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経済

中国や台湾 道内地名の商標登録続々 企業進出の障害にも(11/02 07:13)

 中国や台湾の企業・個人が、「旭川」や「函館」など、道内の地名を現地で相次いで商標登録している。一度登録されると、道内企業が中国などに進出した際、これらの地名を商品や社名に自由に使えない可能性があるが、道内の自治体などは大半が登録自体を認識しておらず、対策も遅れている。

 商標は食品、医療など、商品やサービスの種類ごとにあり、中国、台湾の特許関連省庁によると、既に登録された地名は「旭川」七件、「小樽」三件、「函館」二件、「釧路」「十勝川」「根室」が各一件など。地名だけの登録は本来、日本と同様に中国や台湾でも禁止されているが、「審査担当者が地名だと分からなければ登録されてしまう」(特許庁)という。

 また、登録には至っていないものも含む申請件数では、「北海道」と十万人以上の都市名に限っても、これまでに約五十件あり、これに商品名などを付け加えた申請を合わせると百件以上ある。

 登録は中国、台湾とも出願の早い申請を優先する「先願主義」のため、香川県の「さぬき」が台湾で登録され、現地で営業していた日系のさぬきうどん店が看板撤去を請求された例があった。企業が中国などに地域ブランド商品を輸出する際にも、トラブルになる可能性がある。

 商標は、「登録すべき」と公告されてから三カ月まで異議申し立てが可能だが、取り消しまでに四−五年、和解費用などを含めると数千万円かかることもある。「青森」が中国で申請された例では、青森県などが二〇〇三年に異議申し立てをしたが、取り消しには五年近くかかった。

 中国などで日本の地名が商標登録される理由について関係者は「日本の商品やサービスは質が高いというイメージがあり、信用が高まるため」とみる。

 一方、道内の自治体の大半はこうした実態を把握しておらず、具体的な防衛策も講じていない。台湾では台北市の飲食店が、「函館」に漁業のイラストを組み合わせた商標を既に登録しているが、函館市のブランド推進課の担当者は「全く知らなかった」と驚く。道も道産を示すマークなどを海外で商標登録することを検討中だが「具体策はこれから」(道経済部)というのが実情だ。

 特許庁は防衛策として、自治体に海外での申請状況の監視や地名入り商標の事前登録を薦めており、既に山形県などが台湾などで登録した。

 海外の商標登録に詳しい道知的所有センターの牧野功・特許情報活用支援アドバイザーは「自治体は将来の地域ブランド戦略を考慮し、早めに対策を講じてトラブルを防いでほしい」としている。

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