航空自衛隊の田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長が、民間企業主催の懸賞論文に応募して「我が国が侵略国家というのは濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)」などと執筆し更迭された問題で、他に複数の現職自衛官が同じ懸賞論文に応募していたことが分かった。入賞者は田母神氏以外はなく、論文は公表されていないが、防衛省では、上司への連絡を怠るなど内規違反がないか、事実関係の調査を検討している。
田母神氏が応募したのは、ホテルチェーンなどを展開する総合都市開発「アパグループ」(東京都港区)が主催する「真の近現代史観」懸賞論文。今年5月からの募集に対して約230件の応募があり、田母神氏の「日本は侵略国家であったのか」と題した論文が最優秀賞を受賞した。この論文を含めて入賞した13件の受賞作品集出版も予定されている。13件には他に現職自衛官の論文はないが、入賞しなかった中に現職自衛官の論文があったという。
防衛省では内部の規則で、隊員が職務に関する意見をメディアなどで発表する際、文書で上司に届けることを求めている。空幕長の場合、官房長に連絡する必要があるが、他の隊員の場合は上司に連絡する必要がある。このため防衛省では、内規違反がないかについての調査などを検討している。【本多健】
毎日新聞 2008年11月1日 21時21分(最終更新 11月1日 21時24分)