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【社会】

国民年金 保険料徴収不能 8026億円

2008年10月30日 朝刊

 自営業者らが加入する国民年金で、滞納したまま納付の時効を迎え徴収不能となった保険料が二〇〇七年度は八千二十六億円となったことが二十九日、社会保険庁の調べで分かった。

 前年度より千八百三十七億円減り、一兆四百四十二億円と過去最悪だった〇五年度から二年連続のマイナス。それでも八千億円を下回っていた二〇〇〇年度以前に比べると高水準で、未納問題への有効策が見つからない現状を浮き彫りにした。

 すべての公的年金に共通する現行の基礎年金制度が導入された一九八六年度からの累計は、十二兆七千九百十七億円に達した。

 〇七年度に時効を迎えたのは、〇五年度に課せられた保険料。滞納した保険料をさかのぼって事後納付できるのは二年前の分までとなっている。

 国民年金の保険料納付率は社保庁の不祥事の影響で、来年時効を迎える〇六年度から低下を続けており、徴収できない額が〇八年度以降、再び増える恐れがある。

 社会保障審議会の年金部会で、納付の時効を現行の二年から、五年または十年に延長する案が検討されるなど、見直しに向けた議論が加速しそうだ。

 未納分は将来受け取る年金が、その分だけ減るため年金財政への影響はないとされる。だが未納者が高齢化すると、無年金や低年金で生活に困って生活保護に頼るケースが増え、かえって社会保障財源を圧迫する恐れがある。

 徴収不能となった保険料には、所得が低く保険料を減免されたり納付猶予を受けている人の分は含まれない。

 

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