【ソウル、北京1日時事】航空自衛隊の田母神俊雄航空幕僚長が過去の日本の侵略や植民地支配を正当化する論文を発表した問題で、中韓両国は冷静な対応を見せている。論文が「日本政府の立場と全く関係のない田母神氏の個人的見解」(日韓外交筋)であることや、日本政府が素早く更迭に踏み切ったことが影響しているとみられる。
韓国外交通商省は1日の報道官論評で「論文で主張した内容は、歴史の真実をごまかすものだ」と不快感を表明。「過去の過ちを謙虚に反省し、歴史の教訓にすることが善隣友好関係の根幹であり、このような歴史の歪曲(わいきょく)が繰り返されてはいけない」と強調しながらも、日本政府に対し直接批判はしなかった。
米国発の金融危機が広がる中、韓国側は「日本との連携が必要」(政府関係者)との認識を強めており、今後の推移を慎重に見守る構えのようだ。
一方、中国では、メディアが航空幕僚長の更迭を論評せずに報道。「迅速な問題処理は、対中関係を重視する日本政府の姿勢の表れ」(中国紙関係者)と前向きにとらえる見方もある。
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