車で生活、トラブルか 宇治・男性殺害
京都府宇治市で刃物で刺された男性の遺体が見つかった事件で、死亡したのは住所不定、無職、伊達悟さん(57)であることが25日、府警捜査1課の調べで分かった。遺体は道路脇の側溝に横たわっており、凶器は見つかっておらず、府警は殺人事件と断定、宇治署に捜査本部を設置した。伊達さんは遺体近くに置かれていた乗用車で生活していたとみられ、22日未明にこの車をけった男と伊達さんがトラブルになり、伊達さんが110番通報していたといい、捜査本部で関連を調べる。
調べでは、伊達さんの遺体は25日午前8時ごろ、同市五ケ庄三番割の側溝で女子中学生が発見。上半身の前後に服の上から刺されたような傷が数カ所あり、腕などに抵抗した跡とみられる傷もあった。
司法解剖の結果、死因は刺し傷による失血死で、死亡推定時刻は25日未明。遺体周辺に大量の血痕があることなどから、府警はこの場所で発見の数時間前に刺されたとみている。
遺体のすぐ脇に古びた水色の車が止まっており、伊達さんは車内で生活していたとみられる。24日昼ごろには近隣女性が車内にいる伊達さんを目撃していた。
伊達さんは22日未明、寝ていたところ車をけられ、外にいた男ともみ合いになったという。けがはなかったが伊達さんが110番通報した。また、今年6月には、この車について「変な車が止まっている」と警察に通報があったという。
現場はJR黄檗駅の東約1キロの丘陵地帯。近くに民家はなく、日中でも人や車の往来は少ない。
捜査本部によると、伊達さんは数年前まで電気工事会社に勤め、京都市山科区内で妻らと暮らしていたが、離婚し家を出たという。現場近くの男性(77)によると、伊達さんが暮らしているらしい車を見かけるようになったのは約3年前。当時から伊達さんも居付き、1年ほど前からは車が動くこともなかった。
車の窓ガラスは前後とも割れており、別の無職男性(72)は「1カ月ぐらい前に車を見たときは、前のガラスが割れていた。1週間ほどたつと後ろも割れ、補強してあった」と話した。
(2008年10月26日 09:38)