「・・・ん」
俺は目を覚ます。
見慣れた部屋・・・汚い俺の部屋だ。
「俺の部屋・・・そっか。ずいぶん・・・長い夢だったな・・・」
(まさか、この歳でファンタジーな夢を見るとは・・・しかし、リアルだったなぁ・・・)
俺はボロボロになっているトレジャーハント用の服を脱ぐ。
シャツはそのままに、制服を羽織る。
「・・・職探しか」
父さんの書き置きがあった。
『職探しに行ってくる。今日こそは仕事見付けてやるぞ!?』
そう言って、必ずおでんを買ってくるんだよな・・・。
俺は遅刻確定なので、急がずにアパートを出た。
「なんで啓太は消えたの?」
みんなは食堂で、例の事件をカノンやゼウスを持っているレイナに聞いていた。
{・・・俺の機能の中に、マナ制御装置がある。それがあるから、俺は自分の力を制御できるわけだが・・・}
「今回、あの場所はマナが充実しすぎていました。そこで、カノンさんの機能が誤作動して、ゲートを開いてマナを別次元へ飛ばそうとしたんです」
{だが・・・それと同時に、啓太も飛ばしてしまったのだ}
その場がシーンとする。
だれもが、一つ、聞きたいことがあった。
だが、その答えが酷いものだった場合を考えて、口に出せないでいた。
「それで・・・ケイタが帰ってくる可能性は?」
「・・・」
レイナは目をそらした。
{確実に・・・ありえないな}
『!!』
まさに最悪の解答に、一同が息を呑んだ。
{俺がここにいる限り、啓太はただの人間だ。こっちに帰ってくる力はない}
「そんな・・・」
メシフィアはふぅっと倒れる。
「メシフィア!ちょっと、しっかりしなさい!!」・・・
「気が付いた?」
「メルフィー・・・」
メシフィアが気付くと、そこは自分の部屋だった。
(そっか・・・倒れて・・・)
「落ち着いた?」
「・・・少し」
「そう・・・」
「ケイタは・・・帰って・・・こないのか?」
「・・・カノンとゼウスの確率では・・・そうらしいわ」
「・・・う、うぅ・・・」
メルフィーはそっとメシフィアを抱いた。
「メシフィア・・・」
「ケイタ・・・ケイタぁ・・・っ!」
「・・・大丈夫よ。きっと帰ってくる」
「・・・」
声を殺して泣くメシフィアに、メルフィーは優しく言った。
「今まで、いつでもちゃんとあなたのところへ帰ってきたじゃない」
「・・・でも、それは同じ世界で・・・」
「異世界だろうがなんだろうが、啓太は帰ってくる。きっとそうよ。だって、あなたがこの世界にいるじゃない」
「・・・」
何の根拠もないハッタリ。
でも、それが当然だと言わんばかりに続けるメルフィー。
「だから、信じなさい。あんたこそ、彼を信じなきゃいけないでしょ?」
「・・・」
「彼に、帰ってきてほしいんでしょ?」
「・・・うん」
「だったら、きっと帰ってくる。啓太は人の期待を裏切らないから」
「・・・メルフィー、ありがとう。ちょっとだけ・・・楽になった」
「そう、良かった。でも、妬けちゃうわね。色恋沙汰に興味ない、ってカンジだったメシフィアがここまで惚れるなんて」
「自分でも驚いた・・・。こんなにケイタが必要になっていたなんて・・・」
「ふふ」・・・
「それで、一人で攻めてきたってのか?」
「ああ。どうもそうらしい・・・」
悠人達は食堂で作戦会議をしていた。
昨日、あれだけのけがを負った瞬が、今日一人でこっちへ向かっているというのだ。
「あ、そうそう。昨日から仲間になった、倉橋時深」
悠人は巫衣裳の少女を紹介した。
昨日のピンチを救ったヒーローだ。
「初めましてみなさん。叶さんと同じ側の人間・・・とでも言っておきましょうか。倉橋時深です。よろしくおねがいします」
ペコリとお辞儀する時深。
「・・・ユート」
「ん?なんだ?アセリア」
「また一人・・・増えた」
「え?なにが?」
意味深な発言は、ヘタレには理解できなかった。
「ま、というわけで・・・今度こそ瞬と決着をつける」
「決着って・・・悠人、おまえ、剣ないだろ?」
「・・・なんとかなるよ。光陰、心配すんな。きっとな」
「・・・ワケわかんねぇが、いざとなればオマエを後ろにさげればいいか」
「それじゃ、出発だ!」
『了解!』・・・
「よぉ、いつからおまえはそんなに偉くなったんだ?」
いきなりクラスの友達にそう言われた。
「なにが?」
「おまえみたいなヤツを、重役出勤という」
「あぁ・・・ちょっと寝てた」
「・・・はぁ。そうかいそうかい」
どうやら授業は自習のようだ。
といっても六時間目なのでだれも自習はしない。
寝てるヤツ、部活の準備してるやつ、雑誌読んでるヤツ、トランプやってるやつ・・・。
「んで、なんでこんな六時間目なのに来たんだ?」
「なんとなく・・・かな」
「おまえってマイペースだなぁ」
「・・・長い、長い夢を見ててさ」
「夢?」
「ああ・・・」
俺は、今まで見ていた夢を話した。
事細かに説明できることに驚く。
「おまえ、あれだな?」
「ん?」
「日常に刺激が足りないんだろ?」
「・・・そうかもなぁ。でも、トレジャーハントとかおもしろいぜ?」
「その年でそんな趣味持ってるの、おまえだけだって」
「そんなことねぇよ」
キーンコーンカーンコーン・・・
「さぁてと、帰りのHRやって帰るか」
「そうだな。なんだか・・・こなきゃ良かったかも」
「だから言ったじゃねぇか」・・・
「さぁてと・・・どこ行く?」
「そうだなぁ・・・」
『啓太さ〜ん』
後ろの方から走ってくる足音と、聞き慣れた声が聞こえた。
「お、彼女の登場じゃん」
「違うっつーに。なに?梢?」
梢・・・父さんの妹の娘さん。
俺の数か月年下だ。つまり、従妹。
「あのさ、これから予定ある?」
「コイツとあちこち回る予定・・・」
「悪い、啓太。俺用事あるんだ」
「え?」
「じゃあな」
スタタッと消えてしまった・・・。
「と、いうことで予定がなくなった」
「じゃぁ、ウチに来ない?」
「梢の家?なんでまた?」
「お母さんがぜひって・・・兄さんはいいけど、啓太君は育ち盛りだから、栄養のあるもの食べなきゃダメって」
「・・・そっか」
何かと気を使ってくれるおばさんだ。
そういえば、たまに俺の家に来て夕飯作ってくれたっけ。
父さん生活力・・・ゼロだからなぁ。
「お言葉に甘えてそうしよっかな」
「そ、それでね・・・明日、休みだよね?」
「あぁ、土曜日だしな」
「だから・・・えと、ウチに泊まっていかない?」
「え?泊まる?俺はいいけど・・・迷惑じゃないか?」
「うぅん、ちゃんと許可取ってあるんだ」
「そっか。ならいいかな・・・」
「やった!んじゃ、着替えとか取りに行こう?」
「え?そんなの付き合ってくれなくたっていいよ」
俺の家は、梢の家と正反対だ。
歩くとかなりの距離になる。
「いいの」
「はぁ・・・わかったよ」
オレ達は並んで帰りだした。
「そういえば啓太さん。そのペンダントどうしたの?」
「へ?」
「へ?じゃなくて」
「・・・あれ?」
いつのまにか首からぶらさがっていた。
綺麗な石でできている。
「・・・」
なんだか変だ。
これを見ていると、なぜかすごく寂しい、そんなカンジがする。
それに・・・どこかで見たような・・・。
「啓太さん?泣いてるんですか?」
「え?」
「すごく、悲しそうな顔してるよ?」
「・・・いや、なんでもない」
俺はペンダントを手放した。
思い出せないなら、きっと重要じゃないことだ。
俺は気にしないことにした・・・。
「ただいまー」
「お邪魔しまーす。うわっ・・・相変わらず汚いねぇ」
「梢、だったら掃除してくれ」
「嫌だよ」
足の踏み場もないくらいの散乱。
ところどころに見える床を爪先でふんで進んでいく。
「うわっ・・・!」
「大丈夫か!?」
俺は慣れているが、未だに慣れない梢はよく転ぶ。
転びそうになった梢をささえた。
「全く・・・父さんもいい加減にしてほしいよな」
「う、うん・・・」
「えーっと・・・」
なんとか安全地帯まで辿り着いた。
俺の部屋は綺麗そのものだ。というか、無駄な物がないだけだが。
「相変わらず啓太さんの部屋だけは綺麗だね」
「はは。これとこれとこれ・・・でいいかな」
俺はバックに適当に服を入れる。
「さて、行くか」
俺はメモ帳にさらさらっと書いた。
『梢の家に泊まってきます』・・・
「・・・で、なんでこうなるんだ?」
「だって、疲れちゃうんだもん」
「カワイイ声だしても、可愛くない」
俺はチャリに乗っていた。
そして、後ろにはちゃっかり梢。
最初からこれを狙っていたか・・・!
「男のくせに愚痴愚痴うるさいよー?」
「梢こそ、女のくせにちゃっかりしすぎだ。っていうか、男のくせに・・・っていうのは、セクハラになるんだぞ?」
「え!?そうなの!?」
「そうだよ。気をつけろよ?」
「う、うん」
俺にビターッとくっつく梢。
腹に腕が回された。
「・・・なぁ」
「うん?」
「梢、最近胸大きくならないんだな?」
ゲシッ!
「ぐあっ!」
頭がゆれた。自転車がよろける。
「グーでやったろ!?」
「なんて事言うの!?エッチ!スケベッ!」
「何年も前から後ろに乗られてれば成長具合もわかっちまんだよ!!」
「ヘンタイッ!」
「うっさいわ!人聞きの悪いこと言うなっ!今は・・・だいたい、80くらいで止まってるだろ?」
「なっ・・・なんでわかるの!?」
そう、決して梢はスタイルは悪くない。
ただ、『最近は』と言っただけだ。
「あのダチいるだろ?」
「啓太さんとよく一緒にいる?」
「そ。アイツに教えてもらった」
「男子ってそういうのばっか!!」
「それが普通だ。梢、男に夢見るのはやめとけ」
「ふんだ」
完璧にご立腹のようだ・・・。
「ただいまー」
「お邪魔しまーす」
「あら、啓太君、来てくれた?」
「はい、いいですか?なんかお泊りまで・・・」
「いいのよ、兄さんの所じゃダメですもの」
優しい笑顔だ。
なんだか、こういうのこそ癒し系なのかもしれない。
「準備するから、梢と遊んで待ってて」
「はぁ、わかりました」
「んじゃ、私の部屋いこう?」・・・
「ふぁ・・・」
俺はあくびをする。
どうも・・・この部屋の香りは俺の眠気を誘う。
「あ、ちょっと出てて」
「あぁ、着替えるのか」
俺は部屋を出る。
従妹だからって、女子の着替えをのぞくのは立派に犯罪な気がする・・・。
「いいよ」
「ういっす」
俺は部屋に入る。私服に着替えた梢。
「んじゃ、何する?」
「宿題教えて」
「・・・俺、同学年」
「いいじゃん。二人でやったほうが早く終わるよ」
「梢の分だけ・・・だろ?終わるのは」
「う・・・」
「ま、いいか。手伝ってやるよ。かしてみ」
「はい」
ドサッ・・・
目の前に、プリントの山がつまれた。
現状はまさに文字通り・・・人一人埋もれるには十分な量だ。
「・・・なにこれ?」
「なに・・・って、夏休みの宿題」
「・・・」
「今日配られたから、やっちゃおうかなって」
「・・・手伝いたくねぇ」
「男は・・・」
「一度言ったことに責任をもて、だろ?わぁってるよ」
俺は一番上のプリントから手をつける。
「なになに・・・?掛算の九九をかけ?・・・ナメてんのか?」
「え?なにが?」
「・・・」
おそらく梢専用宿題だろう。
俺はそれ以上つっこまず、とにかく解いていく・・・。
一時間で、山の半分が終わってしまった。
だが、それからが問題だった。
「・・・難しいな」
俺は別の紙に計算を書いて、答えを写す。
だんだんとスムーズにできなくなってきた・・・。
「ご飯ですよー?」
「よし、梢、終わりだ」
「うん、あともう少しだから、残りは夕飯食べたらね」
「・・・まだ続けるのか」・・・
その晩のご飯は、すき焼きだった。
「いただきます」
「たくさん食べてね」
「はい」
「それにしても、梢、啓太君に宿題手伝わせるなんて・・・」
「えへへ・・・」
「いいですよ。俺夏休みの宿題ないですから」
「え?」
「俺のクラスの教科担任は、宿題あんまり出さないんですよ。長期休暇でもプリント一枚とか」
「えぇ!?なんで!?」
「宿題の○ツケが面倒なんだって」
「・・・酷い。あの差はなに?」
梢はプリントの山を思い出す。
「まぁいいじゃないか」
「宿題を手伝わせた罰なんじゃない?」
「お母さんまで・・・」
「あはは」・・・
「啓太さん、終わった?」
パジャマ姿で部屋に入ってきた梢。
風呂からあがったようだ。
「大体・・・は・・・」
俺は部屋で大の字になっていた。
頭がオーバーヒート寸前だ。
なんかのCMみたいに、鼻と耳から蒸気が出たぜ・・・。
「そうだ、次は俺が風呂だっけ?」
「うん。そうだよ」
「んじゃ、入ってくる」
俺は着替えを持って風呂場へ行く・・・。
「ぷはぁ・・・ジェットバスいいねぇ」
梢の家は新築なので、風呂場も豪勢だ。
なんでも宝くじが当たったとかなんとか。
俺の家なんかまだ正方形っぽいヤツだぞ?
ブクブクブク・・・・
「ぉぉ、これこれ」
俺は風呂場で遊んでいた・・・。
「つ、疲れた・・・」
遊びすぎて疲れた俺は、とりあえず梢の部屋に行く。
まだ何かありそうだし。
そういえば荷物は梢の部屋だったっけ・・・。
「梢〜・・・?」
「え?なぁに?」
部屋で相変わらず机に向かっていた。
「まだ勉強かぁ、偉いなぁ・・・」
「ずいぶん疲れてるね?どうしたの?」
「ジェットバスの恐ろしさを身に染みてわかったところです。んで、俺はもう寝ちゃってもいいのかな?」
「えぇ?もう寝るの?」
明らかに不満そうな梢。
「何かあるならまだ起きてるけど?」
「・・・そうだ。そこの棚にある漫画読んでみてよ」
「えっと・・・これか?」
俺は少女漫画っぽいのを手に取る。
「そうそう」
「うぃっす」
暇だし、起きていてほしいと言うなら、読んでいよう・・・。
気付けば、俺は夢中になっていた。
パタンッ・・・
「梢、これ、この巻で終わり?」
「そうだよ。次は再来月に発売かな?」
「ちっ、いいとこだったのに」
「おもしろかった?」
「ああ。主人公ががんばって告白するとことかな」
「そうだよね!」
「女の子でも、あーいう葛藤とかってあるんだな」
「そうだよ・・・もちろん」
急になんだかしおらしくなる梢。
もしかして・・・
「梢もそういう男がいるのか?」
「え?」
「いや、いきなりしおれたから」
「・・・うん、いるよ」
「どんなヤツ?名前はいいから」
「・・・いつも前向きで、困った時は助けてくれて・・・いつのまにか、好きになってたの」
その真摯な態度に、よっぽどソイツが好きだと感じた。
「そっか。その気持ち、大事にしろよ?」
「え?」
「誰かを好きなった気持ちっていうのは、それだけで価値があるもんだ」
「・・・それって、さっきの漫画の台詞」
「お、よくわかったな」
さっきの漫画のワンシーンをそのまま流用した。
「ねぇ、啓太さん」
「うん?」
「その後、女の子がどうしたか覚えてる?」
「うーんと・・・確か、そう言った男が好きだったから、決意を固めて、告白・・・だったよな?」
「うん。あの子は・・・勇気あるよね」
「そうだな・・・俺でも、あーいうふうに踏み切れるかわからないな」
「うん・・・だから、啓太さんに漫画読んでもらったの」
「・・・は?」
「そうすれば・・・私も勇気出せるかなって・・・」
梢の瞳に俺がうつる。
「・・・」
「だから・・・」
「・・・梢、そういう・・・ことだったんだ・・・」
「・・・うん」
全てを言わなくても、わかった。
どうして梢が漫画を読ませたか、俺に起きていてほしかったのか・・・。
さっきの好きな相手が、誰なのか・・・。
「啓太さん」
「・・・」
「私は、啓太さんの従妹で終わりたくないんです。・・・啓太さん、私と付き合ってください」
まっすぐに俺を射抜く、迷いのない梢の瞳。
「・・・梢、俺は・・・!」
「・・・!」
ガバッ!
「!!ちょっ・・・!」
俺のペンダントが一瞬見えた。
「わかってます。こんなことするの・・・卑怯だって・・・」
俺に覆い被さるように抱きつく梢。
「でも・・・どうしても、啓太さんがほしいんです」
「梢・・・!」
ダメだ・・・こんなこと、梢を傷つけるだけだ・・・!
気付かせなくちゃ・・・!
「啓太さん・・・ごめんなさい・・・」
「梢、こんなの・・・ダメだって」
「私じゃ・・・ダメですか?」
「・・・」
『ケイタ・・・』
「!?」
突然、頭によく聞いた声が響いた。
ついペンダントを見る。
・・・その瞬間、俺は迷わなかった。
「ゴメン。梢・・・俺は・・・君を恋人とは・・・みれないんだ」
「・・・そう、ですか・・・」
梢はおずおずと俺の上から退いてくれる。
「本当にゴメン。俺は・・・帰らなくちゃいけないんだ」
「え?」
「俺は・・・戻らなくちゃ。なんとしても」
「啓太・・・さん?」
「・・・梢、君のことは忘れないよ。俺は・・・ここにきちゃいけないんだ」
俺はバックを持ってそのまま梢の部屋を出た。
玄関を出るとき、梢のお母さんが何か言ってた気がしたけど、気にしない。
ここは・・・俺のいるべき場所じゃないから。
(でも、どうすればいいんだ・・・?knonもないし・・・あれ?knon・・・?)
ちゃんと発音できなくなってきている。
俺の中から消えようとしているのか?
(msifイア・・・)
ダメだ。他の人も・・・
「くっそ!!どうすればいい!?」
俺はいそいで家に帰る。
「おい、啓太?梢ちゃんの家に泊まったんじゃないのか?」
「それどころじゃねーんだよ。俺は・・・いそいで戻らなくちゃ」
「梢ちゃんの家にか?忘れ物か?」
テーブルには敗北宣言のおでんがあった・・・。
「そうだよ。大事な忘れ物だ!」
俺はトレジャーハント服に着替えた。
(もぅ・・・あそこしかない)
「トレジャーハントの服なんか着て・・・どうするんだ?」
「父さん・・・母さんと仲良くしろよな。きっとわかってくれるさ」
「!!」
「この世界にたった一人のエクステルなんだろ?だったら、父さんがささえてあげろよ」
「なんで・・・エクステルだって・・・おい!」
俺は家を飛び出した。
knonと出会った場所へと急ぐ・・・!
もう、この世界ではそれしかない。
向こうと繋がっている可能性は・・・あそこしか・・・!!
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
梢・・・啓太の父の妹の娘さん。
啓太とは従妹で、啓太の父が生活力ゼロだったためにしょっちゅう啓太は梢の家に世話になっていた。
長年の付き合いで生まれた想いを啓太に伝えるも、メシフィアの声で記憶を取り戻してしまった啓太には届かなかった。
小柄だがスタイルは良い。