【北京=峯村健司】中国農業省が、養鶏場などで使われる飼料288製品を調べたところ、5.9%から有害物質メラミンが検出されたことがわかった。中国の乳製品や卵からもメラミンが検出されて問題化しているが、その背景に、メラミンが添加された飼料が出回っている実態が浮き彫りになった。
検査は、豚や牛、ニワトリ向けに今年上半期に販売された、たんぱく性のえさを対象に実施。危機感を抱いた中国当局は、違法にメラミン入り飼料を生産していた拠点238カ所を取り締まり、計3682トンの飼料を押収するなど飼料会社への取り締まりを強めている。
中国紙、南方農村報によると、メラミン添加は5年ほど前に水産物の養殖用の飼料から始まり家畜用にも拡大。「安くて栄養価が高い」と人気を集めていたという。当局は養殖魚のえさも汚染の恐れが高いとみて調べている。
メラミン入り飼料の一部は韓国にも輸出されていたと韓国紙、朝鮮日報が報道。日本の農林水産省も、国内の飼料業界や農業団体に中国産飼料の検査を指示し、汚染飼料を見つけたら販売を中止するよう求めている。
メラミンには、たんぱく質の量を測る基準となる窒素が多く含まれ、国の基準で定められたたんぱく質含有量に達していない飼料を検査で合格させるため、飼料会社が添加していた。米国農務省は、メラミン入り飼料を食べたニワトリの肉を人が食べた場合、健康被害が出る可能性は高くないとしているが、食用は禁止している。