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「ど、どうした!?」
俺はすかさず駆け寄る。
特に酷いのが巫女姿の女性。
両腕はもう動かないようだ。
「あ、あなたは・・・?」
ボロボロになって、片目を瞑り俺を向く。
「そんなことどうでもいい!えっと・・・こっちだ!」
俺は俺の仮住居へ五人を誘導した・・・。
「んで?一体どうしてそんなにずたぼろなんだ?」
俺はしばらく休んで、とりあえず命の危険がなくなった五人に問い掛ける。
すると、いちばん早く治った長い髪を後ろで結んでいる男が答えた。
見た目もガッチリしていてタフそうだ。
「そもそも・・・おまえが誰だ?」
「あ、俺?アスナ・ホープスターっていう」
名乗ると、五人が目を見開いたのを見た。
(なんだ?)
俺に向けられる視線が途端に期待のもになっていた。
「あなたが!」
「う?」
俺の両肩を掴まれ、俺はついたじろいでしまう。
「ふぉ、フォルク・・・落ち着け」
「あ、すまん」
「いや、いいけど・・・」
俺の肩から両手を離すフォルクという男。
「とりあえず、みんな自己紹介してくれ」
「あ、あぁ・・・んじゃ、俺から。俺は聖賢者ユウト、ユウトでいい」
「聖賢?へえ・・・聖賢に認められるなんてやるじゃん」
「え?知ってるのか?」
「・・・まぁね。聖賢をカオスに・・・いや」
俺は途中で言うのをやめる。
ユウトが怪訝そうな顔をしたが気にしない。
「俺はフォルク。超越のフォルクだ」
さっきの長い髪の男がそう言って手を差し出してきた。
俺はそれを握る。
「これからよろしく頼む」
「?まぁ・・・うん」
どうも言葉が引っ掛かるが気にしない。
「んで・・・」
「私は、時詠のトキミ・・・名前くらいは聞いたことがあると思います」
「・・・いや、ないな」
「え?」
なんだかガクッと力が抜けてしまったトキミ。
「はは・・・世事に疎いもので」
「ま、まぁいいですけど・・・」
「私はカナリア。背光のカナリア」
長い髪を結んでいない、青い髪をした女性。
丁寧だが、どこか冷たさを感じるあいさつ。
「私は、ヒカリ。栄光のヒカリ」
俺に握手を求める、赤毛の明るい女性。
俺は笑顔でそれに応える。
「さて・・・俺は」
「新星アスナ・・・ですよね?」
トキミが俺の名前を先に言う。
「なんで・・・?」
「・・・私達は、あなたに会いにきたんです」
「・・・へ?」
俺は事情を聞く。
少しぐらい予想していたが・・・クーデーターについてのことだった。
まず、クーデターを企てた人物・・・『至高の心ユウキ』。
元々カオス・エターナルだったが、ファンタズマゴリアの件以来、どこかに行方不明だったという。
どういう事情か知らないが、ロウ・エターナルに移ったそうだ。
クーデターは、ほぼ全世界に広まっていて、カオス・エターナルはもうほとんど残っていないという。
そう・・・殺されたのだ。
今、辺境の世界でカオス・エターナルが残存戦力を集めているらしい。
この五人はそこから来たらしく、辺境を通ってきたのに、これだけ傷つく程戦闘したらしい。
クーデターの大きさが思い知らされる。
でも・・・
「なんで俺を?一人残さずかきあつめなきゃいけないほどなの?」
俺一人に、この五人程のエターナルを持ってくるのは明らかにミスだ。
俺にそこまでの価値はない。
あ、でも女性が三人も来てくれたことは超ウレシイけどね!
「・・・実際、一人残さず集めなきゃいけないほど状況は不利です。
このままでは、カオス・エターナルは一人残さず消えてしまうでしょう」
「・・・」
あまりに真面目なトキミの声に、つい黙ってしまう。
「ローガスは?」
「あの方は、拠点を一人で守っています。
私達残存戦力の目標は、まずローガスさんを助けだす事です。そのために・・・あなたが必要なんです」
トキミたちから期待の視線が俺に突きささる。
「ちょ、待ってくれ!俺はただのナマエタだぞ?そんなのトキミだって知ってるだろ?」
俺のあまりの怠け具合につけられたのが・・・ナマケエターナル。
通称ナマエタ。
「でも・・・もう、あなたしかいないんです」
「・・・え?」
五人の顔が沈む。
絶望の淵・・・まさに、今この状況だろう。
「誰に頼っても・・・未来は、必ず滅びを迎えてしまうんです」
「・・・?なら、なんで俺に?」
「・・・あなたの未来が視えないから」
「は?」
「なぜか、あなたの未来だけがわからないんです」
「・・・」
俺の頭の中でパズルが組み合わさる。
つまり・・・
「俺の未来がわからないから・・・俺に頼った場合、滅ぶかわからない。だから・・・俺を?」
「・・・はい」
「・・・オイオイ」
俺はパンッと自分の顔を叩く。
冗談がキツい・・・。
そんなあやふやな希望にまですがらないとダメなのか今の状況は・・・。
「・・・」
「今すぐ返事をくださいとは言いません。でも・・・どうか、一緒に戦ってください」
「よろしく頼む、アスナ!おまえしかいないのだ!」
フォルクが頭を下げた。
男にとって深いお辞儀がどれだけストレスになるかわかっている。
でも・・・そうまでしないと、生き残れない・・・。
そういう状況なんだ・・・。
「・・・う〜ん、どうしよ?」
俺はニヘラッと笑ってしまう。
あまりに絶望的な状況すぎて、笑いがこみあげてきてしまった。
「とりあえず、みんなは休んでくれ。明日の朝には返事をするから」
俺はそう言い残して家を出る・・・。
「さぁて・・・どうするかね?」
俺は煙をプゥーッと吐き出す。
相変わらず笑いがとまらない。
{俺に聞くな。俺はおまえの決定に従う}
新星がそう答えてくる。
独り言に近い物だったのに、律儀だ。
「俺が世界を救うってか?全く・・・」
マジで冗談にしてほしい。
未来が視えないのだって、新星の力だ。
その新星も永遠神剣第三位・・・戦況をひっくりかえせるほどの物とは思えない。
俺自身、無駄に年は取っているが強くはない。
(・・・でも)
今できないからといって諦めたくない。
そんなの・・・格好悪すぎる。
「それに、頼ってきた女性を放り出すのもな」
{ユウトとフォルクは?}
「もしかしたら、俺に惚れてくれるかもしれないし」
{お〜い}
「よし・・・!」
俺は右手を空に向かって突き上げるのだった。
「じゃぁ・・・行こう!」
おれ達は門を開く。
ここから、孤立無援の旅が始まる。
まずは残存戦力と合流。
その後、一気に反撃をしかける。
俺がカオスの希望になりうるのなら・・・なってやるさ。
それが、前代のリーダーとの約束だしな。
おれ達は門に体を入れた。
「ふぅ・・・」
俺は門を抜けて一息つく。
「来るぞ?」
五人はすかさず構える。
俺もそれを見て構えた。
エターナルが渡りをすれば、すぐに同じエターナルにはバレる。
「きた・・・っ!」
俺はすかさず飛び込んだ!
ザパァアァッ!!
「ぐああぁあぁっ!」
不意打ちをくらって、消えていくロウ。
「いくぞみんなっ!」
ユウトの号令でそれぞれがロウに対処する。
ロウ・・・といっても、ほとんどがむりやりエターナルにさせられたヤツらだろうけど。
・・・可哀想だけど、剣筋を迷わせるわけにはいかない。
「かかってこい。ま、俺が相手じゃ運命決まってるけどな」
俺は軽く笑って次のロウに斬り掛かる。
キィンッ!
「そう、何度も同じ型で・・・!」
「ヒュゥッ!やるじゃん。でも・・・甘い!」
俺はすかさず新星を上にまわし、そのまま体をねじり、ロウの下から切り上げる!
キィンッ!!
「っ!?」
ロウの剣が跳ね上がる。
「でやぁあぁっ!」
俺は跳ね上げた新星をそのままロウの体に突き刺す!
ブサアァッ・・・!!
「ぐっ・・・カオス・・・ごときに・・・!」
「おまえだってロウじゃんかよ」
なんでカオスをごとき扱いするかはわからないが、消えていくヤツに何を言ってもしょうがない。
「でりゃぁあぁっ!!」
背後から剣を突き刺そうと走ってくるロウ。
ヒュッ・・・!!
「なっ・・・?」
俺は体をジャンプさせてねじり、突きの剣を避ける。
そのまま腕をまわし、新星をロウに斬り付けた!
ズバアァアァッ!
ロウの首が飛び、体がマナへと還っていく・・・。
「ふぅ・・・こんなもんか・・・はぁ・・・疲れた」
{おいおい・・・}
「仕方ないだろ・・・久しぶりの戦闘なんだから」
「大丈夫か?」
ユウトが心配そうに俺をささえる。
(うぅ・・・そこまで疲弊してるように見えるか俺は・・・)
「大丈夫大丈夫。このくらいなんともないさ」
俺はシャキッと立つ。
「さっそく次の世界へ進もうぜ」
「そうだな。まだ休むには早い」
フォルクが頷いて、門を開く。
どんどん進んでいかないと、戦況はどんどん悪くなる。
おれ達はすぐに門へと身を投げた・・・。
「ふぅ・・・」
おれ達は、ある小さな世界にやってきた。
疲れを取るために温泉に入る。
まだこの世界はロウに支配されてないようだ。
「疲れが取れる・・・」
「そうだな・・・」
「うむ・・・ドラム缶だがな」
おれ達三人は頭にタオルを乗せてポケーッとつかる。
「・・・なぁアスナ」
「ん?」
「なんでドラム缶なんだ?」
「・・・枯れたそうだ。男湯は」
「・・・なんか、悪影響が出そうだな」
「あぁ・・・枯れた、か」
二人はやたら深刻そうに呟く。
「い、イヤイヤッ!!そんな深い意味はないから!!」
俺はやたら深刻になる二人を止めて、温泉という名のドラム缶からあがる。
「ん?もうあがるのか?」
「バカ言え。こういう時の楽しみ・・・一つしかないだろう?」
俺はニカッと笑うと、四メートルはあろうかという岩を登りはじめた。
もちろん・・・男湯と女湯を遮っている岩だ。
「あ、おい!やめとけって!」
ユウトがすかさず俺に声をかけるも、俺はもうとまらない。
「ふっ・・・これぞ男のロマン。俺の生きざま、しかと目に焼き付けておけ・・・。いくぞぉぉぉ!!」
キラーンッ!
俺は目を輝かせ、家庭内害虫よろしくシャカシャカ岩をよじ登っていく。
ガシッ!
俺の右手が岩のてっぺんをつかむ。
「むふふ・・・天国へのトビラよ。今開けるぞぉ」
俺は顔をあげる。
そこには・・・
「・・・」
「・・・」
時深がいた。
しかも、笑顔の裏に怒りが見える。
ユウトはもう知らねー、と温泉に入りなおす。
フォルクに至ってはさっきから目を閉じて微動だにしない。
「あの、まさか振り落とすなんてしないよなだってそうだろこの岩四メートル越えてるだぜちょっと覗いても神は許してくれるダメなのかどうしてもダメなのかつうかトキミはなんでこの岩登ってるんだそうかそうかお前も覗きたかったんだなよしよしユウトとフォルクでいいならいくらでも覗けそのかわり俺はヒカリとカナリアを覗かせてもらうからな」
「アスナさん」
ピシャリと俺の言葉が止められる。
「死刑」
「は・・・?」
その言葉を聞いた途端、俺の体は宙に舞っていた・・・。
(あぁ・・・俺は鳥だきっと鳥だ。よし飛ぶぞ!)
俺はそう信じて両手をうごかすもちっとも減速せず・・・
バッシャーンッッッ!!!
「がはっ・・・ぐぶぶぶぶ・・・」
背中を枯れた温泉の地面に打ち付け、俺の意識は底へと沈んだのだった・・・。
「はぁ・・・まるで光陰だぜ・・・」
ユウトがため息をつく。
バカな親友を思い出したようだ。
「だが・・・これもアスナが狙ってやってることだろう?」
「え?」
フォルクの言葉の意味がよくわからないユウト。
「こうやってバカして、この絶望的な状況を少しでも明るくしようとしてるんだ。
おまえみたいにやたら深刻に考えるヤツがいるゆえにな」
「あ・・・」
ユウトはハッとする。
どうやら思い当ることがあるようだ。
「おまえのその光陰とやらも、そうだったんじゃないのか?」
「・・・そうかもな」
コォォォンッ
「ん?なんの音だ?」
「さぁ?」
デュワッッ!!
「ふっか〜つ!」
「な、アスナ!?」
「おまえらねぇ、こんなことも知らないで温泉入ってたのか?」
俺はオケを持つ。
そして、床を軽く叩いた。
コォォォンッ・・・
さっきと同じ音が鳴る。
「それは一体?」
「こうやって、出ますってことを相手に伝えるんだよ。アンダスタン?」
「・・・それって、温泉じゃなくて銭湯じゃないか?」
ユウトがぽそりとつぶやく。
「お黙りッ!トキミ直伝ッ!対ユウト専用!す〜ぱ〜あまてらす光線ッッ!!」
俺は腕をクロスさせ、かた膝をついて腕からビームを発射した!
ビィィィィィィッ!!
チュドォォォオォォッ!!!
「がぁあああぁっ!!」
ユウトがプスプスと焦げながら倒れている。
どんな生物でも一撃で・・・マジだった。
エターナルを一撃で!
なんという威力だ、これからはあまり多用しないようにしよう。
俺はそう心に深く刻み込んだ。
「人のあげあしばっかりとらない!○に変わってお仕置きよ!」
「・・・」
ノリノリだった。
おそらく、フォルクが何も声が出せないくらいには。
「帰るか、フォルク」
復活したユウトがそれだけ言う。
「さすがに○に・・・ってのは引いたな。じゃ」
まるで汚物でも見るような目で俺を見たユウト。
フォルクもかなり引き気味のまま帰っていく・・・。
「・・・もう少し物事考えてほしいな」
ユウトとフォルクが出ていく・・・。
「はぁ・・・全く・・・やたら深刻そうな顔されてたら、こっちまで参るっつーの。へへっ、やっぱ気楽にいかないとな。な?新星」
{・・・本音は?}
「・・・さァね」
{はは。おまえらしいな}
「それに・・・ぐふふ。ヒカリやカナリアもいるし。楽しくなりそうだなぁ!実はさ実はさ・・・新星、俺少し見ちゃったんだぜ?」
{マジか?どうだった・・・?・・・じゃなくて!それだけはいい加減やめたほうがいい気がするがな}
「オマエ・・・本当は見たいんだろう?」
「ふぅ・・・さっぱりした」
俺は温泉から上がり、部屋に戻る。
「ん?」
みんなが集まっている。
「おー・・・」
『本当にアイツ大丈夫なのか?』
「・・・え?」
俺はつい体を隠してしまう・・・。
「ユウトさん・・・」
「だって、前の戦闘でも一番苦労してたし・・・」
「確かに。あの程度では、いずれ殺されるだろう」
「・・・」
トキミはつい黙ってしまう。
たぶん、トキミの中にもそういう気持ちがあったのだろう。
「そうね。なら・・・ここで置いていった方がいいのかも」
「カナリア!なんてこと・・・」
きつい言葉にヒカリが諌める。
「なら、つれていく?守る余力なんてないのに?」
「カナリア・・・」
「これから先、戦いはどんどん厳しくなるわ。それなのに、あの程度の力で生き残れると思う?」
ピシャッと言い放つ。
戦いに情けはいらない・・・とでも言うように。
「・・・」
ヒカリも黙ってしまう。
「俺はここで置いていくに賛成だ。ローガスの紹介だけどさ・・・でも、アスナの力は弱すぎる」
そう・・・アスナは元々ローガスの紹介だ。
必ず力になってくれる、というので接触したのだ。
「俺もユウトに賛成する。今のアスナを連れていくのは・・・殺すことと同義だ」
フォルクも静かにそう言う。
「み、みんな・・・キツすぎじゃない?」
「ヒカリ、あなたは甘すぎるわ。それで自分の身が危険になるのよ?」
「で、でも・・・」
「みなさん、そこまで!」
トキミがそこで場を沈める。
「もう少しだけ様子を見ましょう。それで、芽がない場合はその世界に・・・ということで」
「・・・わかった」
みんな渋々それに従う。
ガタガタッ!
(あ、やべっ!こっち来る!)
俺はすかさず玄関から外に出たのだった・・・。
「ふぅ・・・」
俺は夜空を仰ぎ見る。
(まさか・・・あんな風に見られてたなんてな)
自分がしっかりしていると思ったことはないが、あそこまで酷く見られているとは思わなかった。
{気にするなアスナ}
「・・・そうは言ってもな・・・」
さすがにへこむ。
と、いうか・・・
カタカタカタッ・・・
新星が震える。
{大丈夫か?}
「くっ・・・あ、あぁ・・・」
{・・・その血があるのだから・・・全力を出せないのも無理はない。ゆっくり、一歩ずついこう、アスナ}
「・・・」
まるでカウンセラーのような言葉。
でも・・・そうして治していくしかない。
この血は・・・。
「アスナ?」
ビクッ!
俺は驚き振り向く。
そこにはヒカリがいた。
「ど、どした?」
「いや、アスナの方こそ・・・冷えるよ?」
「・・・いいんだ。ちょっと冷えたい気分だから」
「?」
「実はさ・・・さっきの会話・・・聞いちゃってさ」
「!」
俺が正直に告白すると、ヒカリが息を呑む。
「いや、別に責めてるわけじゃないし、あれが普通の反応だから」
「で、でも・・・ごめんね。みんな、その、アスナに期待してたから。あまりにもギャップがありすぎて、戸惑ってるんだと思う」
ヒカリが申し訳なさそうに言う。
そのまま俺の隣に座った。
「いや、俺に力がないのは確かだよ。自分でも、俺がこの状況をどうにかできるとは思えないしさ」
「アスナ・・・」
「・・・でもさ」
「え?」
「俺にできると思ってローガスが勧めてくれたなら、きっとやれると思うんだ。それに、ヒカリやカナリアみたいな美人もいるし」
「び、美人・・・?」
「やっぱり、綺麗な人がいるとやる気が全然違うわけ。というわけで、ヒカリ、今度お茶でもどう?」
「お茶・・・って、そんな状況じゃないってば」
やんわりと断られてしまった。
「はは。んじゃ、平和になったら・・・どう?」
「・・・いいよ、その時ね?」
ヒカリがウィンクする。
ヤヴァイ!
可愛い・・・可愛すぎるよ!
「よっしゃ!明日からがんばるぞぉ!!」
俺は夜空に叫ぶのだった。
「ふふっ・・・なんだかクーデターなんか起こってないみたいに普通だね、アスナ」
ヒカリが笑う。
「そう?これでも結構緊張してたりするんだけど」
「えぇ〜?見えないよ〜」
「・・・だってさ」
「え・・・?」
突然真面目な雰囲気になる。
「俺達は、嫌でも相手のど真ん中へ突っ込んでいかなければいけない。しかも、その相手は圧倒的な強さを持っている」
「・・・」
「それは、辺境にいた俺でもわかるんだからみんな知ってる事だ。だけど、それでも俺達は命をかけて突っ込まなくちゃいけない」
「・・・」
「その中では俺達は生き残る事ができるのか・・・?それは・・・みんな思ってることさ」
「アスナ・・・」
「というのも結局は俺の推測なだけで、事実とは限らない!あくまで、予想なだけさ!」
「あらら・・・そこまでシリアスにしておいて・・・」
「・・・そ〜いうことにしておいてくれよ。な?」
「・・・ふふ、あながち何も考えてないってわけじゃないみたいだね」
「当り前よ。俺を誰だと思ってる?」
「ふふ・・・」
「あはは・・・!」
俺達は笑った。
とりあえず・・・笑っていた。
(・・・アスナ)
その影で、微笑んでいる人もいたが。
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『トキミ直伝対ユウト専用す〜ぱ〜あまてらす光線』
いつ教わったかも定かではないアスナの技。かの有名な『すーぱーあまてらす光線』をアスナが実現させたもの。
トキミがユウトをしばく時に使え、とアスナに教えた。クロスさせた肘からオーラフォトンがでる。
神剣を使わずにオーラフォトンをある程度操っているが、なぜそんなマネができるのかはまだわからない。
ユウトに対してはトキミの教えか果てしないダメージを与える。すぐに復活するが。