仕事ではない

はじめに断わっておきます。たまに勘違いするかたがおられて、
それは勘違いさせてしまうこちらがいけないのでしょうが、
ここで改めて強調しておきたいのは、わたしには「才能がない」ということです。
しつこいほど繰り返したい。才能がないんです。
名も知らぬ人から、「本の山」は仕事ではないとのご指摘を受けました。
なにをおっしゃっているのかさっぱりわかりませんね。
いつどこでこのブログが仕事であるなどと申し上げたでしょうか。
「本の山」をご覧ください。どこに広告がございますか。
仕事であるわけがない。単なる趣味です。

アクセス数を公開したら、みなさん、たまげると思います。
ほんとうに少ないからです。だれも「本の山」なんて見ていないのです。
無名の人間がいくらきゃんきゃん吼えようが世間様は見向きもしない。
当たり前のことではありませんか。
「本の山」は才能も名もなき人間の憂さ晴らしです。
本来ならチラシの裏にでも書いていればいいこと。
ところが、うちは新聞を取っていないからチラシがありません。
わざわざノートを購入するのは貴重な紙資源の無駄遣い。
このため「本の山」を利用しているに過ぎません。

そうそう、おなじ人から「本の山」は仕事でないから、
だれも評価しないというお言葉をいただきました。
わたしは評価されたくてブログを運営しているわけではありません。
まえにも書きましたように、憂さ晴らしというのが理由のひとつ。
それからせっかく読書したのだから、内容を忘れないうちにまとめておきたい。
最後になって申し訳ないのですが、読み手のみなさま。
だれかひとりでもわたしの書いた文章を読んで笑うなりなんなりしてくださったら嬉しい。
以上、3つが「本の山」を運営している理由です。

この人はいったいなんなのでしょうね。
どうやらわたしのためを思って助言してくれているようなのです。
わたしはこのかたの名前を知りません。
お逢いしたことはあります。もちろん、こちらは名乗りますよ。
それなのにあちらは名前を教えてくれないのです。
きっと有名な作家なのだと思います。たくさん著書もある。つまり、仕事をなさっている。
評価もされているのでしょう。うらやましいかぎりです。

どうして懸賞小説に応募しないのか。
書きたいことがないからです。書きたいことがなければ、小説など書かないのがいちばん。
いまは「書きたいことがないこと」を小説に書くのが流行なのかもしれませんが、
流行に乗るのはむかしから苦手だし、好むところでもありません。
そのうち書きたいことが生まれたら書くのでしょうが、
みなさんお気づきのように、おそらくこのままの状態で死ぬ可能性が高いと思います。
ノンフィクションも評論もおなじです。書きたいことがなければ、書かないほうがよろしい。
書きたいことがないのになにかを書くなんておかしいではありませんか。

地道にできることからやりましょう、がんばりなさいと叱咤されました。
例の、名前を教えてくれない人からです。
この御仁はいま仕事が忙しくて仕方がないらしい。
地道にがんばったから成功したのでしょう。少なくとも本人はそう思っておられる模様。
がんばる。努力する。いいでしょう。たしかにその通りです。
わたしは努力する能力を持って生まれなかったように思うこともありますが、
成功者からのありがたい励ましを聞き入れないわけにはいきません。
ええ、がんばりましょうとも。努力しましょうとも。
けれども、具体的にはなにをしたらいいというのか。
高いおカネを払って小説学校にでも行けば努力したことになるのでしょうか。

もうほとんどこの世ではあきらめています。
いまいちばんの願いは、なるべく早くあの世へ行くことです。
この世ではなくあの世に期待しております。
自殺はしたくありません。しません、できません。
とはいえ、あの世へ行く方法はほかにもいろいろあるように思うのです。
多くの人がわたしを負け犬とあざ笑うことでしょう。
これはむしろ喜ばしい。少しは人様の憂さ晴らしの役に立ったということなのですから。
わたしは「本の山」を過大視などしていない。むろん、仕事ではない。落書きです。
書き手は一生スポットライトの当たらない人生、陽の目を見ないこと、
つまり無名のまま死んでいく覚悟がとうにできています。

COMMENT

吉祥寺拓也 URL @
10/22 14:49
. いつも楽しく拝読しています。
ヨンダさんには、歴然とした才能があると、初めて読んだ時から確信しています。
逆にどうして商売にしないんだろうと思います。
てゆーか、ホントは、編集者とかライターとかが商売なんじゃないですか? つーか、ホント、何のお仕事されているのですか?
本当に文章を書く仕事と全く違うことを生業とされているのであれば、それはとてもなんとゆーか、もったいない。力自慢の人がコンビニでバイトしているなら、相撲取りかK1ファイターになった方がずっとお金になるのにもったいない、みたいに思うのと同様です。
大作家になるのはすぐには無理かもしれませんが、文章で飯を食うくらいは、ヨンダさんのお力じゃ超簡単な話ですよ。
Yonda? URL @
10/23 16:20
吉祥寺拓也さんへ. 

いま出張先の冥王星から帰宅したところです。
ありがたきコメントへのお返事が遅れたのはこのため。
ほんとうに申し訳ありません。
日々、霞(かすみ)を食って生きております。
まあ、ありていにいえば生活破綻者です。

最近、思います。
作家ってもしかしたら都市伝説のようなものではないか。
文章を書くだけでおカネをもらえる人がいるとは、
とても信じられません。
むかしは信じられたのですけれども。

> 大作家になるのはすぐには無理かもしれませんが、
> 文章で飯を食うくらいは、
> ヨンダさんのお力じゃ超簡単な話ですよ。

ああ、なんという励ましでありましょうか。
ありがたいことです。
いまは大勢の才能ある人間が文章で飯を食おうとしています。
競争過多の状態です。
ところが、そのうち勝ち残れるのは、ほんのひとにぎり。
勝負の分れ目は、いったいなんなのでしょうか。
努力か才能か運か、それともこれらすべてか。
人様からおカネをいただくことの難しさを痛感します。

いま単行本だと定価は1500円くらいが平均。
第3のビールなら酔いつぶれるほどのめる金額です。
これに代わる酩酊、快楽、満足を文章で差し上げる困難に絶望します。

コメント、ほんとうにほんとうにありがとうございました。
あとで何度も読み返しそうです。
Ken URL @
10/23 19:21
. こんにちは。
くだんの大先生のご指摘は読んでいないのですが、ひょっとしてその方のお仕事というのは、出版社かカルチャースクールの営業マンではないでしょうか。
ほら、よく宣伝しているじゃないですか。「あなたにも小説が書ける」って。
もちろん、そういう営業も立派な仕事なんですけどね。
ルカ URL @
10/23 22:26
僭越ながら・・・. ちょっと前のエントリで、学校で習う事の是非がありましたね。
私は、学校もアリかなと思っています。ここでは少数派ですね。
学校やカルチャースクールをどう利用するかという問題なのではないかな。
yondaさんの場合、文章の書き方を教わる必要は、私もないと思います。でも、ああいうところでは毎回課題を与えてくれますよね、そして講評がある。この二つは書く素材と第三者の評に恵まれていないyondaさんには利用価値があるのではないでしょうか。
またその場合、有名作家が講師を務めるスクールであれば、ちょっとしたコネを作る事ができるかもしれません。もしかしたらもしかしませんか?
きっかけというのは、どんな分野でも歳をとると減ってきます。世界が狭まってしまうかのようです。
やってみても良いんじゃないかな。
Yonda? URL @
10/24 07:23
Kenさんへ. 

ちがうと思います。
もとより、正体不明ですから断言はできませんが。
わたしも早くだれかを指導できるような身分に立ちたいものです。
Yonda? URL @
10/24 07:27
ルカさんへ. 

そうですね。
考えてみます。
とはいえ、きっと講師からいやがられる生徒になるかと思うんです。

1回1万円とか取りますからね。
だれが払うのかといったら自分ですから。
ああ、早く人を指導したり助言できる身分になりたいです。

*先日、書店で年下の書いた小説作法書を発見しました。
ライトノベル作家です。
もうそういう世代なんだなと愕然としたのを覚えています。
梅磯 URL @
10/24 21:09
.  yonda?さんの文章を読んだのはこの記事が最初ですが面白いですよ。苦悩している様子がありありと伝わってきます。――こう書くと意地悪く感じますかね、すいませんw

 初見でこんなこと言うべきではないですが、yonda?さんには小説を書く素質があると思います。悩みまくった人間の文章は面白いんです。波にもまれたお酒はおいしいってワンピースにも書いてありましたし。

 まあ僕は小説に関しては読むだけの素人で引きこもりという肩書の人間ですからお墨付きというわけにはいかないのですが、こう思った人間もいるということを伝えておきたかったわけです。
misaka URL @
10/25 16:30
この際、エッセイでも.  書いて下さい。沖縄ですから取り寄せて買いますので。心待ちしていますね。
Yonda? URL @
10/25 21:50
梅磯さんへ. 

うおお。この記事だけで苦悩が伝わっちゃいますか?
わたし、脱ぐと、ほんとはもっとすごいんです。
梅磯さんのビビッドなフィーリングにリスペクト(敬礼)♪

まったく同意見です。
悩みのない作家の文章は心を打ちません。
苦悩イコール感動と言ってもいいのかもしれません。

これからも苦悩しまっす(決然と)。
Yonda? URL @
10/25 21:55
misakaさんへ. 

25歳ですか。若いっていいな。
39歳の作家、白石昇から「若くていいですね」と言われたわたし。
おなじことを思いました。

我われオールドを反面教師にせよ、
と申し上げたら怒られてしまいそうです。








 

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