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【主張】大学生大麻汚染 安易な姿勢厳しく戒めよ
大学生の大麻事件が後を絶たない。今度は慶応大学の2年生と1年生が大麻取締法違反(譲渡など)容疑で逮捕され、大学関係者に衝撃が走っている。
神奈川県警に逮捕された2人は「興味半分で吸った」などと供述しているという。安易な気持ちで薬物に手を出せば取り返しがつかなくなることをもっと自覚すべきである。
今回の慶応大生逮捕は、大麻吸引が大学生を中心に広く若者をむしばんでいる深刻な事態を浮き彫りにする格好となった。
2人は付属の慶応高校の先輩と後輩で、学内で乾燥大麻を売買し、カラオケ店や自宅で吸引した疑いが持たれている。
また、2人が他の学生とも吸ったと供述したことから、同県警は同大の別の学生3人からも任意で事情聴取した。学生の大麻の入手経路や動機など、警察による事件の全容解明を望みたい。
大学生の大麻汚染では、昨年11月、ラグビーの強豪校、関東学院大学の現役部員らが大麻を譲渡したり、寮の自室で大麻を栽培したりしていた容疑で逮捕・起訴されている。法政大学や関西大学などの有名大でも、学生が学内で大麻の売買をした疑いで摘発を受ける事件があった。
警察庁によると、大麻の摘発件数は年々増加し、今年上半期(1〜6月)は約1700件、約1200人が検挙されており、昨年を上回る過去最悪ペースだ。年齢別では、10〜20歳代が半数以上を占め、中でも大学生が目立ってきているのが特徴だ。
大学生の大麻汚染が広がっている背景には、吸引への安易な気持ちに加え、大麻の種子を手軽に入手、栽培できることが要因としてある。インターネットでも販売されており、詳しい栽培のマニュアル本まで広く出回っている。
慶応大学の事件は氷山の一角とみるべきで、各大学は学生に厳しく警告を発し、防止策を真剣に検討すべきである。
大学側は、謝罪会見で平成16年から昨年の間に、学生と大学院生4人が大麻に絡んで起訴されたことも明らかにした。だが、具体的な防止策は講じていなかった。
「学生の良識を信じた」と釈明しているものの、学内で大麻事件が続いていることを全学生に周知徹底し、注意を喚起していれば、防げたかもしれない。対応の甘さを猛省すべきである。