ニュース: 生活 RSS feed
Jパワー、TCI保有全株買い取りへ 世界株安が誘因?
Jパワー(電源開発)は31日、筆頭株主の英投資ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)」との間で、TCIが保有するJパワー株すべてを買い取ることで合意したと発表した。TCIは平成18年末にJパワーの筆頭株主となって以降、大幅増配や中垣喜彦社長の退任などを求め、株主総会で委任状争奪戦を繰り広げるなど経営側との対立が続いていたが、今回の合意で両社の問題は事実上決着した。
TCIの持ち株比率は、発行済み株式の9・9%にあたる。買い取り価格は、TCI側から請求があった9月29日を基準に過去3カ月間の株価の平均となる1株あたり3830円で、買い取り総額は約632億円。11月中旬までに正式に買い取りを行う。
今回の買い取りは、今年7月にJパワーが石炭の輸入販売子会社の一部事業を本社に取り込む吸収分割をすると決定したのが発端。TCI側はこの合併に反対し、株主が保有株式の買い取りを求めることができる会社法の規定に基づき、9月29日に買い取りを求めてきたという。
会見で中垣社長は、TCIが買い取りを求めてきた理由について「一連の金融不安がなにがしかの影響を与えた可能性はある」と指摘。TCIの平均取得価格は1株4585円で、今回の買い取り総額との差損は約124億円にのぼるが、世界的な株価下落でファンドの保有資産が目減りし、換金を迫られた可能性が高い。
TCIは今春、Jパワー株を20%に買い増す請求を実施。これに対して、政府は外国為替および外国貿易法(外為法)に基づき中止命令を出すなど、日本の外資規制のあり方にも議論を巻き起こした。