先日の上杉本を読み終え一段落ついたところで、どうしても宮本輝を読みたかったので、正規の価格で購入し読み始めた。
この本の主人公は、少数部数限定の豪華本を編集出版するフリーのエディターで、定期的に仕事を振ってくれる資産家のパトロンから、日本の発酵食品全集の発行を依頼されるところから始まる。
小説のテーマに使われている「発酵食品」―漬物や酢など、というのもとても示唆に富んでいて、氏もあとがきで触れているが、
肉眼では見えないものの存在を信じ、時間というものの持つ力を信じなければ、昔ながらの伝統と技法を守って味噌や醤油や酒や酢や鰹節を造りつづけることはできない。こうして人は漬物のように時間によって熟成され成長していく。技術であれ、人間形成であれ、はたまた人間同士のつながりにしても何でも即席(インスタント)で出来上がって行くものではないということだ。
発酵食品に限っても、いいものを造るためには時間がかかる。それなのに、私たちは、失敗や挫折や災厄からあまりにも早急に抜け出そうとして心を病んでいく。
さすがに宮本輝で、いろいろ勉強になること、考えさせられることが多かった。
特に赤鉛筆でマーカーをしたところをアップしておきます。
先ほどの時間ということに関して
何事も時間というものが必要なのだ。いまの世の中は、時間をかけていない、拙速なものだらけだ。いかなる先端の技術をもってしても、この時間というものだけは短縮できない。時間が作りだす絶妙な作用は、金でも技術でも高尚な理論でも獲得することはできないのだ。
人間の本性について、そしてつき合う人を選ぶ
(アラビアンナイトの話から)…王さまに毎晩おもしろい物語を聞かせてる聡明な女に、ある男が意地悪な質問を浴びせかけるんや。その質問のなかに『不治の病とは何か』っちゅうのがあった。女は即座に答えるんや。悪い性格って…。
俺はそれ以来、悪い性格のやつとは絶対につき合わんぞって決めたんや。そんなやつと関わり合ったら、ひどい目に逢うどころか、こっちまで不治の病に冒されてしまうって…。
勇気について
誰かて臆病やねん。勇気ってのは、自然に湧いてけえへんよ、私、このごろ、それがわかってきてん。いつも勇気凛々なんて人間、いてへんわ。
(中略)
勇気は、自分のなかから力づくで、えいや! っと引きずり出す以外には、出しようがないねん。それ以外に、どんな方法もないねん。勇気を出そうと決めて、なにくそ、と自分で言い聞かせて、無理矢理、自分の心のなかから搾り出したら、どんなに弱い人間のなかからでも、勇気は出てくるねん。
そうやって必死で自分のなかから引きずり出した勇気っていうのは、その人が求めてなかった別のものも一緒につれて来るそうやねん。
それは、その人のなかに眠っていた思いも寄らん凄い智慧と、…この世の中のいろんなことを大きく思いやる心。このふたつが自然について来るそうやねん。
達人の共通点
「…一見気難しいそうで、臍(へそ)を曲げたら梃(てこ)でも動かん感じですけど、自分の専門とする分野については、こっちが恐縮するくらい丁寧に応対してくれはります。あの人たちの作るものには、あの人たちの人柄の力みたいなもんが反映されてるって気がするんです。それに、専門的なことを説明してくれる言葉がわかりやすいんです。たまにメタファのような語句も使いはるんですけど、そのメタファは生活に根ざしているから、分かりやすくて的確なんです」
「そうやねん、そのとおりやねん。わかりにくいことを言うやつっちゅうのは、結局は偽者やねん。無から有を生み出す仕事をしてる人間は、まわりくどい思考をしてる暇がないんや。具体的で普遍的なことしか役に立たんちゅうことを知ってるからや」
(中略)「…それとなあ、もうひとつあるんや。ええ仕事をする人に共通してるものが。…自分の仕事にうしろめたさがないんや。そやから、仕事に関しては、いつでも堂々としてられる」
ボスゴリラの話を通してのリーダー論。
…自分の群れのボスになるということは、その瞬間から『私(わたくし)』を捨てるということなんやろうなァ
2008年09月28日
■9/20(土)〜23(祝)
９月に入ってから公私共に仕事の量がもの凄く増え、慌しい毎日を送っている。いや、単純に量ということでもなくて、例えば仕事上のことで言えば、本来分担してやっていた業務をパートナーの出勤事情でその一切をやらねばならなくなった上に、今まで一切関わってこなかった分野の仕事までもやることになっている。
もちろん量が増えたことは大きな負担ではあるがそれ以上に、クリエイト性が要求される仕事だからアイデアがなければ仕事が進まない。もう、脳みそを搾り出すような毎日だ。しかし、そうしたことを招いているのは、私に頼まざるを得ないというやはりある意味、不測な事態であり特殊な事情によるものだ。
だとすれば、それは受けきっていくしかない。
平時は誰でも何でもできる。こうした不測な事態の時こそ、役に立つ人材として、自他共に鍛えられてきたはずだからだ。
イザという時に頼りにならなければ、役立たずと同じだ。
大変なのは私ばかりでなく、仕事を振るほうも同じなのだから、そんな時に頼りにしてくれて逆に感謝しなくてはならない。
台風が去った後の快晴は本当に心を清清しくさせるものだ。この日の台風一過は快晴とは言えなかったが、台風の巻き起こしたダイナミックな雲の動きをそのままに残した、それはそれで趣のあるものだった。
思わず職場の屋上から撮影した。
ほとんど頭がパニック状態の9月だっただけに、一服の清涼剤だった。
台風一過によって秋晴れの拡がる日の翌日9/21(日)、北区に行った帰途、お風呂の王様に行こうとしたが駐車場から混んでいたので、我が家から程近い風風ラーメンに行った。
ここのとんこつラーメンは本場博多とんこつのような細麺で私は大好きだ。そしてこのとんこつにとても合う小丼「パーコ丼」も頼んでみた。要するに鶏の唐揚げ丼だね。とても美味しかった。
いつもの塩ラーメンのヒロは今日はみそラーメンを食べていた。ちょっともらって食べてみたが、みそもとても美味しかった。
ということで、久しぶりに食べてみた訳だが、不味くはないが絶賛するほど美味い訳でもないなあ…。
食べながら、昨夜食べたおでんの味によく似ているなあと思い、家に帰ってからその残ったおでんをパスタにかけてみた。
…。
美味くない!? いやいや結構いける。
納豆パスタに続く、和風パスタだ。お試しあれ!!
2008年09月27日
＃密謀(上・下)
上杉謙信の後を継ぐ上杉景勝とその部下・直江兼続がいかにして関が原の戦いを迎えたのかを本能寺の変以後から追った小説。
藤沢作品にあって、史実をベースにした数少ない作品。
ここ最近、上杉鷹山ものが続いていて、そろそろ角度を変えてと、以前に買い置きしておいたこの本を読んでみたが、なんとこの本も上杉じゃないか!?
全く知らずに買ったと言うのも変な話だが、最近藤沢本を買う時は、中身は一切構わず、100円だったら端から買ってしまうという癖がついているのだ。
そもそも、上杉鷹山がなぜブームになったかと言えば、窮乏した藩を建て直したその端緒を開いたからだ。そしてそもそもなぜ米沢藩が窮乏したかと言えば、この関が原で西軍(石田側)についたからだ。もうひとつ、なぜ時代の流れを読み、一度は秀吉の軍門に屈した景勝・兼続が、やはり時代の趨勢を抑えていた家康の軍門に屈することを潔しとせず西軍についたかだ。歴史的な事実から既に様々な角度で語られている所だが、なぜ上杉景勝と直江兼続が西軍についたか、そこら辺の経緯を直江兼続の視点から物語られているのが本書だ。
タイトルから連想されるような内容は特になく、藤沢は関が原前夜の石田光成との謀議―つまり家康を会津に誘い出し、その間光成が大阪を襲い、家康を挟み撃ちにするという作戦を「密謀」としたのだろうが、小説の中でここの所特にウエイトを占めている訳でも、また新たな解釈が展開されている訳でもないから、タイトルに期待して読むと少し肩透かしに合う。
とは言え、上下巻に渡るこの長編小説は、読了後しっかりと満足できる内容となっているし、上杉家のその後とも言える「漆の実のみのる国」へと期待を持たせる意味でも、読み応えのある本だ。
天下人の座に座るには、自身欲望に首までつかって恥じず、ひとの心に棲む欲望を自在に操ることに長けている家康のような人物こそふさわしい。
2008年09月17日
＃上杉鷹山
本来、上下巻2冊のものを一冊にまとめた本なので、分厚くて大変に量のある本だった。
藤沢周平の鷹山ものから引き続いて、とりあえずはこの本で鷹山ものは一旦終わり。
藤沢周平の「漆の実のみのる国」と比べ、やはり文体そのものは藤沢の方が一枚も二枚も上。格式がある。
童門の文体は、ただ文章が平易ということだけではなく、やはりどこかビジネス書のような感じがある。箇条書きなんかも平気で出てくるし。
いずれの本も、鷹山の生涯という意味で、ストーリーそのものは大きく変わらないだけに、とても比較しやすくなっている。
藤沢の「漆の実の…」は、重定の時代から始まっており、しかも執政(前半は竹俣当綱、後半は莅戸善政)の視点で書かれているのに対し、童門の「上杉…」では、小姓の佐藤文四郎がキーパーソンとして書かれている。
「漆の実の…」では、鷹山もさることながら竹俣当綱という優れた行政官にもかなりの量を割き、政治家・鷹山と官僚・竹俣当綱のチームワークを描いている。また鷹山自身についても非常に客観的な描き方をしているが、「上杉…」ではかなりその人間性にまで言及しており、タイトル通り人間・鷹山がとても分かりやすく書かれている。
そう、本書「上杉…」では、為政者としてかくあるべしとして、民を主人とした民衆本位の鷹山のものの考え方を、様々な場面を通じて描いており、「漆の実の…」の書評でも書いたとおり、この時代にあって有り得ないほどの民に対する情の通わせ方が書かれている。ここら辺は脚色も当然
あろうかとは思うが、全編通じて溢れる鷹山のリーダーとしての人間性は、私の人生の師匠と仰ぐ方と酷似していて、読んでいて何の本か分からなくなるほどだった。
ところでこの二冊の鷹山本、どちらの本が先に世に出たのだろうか。
どうやら「漆の実の…」は藤沢の絶筆となっているから、1996年頃。かたや童門はそれより少し前に本書を出しているので、童門の方が先かと思ったら、1980年代に出された「逆軍の旗」の中の「幻にあらず」で鷹山のことを触れているから、藤沢の方が先ということになるのか。
鷹山を世に広めたのは、再三言う様に、明治27年にアメリカで出版された内村鑑三の『代表的日本人』である。
だから、日本よりもアメリカで先に鷹山は有名になったと言っていい。いつの時代も、優れた日本人は外国から先に評価されるものだ。
2008年09月11日
■9/７(日)〜
娘は午前のうちにメンバーとなっている鼓笛隊の出動を観に、町田まで行っていたので、昼食は3人で久しぶりにジョナサンへ行くことになった。
もともとこの外食は、月例の拠点清掃に私が参加した4年前から、当時小1の息子も一緒に参加しており、そのご褒美として終了後男二人でモーニングに行っていたもの。
いつもはドラえもん好きの息子のお気に入りCOCOSなのだが、先日ジョナサンの折り込みチラシに心を動かされた私が、息子の許可を得、奥さんも加えて行くことになった。
ここ竹丘のジョナサンは、若き日ずいぶん利用したお店だが、久しぶりに行ってみると雰囲気がかなり変わっていて驚いた。
三人三様違うものを頼んだが、写真に撮ったサラダ以外はそんなに美味しくなかった。本当はチラシに出ていた3種類のカレーをナンで食べるやつが目当てだったのに、それがなかったため、ラーメンを頼んだのがいけなかった。
仕方がない。
それから二軒、車屋を回る。この秋車検を迎えるマイカーは、かなり年季が入っていて、本当は前回の車検の時乗り換えたかったのだが、お金がなく断念したのだった。今回はミニバンがお目当て。しかしどれもピンとこず、冷やかしで帰った。
マックで3,000円以上頼むのは、これが最後としたいものだ。
9/10(水)、これから大忙しになるであろうことを見越して、身体のリフレッシュとばかりに、東久留米「お風呂の王様」に行った。私の仕事を終わりを待ってそのまま行くかと思いきや、娘の塾を待って19時過ぎに向かう。
やはり平日夜はガラガラだ。
一風呂浴びる前に食事食事。
ここの料理はなかなかどうしてバカにできない。息子はお子様ランチ。私は山菜そばに天ムス。
う〜ん、期待に違わず美味しい。
お腹をいっぱいにしたところで、お風呂へ。体重を量ると、68.8Kg。最近お腹がポッコリと出てきたのに、体重はそんなに増えていないのだね。
いいことだ。
サウナに入ると、今日はどういう訳かTVが民放のお笑い番組「はねるのトびら」をやっている。それを観たくて子どもたちが入れ替わり入ってくる。ある子どもはTVは観たいがあまりの暑さに耐え切れない。そこでサウナの扉を開け放しにして、その入口で立ち見をしている。
昔の銭湯だったら、湯船に水を入れようものなら近所の頑固親父に怒鳴られたものだが、今や見渡しても見知った人なぞ一人もいないし、そんな他人の子どもを怒ろうものら傷害事件になってしまう。
嫌な世の中になったものだ。
そんなこんなで、露天の寝湯(っていうのかは知らないが)で親子で夜空を見上げながらの入浴や、ギリギリまでサウナで我慢してから入る冷水は親子共々大好きなパターンだ。
明日は久しぶりの夜勤もあるし、しばらくは家族で遊ぶこともお預けになりそうだからと、ゆっくりすごした水曜日の夜でした。
2008年09月04日
■8/28(木)〜「そばのさか本」「すっぽんのすゞき」
食材やらゲーム雑貨やら諸々買い込んむと時間は昼時に。またしても「さか本」で食事をして帰ろうということになる。
前回店内の様子を撮れなかったので、今回はメニューがズラっと並んだ様子を撮ってみた。こんな感じです。
初めて来た時は、何のお店か分からずただの定食屋さんなのかと思っていたが、落ち着いて考えてみれば「おそば屋さん」なんだよね。そば系を中心に、うどんあり、ラーメンあり、丼物ありと。そうと分かれば何か注文もし易い。
とは言いつつ、今回も私が頼んだのは、ラーメン定食(もやしラーメンに半ライスだったかな?)。本当にラーメン系が大好きなのね。しかもこれで500円。実に美味しかった。
上司と栄養士さんが頼んだのは、天ぷらそば。これも見た目とても美味しそうだよね。実際、聞いてみたら、とても美味しかったそうだ。
店内は市場の関係者ばかりだったで、私達のように明らかに市場関係者ではなくしかも美人の女性連れはとても浮いていた。しかし、一般のお客さんでも全く問題はないお店なので、ぜひまた来たい。
当院一の独身美人ドクターを我が上司が飲みに誘い、そのご相伴に預かることとなった。私は基本的には若い女性ってあまり好きじゃない。こっちはいらぬ気を使うし、相手も私のような軽キャラには警戒心を露にするし。
まあ、行った先が私のお気に入りのお店だったので良しとしよう。
ここは上司がよく連れて行ってくれる「すっぽんのすゞき」。居酒屋感覚で行けるお店ではないから、こういう時でもなければ行けない。
しかしながらふぐは美味い。
三人で行って、コースを二人前頼み、あとは単品で数種類オーダー。特にふぐ皮は美味しくて、ふぐの刺身にも付いてきた他にも、一皿頼んだ。
写真中は「とらふぐ刺し」。ふぐ刺しの中央に「ふぐ皮」が。ふぐ刺しもこの弾力ある食感がたまらない。写真下は「ふぐちり」。ゼラチン状の皮の部分が堪らなく美味しい。
この後、このふぐちりにまずうどんを入れて、最後に雑炊にして完食。
しかし、「すっぽんのすゞき」なのに、「すっぽん」を食べたことは一度もないなあ。
2008年08月25日
■外食祭り―8/23〜
今回、私は例年になく全体的に関わることになり、この夏開拓した東久留米の市場に食材を求めて、8/23(土)買出しに出た。ここは本当に便利な所で、食材は野菜も肉も魚も乾物も何でもあるし、雑貨類や駄菓子類とそれこそ店頭価格の8割くらいで出ている。
ここは利用しない手はないね。
さて、一通り見た後もう昼近かったので、市場内にたった一軒の定食屋「おそば さか本」で同行した上司にご馳走になった。
市場自体もう古い建物だし、この食堂もかなり古く、店内もかなり達筆の手書き品書きがズラーッと貼られている。とても昭和な感じで、私はとてもお気に入りのお店だった。
何しろ、貼られている品書きがかなりの数なので、何を頼んでよいか分からず、その日のサービスメニュー「天丼と塩ラーメンセット \700」を頼んだ。胃の悪い私は日頃揚げ物は頼まないのだが、食後も胸焼けせず、とても美味しかった。
その晩は、私の住む団地の盆踊り。あいにくの雨でまたここ数日とても涼しくて、例年より人手は少なかった。
午後になり、子ども達が出払ってしまうと夫婦だけとなり、二人でブックオフへ行った。するとコミック半額セール中で、史実の苦手な家内を唆(そそのか)し「漫画・三国史 全25巻」10,000円を5,000円で購入した。横積みのままビニール梱包された本は、優に1メートルを超えており、担いで帰った。
その後、イトーヨーカドーでDSソフトの「漢検」と私のワイシャツを購入し、そろそろ終了となった長男を迎えに行った。
その晩は、長女のちょっとしたお祝い事があり、長女の希望でグラッチェに行った。
このお店は、値段的にも美味しさ的にもロケーション的にも、最高のイタリアンだ。
しかしここでもあいにく、数日前に頼んだ生牡蠣がこの日の朝クール宅急便で届き、夜食べることになっていたから、家内と私はなるべく少なめに満腹にならないよう最大限の注意を払いながら注文した。
写真は、上から「にんにくとトマトのスパゲッティ Lサイズ \700」、「イタ飯(挽肉ガーリックライス) \490」、「グラッチェコブサラダ \590」、「本格・ピッツァマルゲリータ \590」。子ども達はお子様ドリンクバー、家内はグラスビールを頼んだ。
発砲スチロールの箱を開けると部屋中に磯の香りが広がった。同梱されていた専用ナイフで牡蠣の蓋を開け、レモンを絞って、食べ始めた。
これは、かなり美味い!!
この牡蠣は、北海道厚岸漁業協同組合からネット通販で購入したもの。生でも大丈夫と書かれていたので買ってみた。
30ヶ4,000円。
大人たちが美味しそうに食べる様子を見て、満腹のはずの子ども達も食べたいと言い始めた。30ヶあるから全く構わない。また牡蠣を日本酒を浸したお皿に並べ、ラップをして、レンジで加熱して食べてみた。これも驚くほど美味い。
また何個か、牡蠣リゾットにしてみたが、これはちょっと味付けに問題があったらしく、今いちだった。
私はシャトレーゼの白ワインを飲みつつ。美味しい時間を過ごした。
今回のネットショッピングは大成功だった。
2008年08月23日
＃漆の実のみのる国(上・下)
上杉鷹山について史実に基づき書かれた小説。
この本は、やはり史実に基づいて書かれた短編小説で、先日読んだ藤沢作品「逆軍の旗」の中の「幻にあらず」に続いての上杉鷹山をテーマにした作品だ。時系列で言うと、「幻にあらず」を書いた後、内容的に満足が行かずまた藁科松伯の年齢も違っていたことなどから、新たに同テーマで挑んだらしい。
そして、奇しくもこの作品が藤沢周平の絶筆となり、そのためか終わり方が少々中途半端で、鷹山の藩政改革の成功が描かれずに終わっている。
解説によれば、あと原稿40枚を残すところで、体調が悪化し、40枚のうち4枚を書き上げ、そこで亡くなられたらしい。1997年のことだ。
そもそも上杉家は、関が原の戦いの折、上杉景勝の家臣である直江兼続が石田光成と懇意だったため石田方につき、関ヶ原の戦い後、120万から30万(なんと1/4!!)に減封され、越後から山形県の米沢に移封された。
しかし、120万石時代の家臣を一人も減らさずに減封に臨み、その後また家督相続の不手際から15万に半減されたにも関わらず、家臣団の人員はそのままだった。そのことから、非常に苦しい藩財政を余儀なくされた。
それに輪をかけて、名家としての誇りを捨てられず、格式にこだわるあまり財政はますます悪化の一途を辿ったという。
鷹山は第8代藩主・重定の養子として上杉家に入るが、この重定が舞踊を奨励するなど豪奢で華美な生活を好んでいたことから、いよいよ財政は立ち行かなくなった。その時に、藁科松伯や細井平州などから藩主としての教育を受け、もともと持っていた英才としての素養が開花していった。
この本は、そこら辺のあたりから始まる。
上巻では執政・竹俣当綱が守旧派との権力争いの中で、守旧派を粛清しなおかつ藩主・重定をも隠居に追い込み、救世主・治憲(後の鷹山)を藩主として迎える。
下巻では竹俣当綱の失脚、治憲の隠居、代が変わり頓挫した改革をかつて竹俣当綱を支えた莅戸善政に託し、再び改革への手腕を発揮していくというもの。
この本の良いところは、善玉、悪玉との二元論ではなく、上巻では主人公であった竹俣当綱もやがて自らの限界や傲慢な本性にこれでは民の上に立つ資格がないと自ら罪を犯し失脚していったり、功罪相半ばする人間を赤裸々に描いている。
そして、何と竹俣当綱や治憲などが人民のための政治ということを心に刻んでいたことかと、衝撃を受けた。むろん、封建制度のこの時代にあって主が従のことを第一に考えるなどという発想が信じられない。
であれば、その上で日本の自治体首長が最も理想とするリーダーに上杉鷹山を挙げているのは喜ばしいことだ。
にも関わらず、民を本とした政治の範が中々出てこないことは、その難しさを物語っているのだろう。
もし私が将来政治の道に進むことがあった時、感銘を受けた本のひとつとして挙げる本になるだろう。
伝国の辞（でんこくのじ）―鷹山が次期藩主・治広に家督を譲る際に申し渡した3条からなる藩主としての心得。
一、国家は先祖より子孫へ伝候国家にして我私すべき物にはこれ無く候
一、人民は国家に属したる人民にして我私すべき物にはこれ無く候
一、国家人民の為に立たる君にて君の為に立たる国家人民にはこれ無く候
右三条御遺念有るまじく候事
生せは生る 成さねは生らぬ 何事も 生らぬは人の 生さぬ生けり
してみせて 言って聞かせて させてみる
2008年08月15日
＃隠し剣孤影抄
いずれの作品も、先に読んだ「隠し剣秋風抄」同様、平凡な名もなき庶民の、または平凡なお父さんやお母さんたちの日常生活を舞台に、ただひとつ普通と違うのはそれぞれ「秘剣」を伝授されていて、その秘剣が時に助け、時に滅ぼすツールとして使われていることだ。
この秘剣の部分を除けば、睦まじいや忌み嫌うといったそれぞれに描かれる夫婦や男と女の描かれ方も、とても素敵だなあと思う。
人情アクション小説がちょっと続いたので、ここで一旦このシリーズから離れて、違うテーマの作品を読んでみよう。
「邪剣竜尾返し」
執拗に他流派へ試合を挑み自らの剣名を立てようとする男からの挑戦を拒み続けてきたが、自分の妻を抱かせるという卑劣な罠に落ち、とうとう試合を受けざるを得なくなったとある道場の後継者・絃之助。しかし相手は剣鬼とも言うべき強敵。病床にある父の編み出した秘伝の竜尾返しに頼るしかないが、病の父の発する言葉は言語にならなかった。ここで父を日夜介護する姉のみはその言語を理解し、間接的に弟・絃之助に伝える。果たしてその秘剣は会得できたのか!?
→悪役の女房はなぜにこんなに美貌なのか。この作品の悪役の女房はなかなかの妖艶でしかも好印象。
「臆病剣松風」
剣の達人であるという仲人の言葉で夫婦になったものの、夫は神経質で夜は自分の目で戸締りを確認せねば気が済まず、とある地震の時には我一人外へ飛び出し、街中を走り抜ける狂馬にも道を避けるほどの弱虫だった。
すっかり夫への愛情も冷め軽蔑の眼を向ける満江は、ある日、夫が若殿の警護の役目を仰せつかったと聞かされた。そのことを怯えながら話す夫に呆れ果てたが、実は夫は秘剣を伝授されたまぎれもない剣の達人だった。
→絶妙な夫婦の呼吸・力関係を描いた作品。
「暗殺剣虎ノ眼」
いくら相手が婚約者とはいえ、女性が結婚前に身体を許すものではない―。そんな気持ちと裏腹にめくるめく快楽の深淵に落ちていく志野。そんな折、藩の執政だった父が藩主の逆鱗に触れ、上意討ちに合う。
誰が父を殺めたのか。剣豪である兄は、暗闇の中での仕業に、夜眼の利く剣・虎ノ眼を伝える志野の婚約者でありやはり剣豪の太四郎を下手人と疑い、志野でさえも太四郎を疑わずにはおれない事実が浮かび上がってきた。兄は太四郎と御前試合の機会を得、遺恨を含み木刀で立ち会った。
その後、志野、太四郎とも別の人と結ばれ、数年がたった。ある日、志野は夫が子どもに夜眼に強くなる修行を施している様子を目撃してしまう。父を殺したの真犯人は…。
→軽薄な遊び人は藤沢作品にあっては、常に悪役だ。しかし短編とはいえ、ストーリーは単純には終わらない。本当に悪い奴は、そんなには目立たないものだというメッセージ。そしてまた、この話もエッチだった。
「必死剣鳥刺し」
藩主の寵愛を一身に受け藩政にまで口を出す藩主の愛妾を、まわりの義憤を受け殺めてしまった三左エ門は、一時は極刑まで覚悟したが、処分は寛大だった。ばかりか数年後には減収は元に戻されお側役を命じられた。
不可解ではあったが中老の津田の取り成しと藩主の寛大さに感謝しつつ、役務につく。そんな折、藩主の護衛を命じられる。そしてついに藩主を守る戦いが到来し、命からがら藩主を守ったが、実はそれは中老と藩主の仕組んだ罠だった。三左エ門は乱心して刃傷したと陥れられ、惨殺されたしまう。
→なかなかよく考えられたストーリーだ。残念ながら主人公は死んでしまうが、さすが藤沢周平、ただでは死なせない。「必死剣」とあるように死は必定ながらも、最後は相手も必ず倒す剣技。読者の溜飲をさげた。
この作品でのヒロインは、主人公・三左エ門の亡き妻の姪・里尾だ。出戻っていた里尾は、病に伏した妻の看病に同居していたが、妻が亡き後も実家には戻りづらくそのままだった。一線をこえる描写がとても奥ゆかしい。
里尾の将来を考え知人を紹介するが、里尾は拒み、そして「おじさまのそばにいたいのです。いつまでも」と告白されてしまう。その晩、
「…一人の女が、湯殿から帰ってくる気配を三左エ門は聞いた。しのびやかな足音が部屋の外の廊下を踏んで通り過ぎ、やがて奥の部屋で、かちりと襖がしまる音がした。三左エ門は静かに夜具を押しのけて立ち上がった」
たったこれだけで二人の間あった出来事を描いてしまう。その後は、もう翌朝の朝食の話になっている。
私はこういうエッチな書き方がとても好きです。
「隠し剣鬼ノ爪」
お旗組に勤める宗蔵は女中のきえと二人だけの暮らしだ。きえは宗蔵の亡き母の元へ行儀見習いのためにやってきた。しかし母が亡き今もそのまま勤めている。宗蔵は女中ではあるがたった一人の女性の同居人に特別な感情が芽生えている。そんな折、罪を得て入牢している古い剣友が脱牢して篭城、宗蔵を討手として指名していると知らされた。共に名の知れた剣豪。逡巡の中、その妻が夫を逃がしてほしいと訪ねてきた。その代償として自分の身体を差し出すと。眼を見張る美貌の妻。一瞬の迷い。しかし、宗蔵は断る。必死の妻はそれではと宗蔵の忌み嫌う上司の下へと向かう。
討手として役目を果たした後、件の妻と街中で出会った。やはりその妻はその後、夫の命を守るため上司に身をゆだねたと知った。しかし、結果は上司は何の力にもならなかった。
怒り心頭に発した宗蔵は、一切血を出さずどんな武器であったかも分からない秘剣・鬼ノ爪をもって堀を誅した。
→この作品のヒロインは女中・きえ。もともと好ましく思っていたし、宗蔵も若い盛りだから仕方がないが、帯を解きかけた美貌の人妻を断腸の思いで断ったすぐ後に、初めて主従の一線を越えるというのが微笑ましい。
この作品は、宗蔵を永瀬正敏 、きねを松たか子で映画化されている。
「女人剣さざ波」
姉が美人だったからその妹を嫁にもらったものの醜女だったと俊之助は妻に辛く当たり、外で遊び歩く。そんな俊之助に格好の役務が。飲み屋でされる用人の密談を探るため、藩費で飲み屋に通い、そこで再会した知人の女性ともできてしまう。けなげに夫を気遣いする妻のかいなくますます俊之助は妻に辛く当たる。その後、俊之助の密偵の成果で密談をしていた用人一味が根こそぎ処分された。しかし処分されたうちの一人から逆恨みされ果し合いを申し込まれる。剣は全く苦手な俊之助は日頃の威勢の良さはどこへやら妻に弱音を吐く。すると醜女の妻が夫の変わりに立ち会った。実は妻は秘剣さざ波を伝承された剣の達人だったのだ。
→これはとても含蓄のある話で、身につまされる人も多いことだろう(私ですが)。普段は辛く当たっているくせに、一朝有事の際はとても意気地がなく、妻の助けを必要とする。全国の奥さんたちの、胸のすくような話だ。
「悲運剣芦刈り」
亡き兄の妻、兄嫁と深い中になってしまった��次郎には、既に婚約者がいた。兄の逝去によって婚儀を一年延期していたが、その期限が来ても兄嫁は実家に戻らず、良心の呵責に苛まれながらも兄嫁との関係は続いていた。しかしそのことが婚約者の兄に知れ、これを公表すると脅された時、��次郎は婚約者の兄を殺めてしまった。進退窮まり出奔するもついに居所を突き止められ、討手に共に剣を磨いた親友がやってきた。��次郎には秘剣が伝授されている。親友は師匠からその秘剣を破るのヒントを得、ついに討ち果たす。
→この作品では主人公が悪役となり、討ち果たされる。兄嫁はこうした関係がこうした結末を招来することを予期しながらも関係を断つことができなかった。まあ、よくあるストーリーといえばそうだね。
「宿命剣鬼走り」
十太夫は、ある深夜、ただならぬ物音で家督を継いだばかりの息子が果し合いから戻ったこと知る。戻ったということは勝ったのだな。しかし息子は間もなく息を引き取った。尋常な果し合いでの結果であれば已む無しと、妻からの罵倒も甘んじて受ける。相手は政敵・帯刀の嫡子。死んだとは言え、息子は生きて帰ってきたのだから、当然相手は討ち果たしたのだろうと思いきや、実はかすり傷ひとつで生存しており、しかも同時刻に同場所で相手の取り巻き二名が死んでいた。これは騙まし討ちだ。罪を認め切腹をと迫る十太夫に、相手の父親・帯刀は、鼻であしらう。その後、家督は次男に移り平穏な日々が戻るも、末娘が心を寄せていた剣士の狼藉にともに出奔し討ち取られる。不幸は続き、家督を継いだ次男が、かつて兄を騙まし討ちにした帯刀の息子を打ち果たし、自害。とうとうすべての子供を失ってしまう。十太夫は妻を離縁し、家を手離し、帯刀と果し合いをし、昔授けられていたの秘剣・鬼走りを使い帯刀を討つが自害する。
→この作品はこの本の中で一番の出来といっていい(その次は「女人剣さざ波」かな)。短編とは思えぬほど深いし、ストーリー展開も予断を許さない。映画化するなら「鬼の爪」よりもこっちだろうと思う。
またヒロインは、あらすじには書かなかったが、かつて十太夫と帯刀が恋敵として争い、どちらにもつかず尼となった香信尼だ。
最後の果し合いの直前、十太夫、帯刀ともにその草庵を訪ね、今生最後の対面をする場面。
「今生の思い出に、一度私を抱きたいとそう申されました」
香信尼は断る。しかし、十太夫には
「おのぞみなら、満寿は拒みはしませぬ。むかしから、そのように心を決めていましたゆえ」
ところが、十太夫は抱けば香信尼は命を絶つだろうと、香信尼の手を柔らかくさするだけで抱きはしなかった。
十太夫も香信尼も四十後半か五十は過ぎているだろう年齢なのに、とても綺麗な描写になっている。
2008年08月12日
■8/9(土) 伊豆へ
8/8(金)仕事終わりにそのまま伊豆に行った。夏休みの旅行というよりも、ちょっとした所用があったため、ならばと家族で出かけたのだった。金曜の夜10時過ぎに着き、その後やはり共通の用を負っていた義妹の家族を待ち、一杯やって就寝。翌日は朝から午後2時頃まで所用がかかり、その後遅い昼ごはんを食べに海岸沿いまで降りて来た。
本当は地の食べ物を出してくれるレストランや食堂が良かったのだけど、時間も中途半端だったので、結局、以前も来たことのある伊東のデニーズにした。
何もここまで来てデニーズはないだろうと思うが、バカにできない美味しさで、昼飯としては上等な食事をした。
翌日は、せっかくの伊豆ということで今回も同行の義弟・キンちゃんのコーディネートで伊豆半島を南下し「下田海中水族館」に行った。子どもたちは、イルカショーにも出演、イルカたちに指示を出したり、手で餌をあげたりと大満足。帰途、白浜海岸で2時間あまり水遊び。キンちゃんの持ってきた大型のボートに子どもたちを乗せ、割と高めの波でジェットコースター気分を味わった。
大体私はこうしたレジャーに力を入れるほうではなく、また自分が子どもの頃も、親からこんなに凝ったレジャーを提供されたことはついぞなく育ったため、どこそこに来たからついでにもっと遊ぼうということは決してないのだが、キンちゃんはそうではなく、これでもかとばかりに様々な企画を提供してくれる。
そんなキンちゃんに感心しながらも、私の子どもたちがそれ(つまり親が楽しい企画を用意しやってくれること)に慣れてしまうことも恐れる。
社会にでれば楽しいことなど何一つやっては来ない。自分で考え、力を蓄え、実行しない限り、待っていても誰もやってはくれないのだ。
とは言え、子ども時代にしたこうした経験は、彼らの情操という意味では分り知れないし、こうした経験をすればこそ、人生の楽しみ方の幅が広がってもくる。つまりは人間として懐の大きさが増してくるのだろう。
何はともあれ、キンちゃんのコーディネートの恩恵には、子どもたちばかりではなく、かくいう私も預っているのだった。
午後3時過ぎ下田白浜海岸から北上し、網代のホテル「平鶴」で、夕食と温泉に。ここの刺身定食は、亡き義母がとても好きだったそうだ。私も結婚直前、夫婦で連れて来てもらったことがある思い出深い場所。夕食後、海岸を一望できる露天風呂に入り、午後8時過ぎに帰路についた。伊豆旅行のルートマップはこちら
2008年08月07日
＃隠し剣秋風抄
これもまた強烈に面白かった。
ジャンルで言えば「痛快アクションもの」と言ったところか。とは言えそこは藤沢作品、単純な斬った張ったのアクション物ではなく、庶民の生活をベースに描き、名もなき庶民の特に地味で質素な家庭・夫婦の形を様々に描いており、とても味わいが深い。
それぞれ秘剣にまつわる短編が9話、収録されている。
「酒乱剣石割り」
無類の酒好き甚六は道場では二番手の使い手とされるが、師匠に言わせればここ一番という絶体絶命の試合に臨んだ時は最強となると言う。そこを見込まれ政敵の粛清を命ぜられるものの、使命を果たすまでは断酒をも命ぜられる。その相手は妹を陵辱した一味。遺恨の剣となるが、酒の入らない身体では震えがとまらない。いよいよその時甚六は…。
→藤沢版「酔拳」だね。先日観た「カンフーパンダ」も同じ展開の映画だった。また亭主よりも大柄で普段自分の酒乱もありすっかり頭の上がらない奥さんとの掛け合いも面白い。
「汚名剣双燕」
若き日剣を磨いた三人の若者達。と同時に一人の美貌の女性の虜となる。そのうちの一人が娶(めと)るも三人の中で家柄も家禄も見目も悪かった康之助は初めからその争いには加わらなかった。
その後、美貌の女房を持つ友人は殿中で刃傷沙汰を起こした。康之助はたまたまその場に居合わせたものの、一瞬脳裏にその美貌の女性の姿が去来し、打ち逃がしてしまう。以来、臆病者の汚名をき、妻女にまで侮られてしまう。その後、寡婦となったかつての憧れの君は、もう一人の恋敵・光弥と恋仲であるという。それを諌めに行くと帯を解かれ私が好きなら光弥を討てという。憧れの君の依頼は断ったが、その後汚名を晴らすチャンスが…。
→藤沢は言う。
「自分の美しさを知っていて、賞賛されることに慣れている者の驕慢さ」
こうしたタイプの美貌の女性は、藤沢作品には度々出てくる。地味でぱっとしないタイプの藤沢は(推測ですが)、こうしたタイプの女性は好きではなかったのだろう。
「女難剣雷切り」
爺むさく背の低い醜男の惣六は、女房に死なれ、その後二人の妻に逃げられ、女中にまで逃げられる、城中でも有名な風采の上がらない男だった。そんな惣六にも嫁を紹介しようと言ってくれたかつての道場の先輩・服部。娶ってみれば自分にはもったいない美人。しかし夜は石を抱いているような味気なさ。それは自分が好色すぎるのか…。実はそうではなく、娶った妻は紹介者・服部の妾だった。許せぬ。どう仕返しをしたものか…。
→何しろルックスも悪いし、経歴も悪い。したがって全く女性にもてない男ではあるが性欲は人一倍あるという困った話。
「陽狂剣かげろう」
婚約者を藩主の側室に召し上げられてしまった。婚約者は道場主の娘。道場主も娘が側室となれば加増されるし藩主の縁者となれる。ここは自分が悪者になるしかない。狂人を装い婚約を解消するも、だれが婚約者を側室にと吹き込んだのか、仕返しをせねば気がすまない。やがて婚約者は側室として江戸へ旅立つ。悲しい別れとなった。ひょんなことから吹き込んだ男が知れる。怨恨だった。切り捨て遺恨を晴らすも側室となったかつての婚約者は病死してしまう。それを聞いてから本当の狂人となり、やがて殿中で刃傷沙汰を起こし、そして…。
→悲しい物語だ。婚約者との別れは生木を裂くほどの苦しみだっただろう。その時、そばに居た女中が慰める。傷ついた心を癒すのは、やはり母性なのか。主人公は正義に書かれていただけに最後、狂人として討ち取られてしまうのがなんとも残念だ。
「偏屈剣蟇ノ舌」
御旗組の馬飼庄蔵は城中一の偏屈者だった。人が右といえば左、左と言えば右。彼の偏屈さを決定付けたのは妻を娶る時だった。二人の娘をもつ道場の兄弟子が庄蔵の剣の腕に惚れ、二人のうちの好きな方を嫁にやるという。姉は飛び抜けた美貌。妹はこれでも姉妹か言われるほどの醜女。誰もが姉を指名すると思うも妹の方を頂戴したいと即答し、妻に娶った。
そんな庄蔵を為政者は、その偏屈を利用して反対勢力の悪事を論(あげつら)い、「だからと言って決して殺したりしてはいかん」と粛清に利用する。その後、見事罠に嵌(はま)り政敵を殺害するも、庄蔵を唆した為政者は下手人である庄蔵の口を封じるため、罪人として縄につかせ切腹を言い渡す。しかし庄蔵はその沙汰を承らず、その使者たちを返り討ちにし、そして庄蔵を罠にはめた黒幕を討ち果たしにいく。
→これはいい話だ。私は自分も偏屈だから、こういう話は身につまされる。全く同じような形で罠に嵌(はま)ることも度々あったし。そしてこの話のもうひとつの読み所は、その偏屈者の妻の挙措であり、夫婦の形だ。
夫は無実で、罠に嵌ったことは百も承知している妻。そして切腹を申し渡しに来た使者たちを葬り、血刀を下げて家を出る庄蔵が、妻に言った一言がまた痺れる。
「そなたを嫁にもらったのも、わしの偏屈のせいだと言う者がいたが、あれはちがうぞ。わしはそなたが気に入って、夫婦になったのだ」
「好色剣流水」
助十郎は片時たりとも女人のことが頭から離れることがない。謡の稽古中もこれから通りに現れるであろう人妻のことが気に係りそわそわしている。そう、助十郎は自他共に認める女人好きな男だった。過去に二度も妻女と離縁し、その後は遠縁の寡婦とも浮名を流した。今、助十郎は通りで見かけた人妻に夢中だった。何とか知り合うきっかけはないかと探るうち、言葉を交わせるほどになり、とうとう抱きしめるまでに発展した。ところがその場面を知り合いに目撃されてしまった。噂は広がり、とうとうその人妻の亭主にまで知られ、果し合いを申し込まれる。しかし、助十郎はかつて秘剣を伝承されるほどの腕前。結果は…。
→女好きというのは、ある種の精神病だ。しかし特異なものではなく、その嗜好する先がそれぞれ違うだけで、ある人は酒だったり、ギャンブルだったり、食べ物だったり等々。自分の身の程を知らずにそのものに執着するから精神病となる。女房子供がいるのに実物の女性に執着したり、酒を飲むと暴れたりと、まともな大人なら結果的にマイナスになるであろうと容易に予測できても、そのことが止められない。とは言え、人間何かにつけそうした病気を持っている。であれば、なるべく人様に迷惑のかからないジャンルの病気にしたいものだ。
「暗黒剣千鳥」
末子の修助にいよいよ入婿相手が見つかった。しかし修助は三年前、家老の牧の依頼で仲間と共に政敵を暗殺していた。その仲間が次々と殺されて、ついに修助だけが最後の一人となる。仲間たちの殺され方を見ると、それは秘剣千鳥を使ったような切り口。その秘剣を伝授されたのは誰あろう牧家老その人だった。ついに牧家老との最終決戦が迫る。秘剣に勝てるのか。
→過去に人を殺めた経験というものがどれほど重いものか想像するに余りあるが、その思い秘密をもった仲間たちが次々に殺されていく恐怖というのも、耐え難い。しかしこの時代、諍いの行き着く果ては絶体絶命の果し合いだから、日常生活の裏側には常にピリピリとした緊迫感があるのだね。今のような軽佻浮薄な世相ではない。だからといって昔のような時代にしてみたいともおもわないが。
「孤立剣残月」
ある日七兵衛は失脚した元家老から思いもかけぬことを言われた。それは15年前にその家老たちにとっての政敵の一人を上意討ちした。その弟がこの度の政変でお家再興を許され、しかも七兵衛に兄の仇として果し合いを申し込むという。かつては剣豪として鳴らした七兵衛も今や四十を過ぎ、剣の腕はさびついている。何とか回避できないか、八方手を尽くして頭を下げて回るが、全く手がかりが無い。ちょっとした火遊びから冷え切っている夫婦。このことを打ち明けると女房は実家に帰ると言う。いよいよ果し合いの日が来る。七兵衛は若き日伝授された秘剣のことを思い出す。その秘剣は錆付いていないのか。
→もとは言えば上意討ち。任務として相手を打ち倒したに過ぎない。なのにそれを指示をした政敵の首謀者でもなく、共に上意討ちをした仲間でもなく、なぜワシなのだ。しかも上意討ちになぜ敵討ちが認められるのか。愕然とした思いで冷え切った家庭に帰ると、妻はさっさと床につく。ひとり台所でおつまみを探し酒をあおる。落ち込んだ気持ちに輪をかけて惨めな気持ちになってくる。だんだん酒が進むうち、それを自分に告げて何も助けにならない元家老、逆恨みで果し合いをしてくる相手、そして亭主の危機にも高鼾(いびき)で寝ている妻に腹が立ってくる。ここらへんの心象風景は笑った。あるあるって感じ。しかし、最後に果し合いの中、絶体絶命のところで襷(たすき)鉢巻姿の女房が駆けつけてくる、ここはとても泣かせる。やっぱりこうでないと。
「盲目剣谺返し」
新之丞が光を失って1年半。殿の毒味役で毒にあたり盲目となってしまったのだ。妻の介添えがなければ何もできない新之丞だが、どうやら妻は新之丞が盲目となってから男の影がする。調べてみると相手は新之丞の軽蔑する上司・島村だった。問い質すと、盲目となりながら家を潰さずすんだのは妻が身を捧げたためという。しかし新之丞の処遇には島村の助言は何も無いことも分った。新之丞は腐っても武士。妻とは離縁。島村とは果し合いを決意する。盲目の身で勝てるのか。
→キムタク主演の「武士の一分」の原作がこれだ。不倫をしていた妻も決して軽々な女性ではなく、身持ちの固い、夫思いの女性。夫を思うゆえに上司の言われる要求を断腸の思いで受けてしまっての過ちだ。それを知り、そして妻には帰る家がないと分っていても家を追い出す辛さ。目が見えないのに、相手を討ち果たすために一から剣の修行をやり直す臥薪嘗胆の決意。「武士」であり続けるということは厳しいことだ。ラストシーンは泣かせる。まだ映画を観ていない人のためにここで書きませんが、感動するでしょう。
2008年08月06日
■8/5(火) 激痛!!
そういえば最近、ちょっと尿の出が自分が思っている量よりも少ないなあと感じていたのが予兆だった。
この日の朝も、朝一番のトイレの後、なんか引っかかっているような違和感も感じていた。
それから、しばらくして右の背中下部・肝臓のあたりがジーンと痛み出し、もしやと思うまもなく、激痛に変わった。
折りしも、うちの奥さんが長男を塾に送って帰って来たところ。
「…また…尿管結石…み、みたい、だ…。び、病院に、電話して…」
と脂汗を流しながらお願いをした。
その後、泌尿器はないものの最寄の病院で診てもらうことになり、駆け込んだ。時間的にはちょうど朝の診療前の慌しい時で、カルテ起こしやらドクターの手配やらで待たされた。車に乗っている時もそうだが、もうどんな格好をしていても、もの凄く痛い。
待たされている間も、悠長にソファになぞ座っておれず、ほとんどロビーの地べたに座り込むような形で唸りながら、滝のような脂汗を流して待っていた。前回は、真夜中ということもあり、中待合のソファに倒れこんでいた。
そんな私の様子を見かねて、看護婦が声をかけてきた。
「大丈夫ですか? …あれ、スズキさん?」
激痛に耐えかね、やっとの思いで声の主の方に顔を上げると、なんと私の職場で婦長をされていた方だった。
その後のことは記憶が不鮮明だが、車椅子に乗せられ処置室のようなところに運ばれ、注射のボルタミンと座薬を入れられた。
そして点滴も。
前回は全く効果のなかったそれらの処置も、今回は次第に痛みを解いていった。
そしてレントゲン、エコー、検尿と検査が続き、結局その検査の結果が出る頃には、痛み止めの効果か痛みはすっかりなくなっていた。
思えばちょうど5年前、2003年5月28日に初めてこの結石の洗礼を受けた。
5/28の夜、さあ寝ようかなと立ち上がったら腰のあたりが痛み出し、またたく間に激痛へと変わっていった。急にこんな激痛に見舞われるなんて、普通はありませんから、ああ、これは尿管結石だ! と確信し、最寄の病院に駆け込んだ。
当然、夜間診療では、治療や検査・診断はしませんので、ひたすら鎮痛剤を乞う。11時頃1本目を打つが、全然効かない。2時頃2本目、効かない。4時頃3 本目全く効き目なし。朝まで何度も吐きながら(痛みって昂じると吐き気を催すんだね)、明け方座薬を入れてもらうと、ようやく効いてきた。なんとも聞きしに勝る痛さ!! 痛みってなんか姿勢によっては痛みの薄らぐ格好があるもんだけど、この痛みはどんな格好をしても痛い。さすが痛みの四天王(お産・ガン・腸ねん転)、しかも尿管結石はひどい場合、お産の痛みよりも痛いそうだ。
翌日、痛みの治まっている間に検査。エコーでは何ともなかったが、造影剤（投影剤)を使ったX線検査になると、造影剤の点滴を入れ始めた途端に激痛が復活。X線の検査台の上で吐きながら撮影。ここでも筋肉注射を1本。
検査の結果、破砕が必要なのでと転院が決定。そのまま、武蔵野市役所ならびの西窪病院に移される。この病院は松田優作が身罷った由緒ある病院で、衝撃波による破砕装置の設備を有する。
すぐに石を破砕して2〜3日で退院できるものと思っていたら、なんと造影剤検査の時、結石によって尿管がふさがっていたために造影剤が行き場を失い溢れ出し、つまり腎臓が破裂していたらしい。そりゃあ、痛いよ!! なので、腎臓が落ち着いてから破砕になるという。こうして、私の8泊9日にわたる入院がスタートした。
転院してきたのが木曜日。破砕を受けたのが火曜日。それまでの5日間は毎日が痛みとの戦いだったのだが、幸い点滴に追加される痛み止めが良く効いたので良かった。痛くなってはナースコールで痛み止め。そして眠くなる。起きても経験的には6時間は効く。なので大体、寝る前の10時ごろに1回、あとお昼頃に1 回。こんな時間を決めておいて、その時間になるまで痛みは我慢するというリズムをつくった。
そしていよいよ破砕の日。
原理は、川魚を捕る方法に川原の大きな石に大きな石をぶつけると魚がその衝撃波に気絶して浮かんでくるってあるじゃない、あれだね。なので以前は大きな浴槽に水着を着て入っていたらしいけれど、私が受けたのは、水の入ったバスケットボール大の風船状のものを患部近くに当て、衝撃を加えるというものだった。
通常、腎臓のある腹部などは、衝撃波が貫通するため、痛みはほとんどないらしい。しかし、わたしの場合、膀胱近くに石が移動し骨盤上にあるため、衝撃波が骨盤にあたりかなり痛いという説明。徐々に強くしていくので我慢できないときは言ってくれとのこと。施術前に打たれた筋肉注射も曰くつきのもので、かなり痛かったのだが、施術が始まると、こっちも説明どおり、か・な・り痛い。痛みを訴えると、この強さであと15分は行きたいのでと、痛み止めの注射を点滴にうつ。するとまもなく、ぼおッ〜とした感じがひろがり、視界が歪みだす。
ああ、これだ、私の待っていた鎮痛剤は!!
胃カメラや大腸スコープなどをやるとき打たれる注射と同じ効能。
技師に痛みはどうかと訪ねられると思わず、気持ちいいですと応えてしまった。
あとは終日、ぼおッ〜と過ごす。直後の尿が、真っ赤に染まっていたのが印象的。
翌日は砕かれた石が徐々に尿に混じる。後は退院の日までは普通で、退院して家に戻るとまた石が出てきた(石といっても、砂浜の砂利みたいな大きさで、まさにあんな感じのもの)。
破砕してからは、今までの痛みはなくなったが、破砕の時の痛みはずっーと残り、そして微熱も続いた。
こうして8泊9日の入院は終わった。しかし、泌尿器の病棟での病院食って、ことのほか食べれたものじゃないですよ。気分的に。病棟全体がトイレみたいなんだもん。
(2003年6/6の記事より)
その後自宅に帰され、昼前に職場に行き、その日に予定されていた仕事をこなし、午後、帰宅。すると鎮痛剤のせいか、倒れるように夕方まで寝てしまった。いや、激痛に耐えるとは、思った以上に体力を消耗するのかもしれない。
その日は、夜、うちの奥さんと長女の女チームが新宿へ「ルミネ・ザ・吉本」を見に行くことになっており、我々男チームは映画「カンフー・パンダ」を観に行くことになっていた。
結石はその後何ともなく、予定通り私たちはシネプレックス新座に「カンフー・パンダ」を見に行った。
夕食も、そこの施設(OSCデオシティ新座)にあるイタリアンバイキング｢パパゲーノ｣で採った。ヒロはバイキングが大好きらしく大喜びだった。
そして、「カンフー・パンダ」もとても楽しい映画だった。
痛くて長い一日だった。
2008年08月02日
＃三屋清左衛門残日録
これまた強烈に面白かった。
家督を息子に譲って隠居した人のリタイア後の話だっただけに、前半はちょっとかったるくて、白州次郎の本を読んでしまったけれども、白州次郎もある意味、晩年までも光り輝いた半生だったからか、こうした隠居後も第一線からお呼びがかかり、様々な事件を解決していくというのは、とても痛快に読めた。
隠居したって、心が引いてしまったらお終いだ。ちょっと我が父のことを思った。我が父は、60歳を少し越した頃現役を引退したが、今に至るまでバリバリその世界で活躍している。後輩達が煙たがるほどだった。
それはもちろん父の心が引いてなかったこともあるし、現場を父の力を求めていたということもある。
まさに、この本の主人公のようだ。
この本の主人公・三屋清左衛門は、120石で自分の父から家督を継ぎ、我が息子に譲るときには側用人として320石まで禄を増やしていた。
そして引退後も、力を貸して欲しいと様々に現場からお声がかかり、様々に解決したり、ドラマを紡いでいく。とても痛快を話だ。
しかし引退後も、日々の生活の中でこうしたドラマがあるっていうのは凄いことだ。もちろん小説なのだから当たり前だが、ここに描かれるひとつひとつの出来事はいかにもありそうな出来事であり、それが出来事として偶発するかどうかは、一歩踏み出すか出さぬかのたったそれだけの違いだと感ずる。
嵐を呼ぶ男―とは、常に踏まずもがなのその一歩を踏み込んでしまう人なのだ。その一歩は、たった一歩ながらも日常からの逸脱であり、であればこそ事件化(ドラマ化)してしまうのだろう。
何度も言うように、こうした大人の男を描いた作品ってとても面白い。いつだった読んだ宮本輝の「約束の冬」も、そんな大人の男の話で(こちらは引退前の男だったが)、とても楽しく読んだ。
藤沢作品は、この間BOOKOFFで沢山買い込んできたから、まだまだ続く。
楽しみだ。
2008年07月31日
＃白州次郎名言集
最近、自分の生き方、というより一体自分はどんな男になろうとしているのか分からなくなっており、非常に迷っている。このテーマは別にひとつのタイトルで書き起こしたいが、そんな状況だったため、かねて気になっていた歴史上の人物、私の記憶の中でキラキラと光っていたこの“白州次郎”の本を読んでみた。
そもそもなぜこの人を知ったのかは定かではないが、戦前戦後、まさに昭和の日本に生きた歴史的なキーパーソンであることや、また“日本で初めてジーンズをはいた男”“マッカーサーを叱り飛ばした唯一の日本人”などの逸話を仄聞していたのだろう。
そうしたこともあって、以前に白州次郎本人の書いた「プリンシプルのない日本」を買ったが、順番で言えば本人の書いた本よりもまず他人が評価した本が先だと、読まずに積んでおいた。
プリンシプルを持って生きよと白州次郎は叫ぶ。
プリンシプルとは、ざっくりと言って、「原理・原則」のことだと言う。生きていくうえで自分の原理・原則を持つ。当たり前のように見えて、これはなかなか難しい。しかし、前にアップした「冤罪」の書評ではないが自分の中にそうした「日常規矩(きく)」−つまり決まりごと・ルールを設け生きていくことは、むしろ楽であるし平穏だ。
難しいのは、そうした規矩をつくることであり、そしてそれが自分にとって整合性があって、自己撞着していないことだ。
そうした規矩は、もちろん一朝一夕に作れるものではなく、長い半生の中で失敗したり、傷ついたりの教訓を経て、ルール化されていく。
その中でハードルの高い、つまり実行の難易度が高いものはそんなにはなく、だいたいは自分にとってそんなに難しいことではない。
難易度の高いルールの実行を迫られた時、例えば下のものとは喧嘩をしない、上のものとしろなど、かなりの勇気が必要とされるし、やっていった時、自分の中で生きていく上での自信が積み重なっていくものだと思う。
そうした経歴を経て、魅力的な男の顔として磨かれていく―、それが白州次郎なのだ。
それからちょっと感じたことだが、「育ち」ということ。
よく「金持ち喧嘩せず」なんて言われる。これは辞書によれば「金持ちは利にさとく、けんかをすれば損をするので、人と争うことはしない。または、有利な立場にある者は、その立場を失わないために、人とは争わないようにする」とあるが、私はそうではなく、子どもの頃、欲しいものは何でも与えられるから、ガツガツしていない。おっとりとした性格に育つ、のような解釈をしていて、なるほどそうだなあと思った箇所があった。
例えば、白州が田中角栄を評して、人物は偉大だか貧しく育ちすぎた(趣旨)と言った。田中の金権体質を言ったものだが、事実は違うけれども、そうとるだろうなと思った。
また権威に対する物怖じがない。これは金持ちということではなく、いわゆる上流階級育ちは、教師だろうと官吏だろうと頭を下げる側ではないから、権威に恐れ入る教育は全くされなかったのだろうと推察する。
白州は金持ちなのによく喧嘩をしたそうだが、喧嘩好きだからではなく、プリンシプルに反する言動を見た時に、それを黙っておけない性質と、権威に対する恐れを持っていなかった故にだれにでもぶつけることができたのだと思う。でなければマッカーサーを怒鳴りつけることなどできるはずもない。
この人の言動を見ていると、勝海舟に似ていると思った。
勝海舟も私が畏敬する歴史上の人物だ。
今後、白州関連書籍、少しずつ読んでいこうと思う。
2008年07月30日
■外食祭り―再び
7/26土曜日の午後、大泉に行った際、土曜日は半ドンなのでお弁当がないため、どうせならと“福しん大泉学園店”に行った。
何がどうせかと言うと、私はタンメンが大好きで、かつて秋津駅北口、パチンコ屋の前にあった昔ながらのラーメン屋のタンメンがとても好きだった。ところがここが閉まってしまってから、こうした塩味で野菜たっぷりのタンメンをだす店がなくなってしまった。
都内に勤めていた頃は、御茶ノ水の駅前にあるこの味のタンメンを出す店に行っていたけど、今となってはわざわざ御茶ノ水には行けないものね。
ところが、大泉のクリニックの下にある“福しん”のタンメンもこれだった。どうせ外食するなら、食べたいものをとここにしたのでした。
上の写真が、“福しん”のタンメンです。
これ、480円ですよ。安いよね。私はこれにラー油とコショウを入れて食べるのです。
下の写真は、7/27(日)、とある私立中学のオープンスクールに息子と行った際、“死ぬほどお腹が空いた〜!!”と叫ぶ奥さんのために、帰りに寄った“サイゼリア小平店”で私が頼んだ、フレッシュトマトのスパゲッティとガーリックトースト。
大食い女王・ギャル曽根がどうのこうで品切れのメニューがありますって注意書きがしてあったけど、私達が頼んだものはセーフでした。
味は、う〜ん、今いちでした。
…。
微妙だ。うまいけど、感動するほどではない。
何なのだろう。
こんなに待ちわびて、朝から食を減らして挑んだのに…。
調理法、なにか塩抜きとか(そんなことは書いてなかったけど)、ぬめりを落とす塩もみが足らなかったとか、そういうことなのか…。
もしくはこの間のBQでアワビのお仲間・サザエを無駄にした祟りか…。
いや、たぶん、こうした高価にして神聖な食べ物は、私ごときが調理して食べるなんていうことが間違っていたのだ。
アワビは、ちゃんと修行を積んだ料理人によって調理されるものであり、私ごときは襟を正し、心して食べなくてはいけなかったのだろう。
う〜ん…、反省。
これはお中元に使うのはやめよう。
高くついた試食だった。
続いて7/30(水)、ノコの誕生日に、肉が食べたいというノコの希望で「牛角」へ。
この間、バーベキューで肉はいっぱい食べたでしょ!?
子どもって本当に肉が好きだよね。生理学上、成長期には肉を欲しがるのだろうか。
私はお腹ペコペコだったので、すぐに“石焼ゴマねぎラーメン”を食べてしまったから、肉はそれほど食べなかった。
そういえば、牛角へ行く前、予約しておいたケーキを取りに行ったり、ヒロからのプレゼントを買いに行ったりする道々、もっと幼少の頃は、誕生日といえば“不二家レストラン”だったのに、最近行かなくなったね、と話をしていたら、不二家はレストラン中で誕生日を祝ってくれのが恥ずかしいという話題になった。
牛角について、何か特典でもあるかとうちの奥さんが娘の誕生日を申告した、最後にサービスでチョコパフェみたいのを出してくれ、驚くべきことに、不二家以上の堂々たる声で店中の従業員そしてお客さんにまで声をかけ、ハッピーバースディソングを唄ってくれた。
ノコの恥ずかしがること、笑ってしまった。
2008年07月26日
■7/25(金)
面子もいつもの我が家と義妹家、総勢8名。
今回は朝7時に出発して、東久留米卸売市場で買出しをした。ここは肉、魚、野菜、調味料などすべての食材が揃っている。一般も利用可能とは知っていたが、利用したのは今回が初めてだ。
なるほど、市場だね。時間的には忙しいピークを過ぎていたのか、やや落ち着いた雰囲気だったが、広げられた売り場は市場そのもの。
新鮮な肉や魚介類をたくさん買い込んで、8時過ぎに名栗へ向け出発した。
今年は、7月中しかも平日とあって、道もガラガラだったし、キャンプ場もガラガラ。これはいいね〜。毎年、この時期を狙おう。
しかしながら、毎回難しいのが、食材だ。
誰が何を何人分作るか、明確にしていないため(少なくとも私は)、いつも大量の食材が余る。安いものや保存が利くものならまだしも、得てして余るのは高い生ものだから、始末に終えない。
今年もホタテやサザエを余らせてしまった。
みんな〜、申し訳ないね。
来年への教訓としては、作るメニューを決める。
やきそば、5人分くらい。ご飯、5合炊く。お肉、これはどうかなあ〜、バーベキュー用の櫛にするイメージで数本。トマトスープ、5人分。スイカ、これは毎年スイカ割り用に重宝しています。ありがとう、金ちゃん。
あと、酒の肴用の食べ物は、本当に少量でいいね。
全体として、少量でいいんだ。人数分用意すると、絶対余る。
それから、もう少し居てもいいのかなあ。今回も午前10時過ぎに到着し、5時位に現地を出発した。お風呂に入ろうと思うからね。
そうか、そうするとこんなものか。
今回も、現地の民宿“河鹿荘”のお風呂を当てにしていて(去年は予約が入っていて入れず、こっちに戻って“湯の森”に行ったのだけど)、シーズンピークじゃないから大丈夫だろうと確認もしなかったら、シーズンピークじゃないから溜めていないって。予め電話を頂いていれば溜めてたのにと言われてしまった。
ということで、今年は東久留米の“お風呂の王様”に行った。私は、すごい日焼けをしてしまって、ずっと水風呂に入っていた。
来年は、準備に万全を期して、決して食材を余らせないをテーマに、頑張ります。来年もよろしくね、金ちゃん。
※写真は肉を焼く金ちゃんとその向うはホタテを焼く義妹。
2008年07月25日
＃冤罪
短編集。これもまたいい。けれども、今まで読んだ藤沢周平の短編集の中では、B'くらいかな。
「証拠人」
関が原の時、西組に属していた佐分利七内は、浪人をしながら再仕官の口を探すのに余念がない。以来15年がたった今日、ようやく手応えのある任官口にたどり着く。しかし、持参した武功証明の信憑性を問われ、証明者を探すことになる。
いつの世も男は大変だ。社会人人生の中のたったひとつの武勲を頼りに、少しでも高く自分を買ってくれる所を探して歩く。再就職は厳しい。
「唆(そそのか)す」
農民を収める立場の役人が一揆を唆(そそのか)した科(とが)で、解雇される。亭主の出世の望みながら、没落を共にする女房・とも。
“唆(そそのか)す”って難しい字だね。
別れるのか、または再興を信じて没落に付き合うのか。夫婦の難しさを描いたもの。
「塩田伝五郎置文」
ああ勘違いのお話。伝五郎が若き日、一方的に恋い慕った親友の姉・七重。所詮は叶わぬ身分と、別の女性を妻に迎えるも、心は七重と通じ合っているものと信じている。そんなある日、初恋の七重のかどわかした相手とされる人物と果し合いをし、相手を討ち果たし、自分も切腹して果てる。しかし実際は…。
生きることは信じることに尽きる訳だが、信じるものを間違える(または間違った信じ方をする)と不幸な結末があるという典型だ。
「密夫の顔」
江戸への出府から戻ると妻から突然の告白が。他人の子を身ごもっているという。妻は頑として相手の名を明かさない。七郎太は疑心暗鬼となり、自分の友人達にあらぬ疑惑を抱いていく。
ちょっとエッチで、こういう話はとても好きです。
「夜の城」
蔵太は、ある時以前の記憶が全くなくなってしまった。妻と称する女性、気心の知れている風の同僚。何が本当で何が嘘なのか。自分はただの役人なのか、それとも大きな陰謀の渦にいるのか。
サスペンスタッチで、とてもよく構成されている作品。
「臍(へそ)曲がり新佐」
毒舌家の新佐は、役人の中でも嫌われ者。彼には、歴戦の武将としての自負がある。そこらの木っ端役人どもとは違うのだ。そんな新佐も娘・葭江には頭が上がらない。しかしこともあろうに愛娘・葭江に隣家の軽薄な若者・平四郎が言い寄っている。許しておけぬ。
自分の力で人生を切り開き、信念を持っている男が、今風の若者をどう理解していくのか。古今、これが難しいところだ。
「一顆の瓜」
夫婦喧嘩の絶えない半九郎と同僚・甚内は、ある日やっかいな藩騒動に巻き込まれる。こんなことには関わりたくないがこれを収めれば、上役の評価も上がり、もしや加増も…。となれば妻からも見直されるだろう。
人間は人参をぶら提げられると弱い。そんな話は得てして、いろんな方向へ期待も膨らむ。チラとでも成功した暁には…なんて話をされたら、報酬を気にせずに仕事をすることは、かなり難しい。
「十四人目の男」
薄幸の叔母・佐知は、二度にわたって夫と死別している。三度目の縁談に二の足を踏む佐知を励まし再婚を勧めるも、佐知を待っていたのは家族諸共の死罪だった。
こうした導入とは別に展開される内容は、池宮彰一郎の「四十七人目の浪士」を思わせる。誓いとは廃れぬものなのか。世代を超えて一族を貫く誓いとは。何であれ、貫き通された誓いは、凄いものだ。
「冤罪」
良い所に婿養子に行くしか出世の道がない部屋住みの源次郎は、散歩の途中で出会った娘に密かな恋心を抱く。しかもその娘に男兄弟はなく、親も貧しくはあるが役人だった。婿入りを期待するも、ある日、罪を被り斬首となる。本当なのか。真実は。
ほのぼのとした内容ながらも、義に生きることの難しさを描く、深い内容の話。
最後に印象的だった一節を。
人は日常の規矩(きく)で自分を縛るかわりに、その代償として平穏な暮らしを保証されている。だか、一度保証された平安を捨てる気にさえなれば己を縛っていたものを捨てることに何のためらいも持たないどころか、かなり徹底した裸になることも厭わないものなのだ。(P60)
そうそう。本当にそう。