パナソニックが三洋電機の買収に動いたのは、三洋の得意な太陽電池事業や成長の見込めるリチウムイオン電池事業を取り込むことで、平成21年度までの中期経営計画で掲げる「売上高10兆円企業」の実現を確実にするためだ。
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パナソニックの20年度の業績予想は、9兆2000億円。売上高2兆円超の三洋を買収すれば目標達成はもちろん、太陽電池分野への参入でパナソニックグループ全体の事業展開に有利との読みが働いたのは間違いない。
「米国発」の金融危機の影響で三洋の株価(10月31日の終値)は145円で、時価総額は2714億円。5月20日につけた年初来高値の297円からみれば半値となっており、買収しやすい環境が整っていることもある。
三洋にとっても、金融3社との間で交わした優先株の売却制限契約が来年3月に切れるため、事業が切り売りされかねない事情を抱えていた。安定経営を目指すうえで創業者同士が親類関係にあるパナソニックは「申し分ない相手」(業界関係者)に違いない。
ただ、これまで総合家電メーカーとして競合関係にあった両社には、白物家電や半導体といった「重複する事業が多すぎる」(パナソニック幹部)との声も上がっている。
昨年8月、パナソニックはAV(音響・映像)分野で事業の重複する子会社、旧日本ビクターを連結対象から外すなど事業の「選択と集中」を急いでいる。三洋の事業が統廃合の対象になれば、三洋側の反発が予想され、買収による相乗効果の発揮に影を落としかねない。
金融3社はできるだけ高い価格で株式を売却したい意向とみられ、交渉は長引く恐れもある。三洋買収に興味を示す他企業が登場すれば、買収価格がつり上がる可能性もありそうだ。
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