【第19回】 2008年09月12日
目が覚めたらなぜ「夢」は忘れてしまうのか?
──夢が記憶に残らない理由
人間は生きているからこそ、あらゆるものを記憶しようとするし、記憶は未来のガイドとして役に立ちます。言いかえれば、記憶は人間が生きるために存在しているともいえます。
誰もが交通信号の赤は危険の警告だと知り、それを覚えています。それは自身を守るための記憶であり、生きるために記憶が必要だと証明しています。
一方で、夢は直接的な行動に結びつきません。たとえ現実の世界でなかなか告白できない気弱な男性でも、夢の中では意中の女性を口説くこともできます。しかし、それが現実の行動に結びつくかといえば別問題です。
このように、現実の問題と乖離し、行動に結びつかない場合、それは記憶には刻まれないのではないでしょうか。記憶は人間が生きるために存在していますが、夢の中の現象や行動は現実の生とかけ離れているからです。そのため、目が覚めるとほとんど夢を記憶していないのです。
夢は確かに現実を反映しています。反映しているが、それが現実に貢献することはほとんどないのです。
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山元大輔 [監修]
(東北大学大学院生命科学研究科教授/理学部生物学科教授)
1954年東京都生まれ。東京農工大学農学部卒業後、同大学院農学研究科修士課程終了。理学博士(北海道大学)。ノースウエスタン大学医学部博士研究員、三菱化学生命科学研究所室長を経て、1999年から早稲田大学人間科学部教授。同大学理工学部教授を経て、現在、東北大学大学院生命科学研究科教授。同大学理学部生物学科教授。
人間は脳あってこその存在。行動、感情、性格の数々はすべて脳が決めています。「脳」を知ることは、あなたの中の「なぜ?」を知ること。当連載では、脳のトリビアともいえる、意外な脳の姿を紹介していきます。