クリントン時代以降続いていた米国経済が行き着いた果ての姿
今回の危機は、クリントン政権以来続いていた「それいけドンドン」の米国経済の行き着いた果てであった。クリントン時代は株式市場の景気が良かったが、ブッシュ時代に移ってからは住宅市場に変わっていった。そして住宅にまつわるさまざまな高度な債券化が徘徊した挙げ句、八方ふさがりの状態に落ちてしまったわけだ。これらの積み重なる問題を是正していくことは決して容易なことではない。IMFが介在した韓国危機と異なり今回は米国が一人で次々に手を打っている。
しかし、世界中にドルと国債をばらまいた米国がさらに大判振る舞いする政策は他の国にとっては最悪のシナリオである。米国債の45%は米国人以外が持っている。特に日本は600兆円も抱え込んでいる。そのほかに貿易黒字などでため込んだ外貨準備が100兆円ほどある。米国の金融危機で一番痛手を受けるのは日本である。だから、米国にこれ以上輪転機を回させないことがかぎとなる。世界中の政府も同じ思いであろう。
ということは、米国発の世界恐慌を防ぐには新たな世界組織が必要で、ポールソン一人に任せていてはいけないということである。米国がいかにポイントのずれた政策を混乱の中で乱発しているか、上記論文を読んで、是非その実態を把握していただきたい。
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