【ヨハネスブルク高尾具成】アフリカ中部コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部で、政府軍と反政府勢力「人民防衛国民会議」(CNDP)の戦闘が激化している問題で、戦闘は31日、主要都市ゴマ北方を最前線に小康状態に入った。しかし避難民の大量移動はルワンダ、ウガンダへ向けなお続いている。戦闘の背景には携帯電話向けなどに世界的に需要が高まるレアメタル(希少金属)の一つ、コルタンを巡る利権争いがあるとされる。
CNDPは31日、ゴマ空港に拠点を置く国連平和維持活動部隊「国連コンゴ監視団」(MONUC)とのにらみ合いを続けている。コンゴ民主共和国には国連最大規模の約1万7000人が展開するが、ゴマ周辺には約850人しか駐留しておらず、増員には数日かかる見通しだ。
CNDPのツチ系指導者ヌクンダ将軍は30日、MONUCに対し、人道的な救援や避難の道は開くと伝えた。
コルタン鉱石の鉱床は、CNDP支配地域の北キブ州などが中心で、武装勢力が採掘権を独占してきた地域に政府が入り込み、利権争いが戦闘に発展したとみられる。
コルタン(コロンバイトとタンタライトの略語)はオーストラリアやカナダなどが主要産地だが、埋蔵量はコンゴ民主共和国が世界一ともいわれている。
コルタンから精錬される金属タルタンは、電子部品に不可欠な鉱物資源で、携帯電話やコンピューターなどで使用されている。欧米や、日本を含むアジアの企業が大半を買い占めており、ハイテク産業の伸長に伴い、価格が上昇している。
国連の報告書によると、コンゴ民主共和国では、武装勢力が配下に置く地元住民にコルタン鉱石などを不正に採掘させ、武装勢力を支援するウガンダ、ルワンダなどを介して輸出。武器調達の資金源としているという。
毎日新聞 2008年11月1日 0時12分