(CNN) 4日の米大統領選で記録的な投票率が予想されるなか、投票所へ足を運ぶ有権者にその場でインフルエンザの予防接種を提供するキャンペーンが展開されている。期日前投票に訪れた市民からも、「一度に両方済ませることができて便利」と好評を得た。
キャンペーンを進めているのは無党派の非営利団体(NPO)、「ボート&ワックス(投票してワクチン接種も受けよう、の意味)」。期日前投票期間から選挙当日にかけ、米国内36州、250カ所の投票所に仮設会場を設置、地元医療機関の協力を得て接種を実施する。料金は医療機関によって異なるという。
代表者のダグ・シェンソン博士は「インフルエンザ予防接種を推進したい医療関係者と、手間や時間を節約したい市民の、双方にメリットがあるプロジェクトだ」と胸を張る。「大統領選はちょうどインフルエンザのシーズンが始まる時期。寒い地域の住民や交通手段に困っている人々にとっても、一度の外出で投票と予防接種ができる仕組みは助けになるだろう」
米疾病管理予防センター(CDCP)によると、米国内では例年、インフルエンザで入院する患者は20万人以上、死者は3万6000人に上る。高齢者や乳幼児は特に重症化する危険性があり、CDCPは50歳以上の全国民に予防接種を勧めているが、実際に毎年受ける人は半数程度にとどまっている。
ジョージア州アトランタ市内の投票所では、期日前投票に詰めかけた何百人もの有権者が4時間待ちの長い列を作るそばで、ボート&ワックスのボランティアたちが「皆さん、インフルエンザの予防接種はもう受けましたか。投票の帰りに済ませませんか」と呼びかけた。そのひとり、地元高齢化対策当局のレジーン・デニスさんは「ここには高齢者をはじめ、年齢や人種、性別を問わず多数の住民が集まってくる。選挙への関心は高く、記録的な人出が予想される。できるだけ多くの人に予防接種を受けてほしい」と話す。
希望者は同じビルの中の仮設診療所に立ち寄れば、その場で接種が受けられる。「ひとつの店で何でもそろうウォルマートのよう」「用事のリストにあった予防接種を、思いがけず済ませることができた」――と、住民の反応も上々のようだ。