【ヨハネスブルク高尾具成】南アフリカ保健省は10月30日、9月にザンビアから南アに帰国した女性ら4人が原因不明のウイルス性出血熱で死亡し、病原体が新型のアレナウイルスであると特定したと発表した。
女性は9月12日に、ザンビアから航空機でヨハネスブルクの病院に緊急搬送され、2日後に死亡した。その後、女性に同行した医師や担当の看護師、接触のあった清掃員が相次いで発症し、10月6日までに死亡した。
南ア・国立感染症研究所(NICD)の特別病原体班が、米アトランタの疾病対策センター(CDC)特殊病原体感染症部門に検体を送り、協力して解明が進められていた。
病院によると、ほかにも約100人に感染の可能性があったため、追跡調査を実施。全員、危険な状態は脱したという。
アレナウイルスはネズミなどのげっ歯類が宿主となり、アフリカや南米で人間に対してウイルス性出血熱を引き起こしている。発熱や頭痛などの症状で始まり、肺不全や出血症状を合併して死に至ることもある。
人間に対して病原性を持つ新型のウイルスの出現には注意深い対応が必要だ。
毎日新聞 2008年11月1日 東京夕刊