障害者自立支援法の見直しを訴え、国会前を行進する障害者ら=31日午後、東京・永田町、林敏行撮影
福祉サービスに応じて障害者に原則1割の自己負担を求める障害者自立支援法は憲法が定める「法の下の平等」に反するなどとして、全国の障害者ら30人が31日、国や各自治体に自己負担をなくすよう求め、東京、大阪、福岡など8地裁に一斉提訴した。
原告は、障害者が地域社会で働き、生活するために必要な支援や介護は、障害者が受ける「利益」ではなく、人間らしい生活をするために、社会が広く負担して支えるべきものだと主張。支援法によって障害者だけに二重の負担を強いることで、さらに生活が不自由になったことは、生存権や幸福追求権の侵害にあたると訴えている。
弁護団によると、八つの地裁に提訴したのは10〜71歳の障害者と保護者1人。
原告は、障害者に自己負担を求めている市区町村に対し、自己負担の免除の申請をしたが棄却されたため、提訴した。訴訟ではこの棄却処分の取り消しのほか、自己負担をしないでサービスを受けられることの確認や、これまでに支払った負担額と慰謝料、計約840万円を支払うよう求めている。
支援法が施行された06年以前は、障害者の負担はほとんどなかったが、支援法は福祉サービスの利用という考え方から、障害者に負担を求めるようになった。負担の上限額は所得に応じて定められたが、障害が重いほど自己負担分が多くなるため、収入の少ない障害者の間にサービスの利用を控える動きも出ているという。(河原田慎一)