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プロポスレ@Wiki 妖夢4

妖夢と手を繋ごうとしたら、
『私の両手は白楼と楼観で塞がっています』って断られた。
ショボーンってしてたら、
『ですから、背中を預けさせてください』って返された。

奥手妖夢もいいけれど、こういうのもたまには。

6スレ目 >>958

───────────────────────────────────────────────────────────
「うむ、実にいい天気だ」

 ここは冥界、白玉楼。
 その屋敷の中のとある一部屋で、俺は襖を開け放ち爽快な目覚めを演出していた。

 春の訪れを感じさせるかのように、幽玄な雰囲気を醸し出す庭に植えられた桜の樹もその蕾を今にも開かせようとしている。
 この分だと今週中には花も満開で見頃になることだろう。その時が非常に楽しみである。
 その景色を一目見ようと、朝から出勤ご苦労な幽霊たちにも同意できるというものだ。

 庭のいたる所に幽霊がふよふよとしているのは一見シュールかもしれないが、慣れてしまえばどうってことはない。
 慣れって怖いね。

「お早う御座います。朝食の準備が整いましたので……」

 しばし壮大な景色に見惚れていると、ふと後ろ側から掛かる声。
 わざわざ顔を確認するまでも無い。声だけで誰だか判断できる。
 庭に群がる幽霊たちから目線を移しそちらの方へと向けた。


「おはよう、妖夢ちゃん」

 華麗な180度ターンと共に素敵な笑顔を一発披露。
 きっと俺の歯は芸能人のように朝日に光り輝いていたことだろう。

 が、俺の素敵スマイルに対して目の前の少女の反応は薄い。というか無い。
 まるでその胸の様だなんてことは口が裂けても言えない。
 言ったら本当に裂ける。裂けさせられる。

「では、遅れないようにしてくださいね」

 妖夢ちゃんはそれだけ言い残して、足早にこの場を去ってしまう。
 うむぅ、相も変わらず無愛想なものだ。




 俺がここに来たのは今から一ヶ月ほど前。
 諸々の事情によりご臨終してしまった俺がいつのまにか居たのがこの白玉楼だった。

 訳も分からないままこんな所に来てしまった俺は、他に縋るような物も無いのでとりあえず白玉楼に厄介になることになった。
 今更幽霊がほんの一人増えたくらいで誰も気にしないわよー、というのはここの主人の幽々子さんの言い分。
 妖夢ちゃんはいたく気にしていたようだったが、主に幽々子さんと俺に押し切られて渋々ながら俺がここに居座る事を承諾してくれた。

 そういえばあの頃から妖夢ちゃんってば俺に対して何かしら敵対心があったなぁ。
 まあ彼女の生真面目で一本気な正確からすれば、きっと俺みたいな異常を受け入れることに抵抗があったのだろう。
 かといって昨今に及んでまでその姿勢を続けられると、ちょっとこっちとしても気になる。
 俺だってこんな険悪な雰囲気の関係のままではいたくない。
 うーむ、何か打ち解けられる切っ掛けがあればいいんだけどなぁ……











「ふぃー、満腹満腹」

 朝食を済ませた後、俺は縁側に腰掛けて湯呑みを片手に近くをへよへよと漂っている幽霊といつものように談笑していた。
 これだけ色々な幽霊がいるとそれだけたくさんの話を聞くことが出来て面白い。
 また基本的には老人が多いので、他人の歩んできた道を聞く事で色々勉強にもなるから一石二鳥だ。



 そんな折、ふと前方に目をやると二百由旬の庭を忙しなく駆け回る庭師の姿が。
 由旬って何だろう?

「お、あれは」

 言うまでも無く妖夢ちゃんである。
 何だか謂れのあるらしい二刀を両手に、せかせかと庭の草木の手入れをしていた。

 小さい体で駆け回るその姿を見ていると、何だか微笑ましい気分になり自然と頬も緩む。
 刀で手入れするのかよ、などという瑣末な突っ込みもどうでもよく思えてしまうものだ。いや、どうでもよくないけど。
 あ、目が合った。


「………」

 だが、それも一瞬。
 ぷいっと明後日の方向を向いて、止めていた手を再び動かし始めた。
 いかん、全く相手にされていない。


「これはもっとコミュニケーションが必要だなぁ、っと」

 中身のすっかり無くなった湯呑みを傍らに置いて、よいしょと縁側から腰を上げる。
 思わず漏れてしまった声に老化と憂鬱を感じながら、一区切りがついたのだろう一息ついている庭師の背中に歩み寄る。


「や、お疲れ様」
「どうも」
「……」

 会話終了。



 再開。

「一人でこんなに広い庭を手入れするなんて大変だねぇ」
「いえ、もう慣れましたので」
「そっかー」

 再終了。

 く、くそぅ、まだまだー!

「ちょっと休憩してお話しない?」
「休憩は構いませんがお話は遠慮させていただきます」
「つれないなぁ。でもそんなところも可愛い可愛い♪」
「なッ…!?」

 ぼっと言う効果音が聞こえてきそうなくらい真っ赤な顔になる妖夢ちゃん。
 ふむ、どうやらこういうことに関しては奥手なようだ。
 生粋の真面目人間である。そういうところも及第点。

「ありゃ、茹でタコだねー」
「みっ、みょんな恥ずかしい事を軽々と言わないでくださいっ!」
「しょーがないよ、だって妖夢ちゃんが可愛――――って」


 突如さっきまでの赤らふっと顔が消え、妖夢ちゃんの顔が俯き加減になった。心なしか殺気さえ感じられる。
 握り締められた拳がぶるぶると震え、その手は腰に差してある刀へと伸びる。
 いかんっ、過去に幾度か経験した事のあるこのパターンはッ……!



「天誅ぅッ!!」
「のわぁっ!」

 繰り出される抜刀からの斬撃を紙一重で交わす。髪の毛が何本か宙に舞った。
 まあ俺はこんな状況でも自分の頭髪の未来を心配する余裕はあるらしい。


「ダメダメっ!俺ゆーれーだから斬られたら成仏しちゃう!」
「問答無用ォォ!!」
「ひいぃぃっ!」

 必死の命乞いもなんのその。
 悪鬼羅刹の如く斬りかかってくる妖夢ちゃん。




 妖夢ちゃんをからかいすぎて、とある臨界点を突破するとこういう事態になる。
 初めて出会った頃は『妖夢ちゃん』と呼んだだけでも手を刀に添えられたものだ。
 それと比べたら最近は本当によく成長した――――ってんな事考えてる暇無ぇーーー!




「ちいっ!だがしかし、俺の足を舐めるなぁーー!!」


 こう見えても俺は足は速い方だ。具体的には、学生時代に選手リレーで必ずノミネートされてたぐらい。
 増して相手は娘っ子!キャパシティにも幾分か俺の方にハンデがある。
 この勝負……貰ったあああぁぁ!!


「ふはははははは、追いつけるなら追いついてみたまへー!!」
「甘いです……剣術にとって最も大切なのは歩法!」
「何ィ!?」

 どっかで聞いたことのある台詞と共に、妖夢ちゃんが不敵な笑みを浮かべる。いや、前向いてて見えないから憶測だが。
 この妖夢ちゃん、なんだかんだ言いつつノリノリである。


「そんなもの、止まって見えますよ!」

 轟、と風を纏いながら瞬く間に俺の前を走りぬける妖夢ちゃん。
 ぬお、物凄いスピードだ!
 って、あれ?確かこの先には……


「ふふ、どうですか!」
「あ、妖夢ちゃん危ないー!」
「?何を言って――――――――って、きゃああぁぁ!?」



 ザッパーン!








「う゛う゛ー……」
「はは、大丈夫ー?」
「……(プイッ)」

 あの後、妖夢ちゃんは庭の池に落っこちて幽々子さんにこっ酷く叱られた。
 そりゃ後ろを向いて走っていればしょうがないだろう。
 今妖夢ちゃんはバスタオル一枚に包まっているわけが、その件に関しては瀟洒にスルーするのが紳士というものだ。
 何となく用法が間違っている気がするがそこは気にしない。


「……へっくし!」
「おっと、風邪引いちゃったかな?」
「……」
「……しょーがない、ほら」

 流石に見かねて着ていた上着を手渡す。
 最初の内は見向きもしなかった妖夢ちゃんだったが、やはり寒さに勝つことは出来なかったのかおずおずとそれを受け取った。



「……」
「ま、もうすぐ春って言ってもまだ寒いからねー」



「……」
「ふう、そろそろお昼ご飯の時間かなー?」



「……」
「うーん、それにしても今日はいい天気だ」



「…………ぁの」
「うん?」



「……ありがとう、ございます、その、上着」
「いいっていいって、ちょっとは俺にも責任あるし」



「……」
「じゃ、俺は行くねー」







「……(ぎゅっ)」










 白玉楼の長い廊下を、一人思案に耽りながら歩く。
 今日は妖夢ちゃんの色んな素顔を見ることが出来た。
 先の様子からして、少なからずとも俺に対する悪いイメージは多少は払拭できたのだろう。


「……ふふっ」

 それにしても。

 妖夢ちゃんがあんなに表情豊かな娘だとは知らなかった。
 行く行くは俺に対して笑顔を向けてくれるよう、これからも努力しよう。


 今日は俺の白玉楼での生活の中に新たな目標が生まれた、そんな一日だった。












◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 とある庭師の手記


 ○月 □日 快晴

 今日は○○さんにからかわれた挙句、自分から池に落ちてしまいました。
 一生の不覚です。恥曝しです。
 あの時に天狗がいなくて本当に良かったと思います。

 また一層囃し立てられるのかと危惧していましたが、意外なことに○○さんは私に優しく接してくださいました。
 いつもの調子がああなので、変にむず痒いです。
 考えると余計に意識してしまうので、あまり考えないようにします。


 とりあえず、今はどうすることも出来ないので早く寝ることにしましょう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


7スレ目 >>58

───────────────────────────────────────────────────────────



 陽が、沈む。

 宵を迎えた空はゆっくりと紫の色に染まり始める。
 自分の体はそれらと急激に距離を開けていた。


 風を、感じる。

 肢体は虚空に投げ出され、重力に導かれるまま唯々地面を目指す。
 目の前の光景がみるみる眼前に迫ってきた。






 迫ってきた。あと10メートル程だろうか。




 迫ってきた。…………残り1メートル?




 迫ってきt、ってえええええええええええええええぇぇぇぇぇ!?

































  ぐしゃり














































「やっぱり俺、死んじゃった…?」

 自分の記憶を遡ってみるも思い出せるのはこのシーンだけ。
 訳も分からず落下する俺の体。そして目の前に広がるいかにも硬質なコンクリートの地面。
 そして肌で感じたあのとんでもない速度。

 十中八九、ただでは済む筈が無い。というか、確実に死ぬ。
 …………筈、なのだが。




「しっかし……コレはどういうことかねぇ」

 現に、俺はこうして生きている。

 そして目の前に広がるのはとてつもなく広大な……庭?
 樹が所々に植えられていたり玉砂利が敷き詰められている様子を見るに、それは確かなのだろう。
 だがこんな場所は俺の記憶が確かなら見たこともないし聞いたことも無い。

 大体、体に何の異変もないし痛みも感じない。
 怪我の一つぐらいもしていないというのはさすが異常を通り越している。






「さては……大ピンチの俺に何か超人的な力が宿ってあの危機的状況を切り抜けたとか」

 おお!だとしたらすごいぞ、俺!
 成る程、だからさっきから地に足がついてないと感じるほどに体も軽く…………











「…………あれ?」

 そういえば先ほどからやけに気になっていた。
 何だろう、この一種の未確認浮遊快感は。

 嫌にふわふわとしていて、そう、言うならばまるで空を飛んでいるような。
 先の落下の残滓としてはやけにリアルに感じられる――――――って、




「うおぉぉぉぉおおおお!?」


 ○○は「そらをとぶ」をおぼえた!とかそんなノリじゃあ断じてない。
 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……とかそんな俺の今の心境。



「う、浮いてるのか、俺は?」

 目線を足元に向ければそこには地面から数センチほど浮き上がる俺の脚が。

 マジか、マジですか。
 これはもう我が身に神憑り的な力が宿ったという説を否定できない!
 ヒャッホウ!齢(自主規制)にして俺はついにすんばらしい力を…!












「……え~っと、どちら様でしょうか?」


「ぬ?」


 有頂天で思わず小躍りを始めてしまった俺の背後から、なにやら控えめな声が掛かる。
 人間の心理としてそれに思わず振り向いてしまう自分の体。
 果たして、俺が目に留めたものは……
















「…………辻斬り?」


 見たまんまを口にしたら本当に斬られそうになった。
 全く、可愛い顔して中々の遣り手である。

 と、思わずまた口に出してしまったものだからまた斬りかかってきた。
 この娘超怖い。



























「…………ってことは、ここは冥界、ということで?」
「ええ、その通りよ」


 庭によく似て何ともだだっ広い和室にて。


「そーか、やっぱ俺は死んだのか」
「普通はすぐに気付くものだと思いますが……」


 俺は机を挟んで、ここ白玉楼の二人の住人と向かい合っていた。


「しかし……これが幽霊ってもんなのか。何だか実感湧かないなあ」

 あの後辻斬り少女に連れられてきて、俺は今この場所にいる。
 そして此処の主である西行寺幽々子さんに今の状況について話を聞き終えたところだ。

 何とまあここは死後の世界、冥界に存在する白玉楼という場所であるとか何とか。
 そして眼前に存在する二人……もとい、一人と半分は幽霊らしい。それと他にも色々。
 未だに半信半疑ではあるが、いかにも的を得ていてそれが一番納得のいくような話だし、辻斬り少女の隣にふよふよと浮かぶ人魂っぽいものが何よりの証拠であろう。
 というか他に信じる物も無いのでそういう事にしておいたというのが本音である。


 ……あの人魂、触ってみたいなー。


「で、これから俺はどうしたらいいんでしょうかね?」

 瑣末な自分の願望はさておき、割と真面目な話題に入る。
 何でこんな所に来てしまったのかだの何だの疑問は尽きないが、この際は捨て置くことに。
 成仏もせず浮遊霊としてこれからどうしたらよいのかは、やはり経験者に聞くのが一番だろう。

 ていうか俺、幽霊初体験!すげえ!
 ……まあ誰だってそうですね、ハイ。

「ん~、そうねえ」

 言葉の調子そのままに、醸し出すオーラまでふわふわとしている幽々子さん。
 やっぱあれか。ふらふら空中を漂ってると、性格までそんな風になっちゃうモンなのか。

 心配だ。
 なるべくこれからは地に足をつけて生活することにしよう。主に二重の意味で。



「特に行く当ても無いでしょうから、ここに居てはどうかしら?」

「え……」

 俺にとっては頗るありがたい申し出に対し、どこか嫌そうな表情を浮かべる辻斬り少女。
 だがここで引き下がってはこれからの事が一切分からなくなるのでそこは譲れない。


「おお、それはありがたいですな。部屋はあるんですかぃ?」

 とりあえず辻斬り少女の事はごく自然にスルーしてして幽々子さんに尋ねる。
 何となく嫌な視線を感じるようだが、それはあくまで気のせいだと切り捨てた。

「ええ、幾らでも余ってるから好きなところを使っていいわよ」

 話がよく分かる上に懐も深い。
 いやぁ、やっぱり大人の女性ってのは違うねぇ。
 それと比べてこちらの少女は正反対だ。

「幽々子様、よろしいのですか?」

 先ほどから話を聞くだけだった辻斬り少女も漸く口を開く。
 どうやらこの娘は不正や例外は捨て置けない真っ直ぐな性格であるらしい。
 うんうん、そういう女の子も嫌いではない。

 今更幽霊がほんの一人増えたくらいで誰も気にしないわよー、というのは幽々子さんの返答。
 森の中に一本の木が増えたところで誰も気に留めるところではないのだ。

「いえ、私が気にするんですが……」
「もう、相変わらず生真面目ね。少しは頭を柔らかくしなくちゃダメよー?貴方のその半霊みたいに」
「そうそう、これから同じ屋根の下で暮らしていくんだから仲良くしようよ―――――って」


 呼びかけようと思って、迷う。
 そうだ、まだ辻斬り少女の名前を聞いていなかった。
 辻斬り少女と呼んでも特に問題は無いが、それによって斬りかかってこられる点については大いに問題がある。


「えーっと、君の名前は何ていうのかな?」

 問い掛けられ少し言い淀む素振りも見せたが、どうにか口を開いてくれた。
 これから毎日顔を合わせる間柄になるので、できれば友好な人間関係を築いていきたいものだが……

 まあ、それはこれからの俺の努力次第だろうな。
 なるべく好印象を植えつけるようにしていかねば。



「魂魄……妖夢と申します」

 以後、お見知りおきを、と佇まいを正し、ご丁寧に頭まで下げて名乗った。
 思わずこちらもつられて頭を下げてしまう。

 なるほど、妖夢……かあ。




「よし!それじゃあこれからもよろしくね、妖夢ちゃん!」

 某恵比寿神顔負けの笑顔で宣言する。
 これで日当たりのいい人柄だという事は存分にアピール出来たはず――――――って、あら?



「よ、…妖夢……ちゃん、…ですか………?」

 俺の目の前の少女は一瞬呆けた表情をしたかと思うと、拳を握り締めてぶるぶると震えだした。
 これは…もしかしなくても怒ってる?


「あ、あらー?気に食わなかったかなー、妖夢ちゃん?」

「…っ!その名前で私を呼ぶなああぁぁーー!!」
「おわぁっ!?」

 またしても斬りかかってきた。
 そういや、冥界では銃刀法違反は適用されないのだろうか。
 だとしたら犯罪も増えるんじゃないかなー、という疑問はとりあえず後回しに。

「だ、だったらどう呼べばいいんだい、妖夢ちゃん!?」
「だから、やめろと言っている!!」
「ひいいぃぃ!」

 八相の構えから腰を落としてこちらに突っ込んでくる。
 横眉怒目の眼光からは殺気がビンビンに漲っていた。

「ていうか幽々子さん、楽しそうに眺めてないで助けてくださいyって、うおおおおぉぉぉ!!」

 いけない、少しでも速度を落としたら……殺られるッ!


「そこに直れえぇー!!」

 部屋を出て庭まで逃げてもまだ追ってくる。
 全く執念深いというか、何というか。

 しかし顔を真っ赤に染めて怒っている顔もなかなかいいものだ。
 ゆっくりと眺める事が出来ないのが非常に残念である。



 こうして俺の白玉楼での生活は、とても快調とはいえない幕開けを迎えたのだった。



「やれやれ、この先が心ぱiって、うぉ!あぶねぇっ!」


 因みに、この鬼ごっこは幽々子さんのお腹の虫が鳴いて妖夢ちゃんが食事の準備を始めることになるまで続いた。












◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 多少乱暴に書き殴られた手記


 ○月 △日 晴

 今日は白玉楼にとても変わった人物が訪れました。
 見たことも無いような衣服を纏い、とても個性的な身嗜みをしていました。
 あと、非常に無礼な奴でした。

 その○○という名の者は、幽々子様の御意向によりなんとここに住み着くことになってしまったのです。
 これから毎日あの態度で接してくるのかと思うと頭が痛くなります。

 明日に備えて早く寝ることにしましょう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


              続





 そろそろ本格的に春の訪れを感じる頃になった。

 俺の白玉楼での生活もすっかり慣れたものになり、幽霊としてもだいぶ板に付いてきた。
 幽々子さんとお茶を飲みながら縁側で呆けていたり、花を付け始めた桜をそこらの幽霊と一緒に眺めていたり。
 主にそんなまったりとした雰囲気で、俺のここでの日々は過ぎていった。

 変化らしい変化といえば、やはり妖夢ちゃんのことだろうか。
 あの池への転落の一件以来、何かとあちらからも話し掛けてくれることが多くなった。
 やたらと言葉に詰まっていたり一言話しただけですぐに逃げたりするが、まあ彼女にも色々あるのだろう。何にせよ嬉しいことに変わりは無い。
 全く、出会った当初と比較すれば素晴らしい変化だ。

 問題らしい問題も無くなり、ゆるゆると流れ行く毎日。
 ずっとこのまま平凡な日々が続いていくのではないかと錯覚してしまう。


「…………」


 錯覚、してしまうほどに。
 本当に、今の生活は俺にとって幸せなものだった。




 あくる昼のこと。
 俺はいつも通りに昼餉を終えて、縁側に腰掛けて考えていた。


 言い様の無いわだかまりが心を重くする。
 不都合な事など何一つとしてない筈なのに、何か不安のような物を俺はいつの間にか抱えていた。

「……ふぅ」

 溜息を、ひとつ。
 これでまた一歩年寄りに近づいたなー、と普段通り自然に考えることが出来ていたなら、まだ気は楽だったのかもしれない。
 どうやら自分は知らぬ間に相当追い詰められていたらしい。


 それは、確証など無いのに。
 必ず訪れると『感じる』、言うならば運命のようなものだろうか。


 だからといって、何が出来る訳でもない。
 そも、何をするべきかも分からない。
 それがまだ余裕を感じている証拠である、と断定するのは些か説得力に欠けた。



 まあ心にゆとりを持っているにせよ、いないにせよ。


「おー、やっと見つけたよ」


 その運命とやらは俺が思ったより早く動いていたということだ。












 本日の夕食の席にて。

「大変ご馳走様でしたッ」

 ぱんっ、という小気味の好い音が今日も食卓に響く。
 ○○が来てからというもの、幾分かここの雰囲気が明るくなったように感じる。
 きっとそれは彼の生まれ持っての個性というか特性なのだろう。


「どうも、お粗末様でした」

 だがやはりその影響を一番受けているのは妖夢だろう。
 あの一本気がここまで感化されるとは思ってもいなかった。
 まぁ、性格だけに留まらず様々なところに影響を与えられているようだが。

 ふう、若いっていいわねー。
 私もまだあの頃は……



「あー、幽々子さん。ちょっとお尋ねしたい事が……」
「あら、何かしら?」

 食事の後の一杯のお茶を愉しんでいる最中のこと。
 平素よりも幾らか声のトーンを下げて○○が尋ねてくる。

 わざわざ妖夢がいなくなった後に聞いてくるということは、何かあの娘に聞かれたくない話なのだろうか。
 もしかしたらそれは私の期待する類の話なのではないか、とその時は若干心弾む心持ちであったが、


「……彼岸までの道のりを、教えて欲しいんですが」


 次の瞬間には冷水を頭から被ったように、身も心も冷めてしまった。




 そういえば、と。
 後から思い返してみれば、この日は彼が来てから49日目だった。












◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 くしゃくしゃに捨てられた手記


 @月 ×日 曇り

 もう○○さんが白玉楼を訪れてから随分と経ちました。
 きっとこれからも行く当ては無いのでしょうから、当分の間はここにいるのでしょう。

 何も、嫌だというわけではありません。
 寧ろ(黒く塗りつぶされていて読めない)

 何を書いているのでしょう。
 最近の私は何だかおかしいです。
 これも○○さんの影響なのでしょうか。
 全く分かりません。分かりたくありません。


 追伸。

 今日の昼方、小町さんが○○さんを訪ねていたようですが、何かあったのでしょうか。
 全く分かりません。

 気にしてもしょうがないので早く寝ることにしましょう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇























「なんつーか……賑やかだなあ」

 昨日、彼岸への道のりを幽々子さんに教わった俺は中有の道とやらに差し掛かっていた。
 聞いたところによると死者の溢れる場所なのだからさぞかし暗い所なのだろう、という俺の予想に反して、そこはとても華やかだった。

 確かに周りは人魂を浮かせた死人だらけだ。
 が、その数に比例するようになんとも出店が多い。
 またそれぞれに掲げられた看板も目を惹くものばかり。
 何だろう、死霊金魚掬いって。激しく気になる。
 思わずその雰囲気に流されて遊んでしまいたくなりそうだ。


「そこの旦那、ちょっと見ていきなよ」
「いやー、今持ち合わせが無くってさー」

 先程からこのようにして声を掛けられることもしばしば。
 気になるのは山々だが、この世界で使えるような通貨も持っていないため見て楽しむ事ぐらいしか出来ない。

 それに。
 俺がこの場所を行く理由はもっと別のところにある。
 思い返されるのは、昨日の死神――小町って言ったっけ?――の言葉。













「あんたが○○ってヤツだね?」
「……えーっと、どちら様?」

 質問に質問で返すとは多少失礼であったかもしれないが、考えを巡らしていた俺の頭はそこまで気が回らなかった。
 まあ目の前の物騒な鎌を携えた女性は、そんな瑣末な事を微塵も気にしていなかったから良かったと言えば良かったのだが。

「あたいは死神の小野塚小町。三途の川の一級案内人ってやつさ。」

 事も無げに話す彼女に対して、俺の方はそれなりに驚いていた。

 何とまあ、これが死神。ノートは持っていないようだが。
 まさかこの目で見ることになろうとは。
 何だか、こっちに来てからは色々と驚くことが多い。

 一級というのは恐らく自称なんだろうなー、というのが何となく口調から読み取れるが口には出さないでおく。
 それにしても。

「その三途の水先案内人、とやらが俺に何の用で?」

 ここは冥界であって三途の川などではない。
 管轄の違う人間はお呼びではないと思うのだが……


「あんたを連れに来たのさ」



「…………何?」


 ああ、これが、俺の感じていた運命というものなのか。

 以前、幽々子さんに少しだけ人の死後のシステムについて聞いたことがあった。
 人は死後、中有の道を通って三途の川に至り、そこを船で渡って彼岸に着くと閻魔様の裁きを受ける。
 そこで罪の重さによって天界やら地獄やら行き先が決まるんだとか。


 そして今、幽霊である俺の下にわざわざ三途の川の案内人がやって来たということは。
 文字通り、『お迎えが来た』ということなのだろう。


 その後の小町の言葉はあまり覚えていない。
 それなりに重要な事なのだから聞き落とすのは不味かったが、それすらも耳に入ってこないほどその時の俺はショックを受けていたということだろう。

 要約すれば。
 今までは六十年目だか何だかでやたらと死者が多く、幽霊の管理もままならない状態であった。
 だから見落とした幽霊――この場合俺の事だろう――もいて、それらが色々なところに迷い込んでしまった。
 最近ではやっとこさ死者の数も減り、彼岸にも余裕が出てきた。
 そこで抜け出してしまった幽霊たちをまた集めている、というところだろうか。

 あの後、小町は「それじゃ、ちゃんと三途の川まで来ておくれよー」とだけ言い残して去っていってしまった。
 てっきり有無を言わさずに連れて行かれるものかと思っていたがそうでもないらしい。
 何だか煩わしそうに仕事をこなしていたのを見る辺り、俺を引き連れていく気力というか、単にやる気が無かったのだろう。
 どうやら死神というのは面倒臭がりな性格であるらしい。











 以上、回想終了。
 そんなこんなで俺は今彼岸を目指しているという訳だ。

 もし。
 閻魔様の裁きを受けてその後の行き先が決まってしまったなら。
 俺はまたあの白玉楼の住人たちと会うことができるのだろうか。

 もし。
 もう会うことが出来ないとしたら。
 彼女らは、妖夢ちゃんは俺をどう思うだろうか。

 分からない。

 そして、どうすれば良いのかも分からないまま、何も出来ないまま、結局俺はここまで来てしまった。


「……っと」

 ふと見てみると、あれだけの屋台の喧騒もいつの間にか遠くなり、周りには静謐とした空気が流れていた。
 辺りには霧が漂い始め、川らしきものが薄ぼんやりと視界に移る。

「おー、来たみたいだね」
「まあ、来いって言われてたし」
「逃げ出して貰っても良かったんだがね」
「それじゃあ仕事にならんだろうに」

 いつの間にか現れた小町が近くの岩に腰掛けていた。
 ここでならその手に持つ鎌も幾らか様になっている。
 正に死神、という感じだろうか。

「じゃーさっさといこうか。ほら、渡し賃出して」

 む、困った。
 さっきもそうだが俺は金など一文も持っていないため催促されてもどうしようもない。
 まさか渡れないとか……?

「あーっと、俺は金が無くてだな。サービスとかは……」
「生憎そういった期間でもないんでね。でもあんた、結構持ち合わせてるじゃないか」

 期間が期間ならあるんかい、という突っ込みは喉元で押し留めた。
 ここには何も無いはずだが、と疑いながらも指で示されたポケットを探ってみる。
 あれ、この感触は……

「うわ、こんなにいつの間に」

 重みは感じないのに、どんどん小銭がポケットから湧き出てきた。
 一種の怪奇現象だろうか。

「ほー、これはまた……」
「うーん、こんなの入れた覚えは無いんだが」
「三途の川の渡し賃は生前親しかった人たちがあんたの為に使った金額の合計で決まる。
 するとあんた、結構な人数に慕われてたらしいね」

 俺がポケットから取り出した金は、全部で両手一杯にもなった。
 そんなに思われるほど俺は良い人間だったとも思わないのだが……
 他人の考えていることはよく分からん。


「これならあっち側までもすぐだろうさ。さーお客さん、乗った乗った」
「おっと」

 半ば強制的に川の畔に止められている木製の船に乗せられる。
 ……何だかこの船、今にも沈みそうで怖い。

「いよーし、それじゃーあたいのタイタニックで三途の川を楽しんどくれ」

 小町も船に乗り込み、舵を取って川を漕ぎ始める。
 ギギギ、という何とも不安の募る音を発しながら船はゆっくり動き始めた。
 これでタイタニックか、とも思ったがいずれは沈む運命にあるという点からすれば、なるほど納得できないこともない。


「それにしてもあんた、災難だったねー」

「そういや、お前さんは外の世界の住人なんだろう?
 どうなってるんだい、あっちの世界って。」

「おっと、あんまり川を覗き込まない方が良いよ。落っこちたら魚の餌だからね」


 度々話しかけてくる様子から思ったのだが、この死神さんはとても口が回る。
 やれこの間は閻魔様にこっぴどく叱られただの、うまい仕事のサボり方は知らないかだの、かれこれ十分以上はずっと喋っていた。
 全くこっちの気分などお構い無しに何かと話しかけてくるのだ。

 ……ま、そのお陰で塞いでいた気持ちが少しでも和らいだのだから文句は無いが。



「おー、もう岸が見えたね」
「あれが……」

 霧ばかりでよく見えなかった川の中に、だんだんと向こう岸が見えてくる。
 あそこで俺は裁きを受けて、そして……

 知らず、握り締めた拳に力が篭っていた。












 こんにちは、魂魄妖夢です。
 私は今、自分の部屋で瞑想に耽っています。

 何故そんな事をしているのか、と聞かれれば。
 それは先刻幽々子様に告げられた事が理由なのでしょう。


 ――その内容は、○○さんがもうすぐいなくなるかもしれない、ということでした。

 思えば、ここ冥界というのは転生を迎える者がその時まで待つための場所。
 ○○さんがここに来たのは恐らく偶然なのでしょうが、彼も例外でなかったのかもしれません。

 今思い返すのは彼がここに来てからの事、そして思うのはこれからの事。
 幽々子様は「あなたの行動一つで彼のこれからも変わるわよ」と仰っていましたが……
 私にはよく分かりません。きっと私の未熟故にでしょう。

 思い当たる節があるとすれば、それは、その、きっとあの事なのでしょうが。
 でも、まさかそんな事が○○さんに影響を与えるのでしょうか。

 ……分からない事だらけではありますが、自分の気持ちだけははっきりとしておかなければいけないのでしょう。
 彼がきっと戻ってくる、それまでの短い時間の中で。















「……疲労困憊とは、きっとこの事を言うんだろうな」

 彼岸からの帰り道。
 俺は疲れた体を引き摺って白玉楼を目指していた。

「なんつーかあの閻魔様、説教がやたらと長いんだよなー」

 大学の講義をサボったとか、罪らしい罪でもないだろうに。
 小学校の頃、野球をしてて近所の家のガラスを割ったとか覚えてませんて!

 何かにつけて、どんな些細な罪でも見逃さずに説教をかましてくる。
 しかも相手の外見が幼い女の子であるから余計に納得がいかない。
 というか、閻魔様の前ではプライバシーもへったくれもあったもんじゃないな。


「………」

 結局、俺に言い渡された処分は『転生』。
 俺の死因は不幸な転落事故であったらしく、その事に関してはお咎め無し。
 先述の通り何か大きい罪をやらかした訳でもないので、地獄に落とされる心配も無かった。

 だが、何であろうと。
 畢竟冥界の彼女らと別れてしまうことに変わりは無いわけで。
 覚悟していたとはいえ、やはり改めて聞かされると結構辛い。
 転生までの間は多少の猶予はあるらしいので、それまでは白玉楼に行くことになったのだが。

「………はぁ」

 吐いた息もすぐに虚空に消える。
 いつもは高く思える空も、今日に限って何だか重く、低く感じる。

 足取りは中々軽くなってくれず、ただ刻一刻と俺の憂慮するときが近づいてきて。


「……着いてしまった」


 ついに、俺は白玉楼の門の前まで辿り着いた。

 ええいままよ、と勢いに任せてこの扉をぶち開けることは可能だが、その後の展開を考慮しないわけには行かないので却下。
 だがそれ以外に何か道でもあるのかと聞かれたところで「Yes」と即答出来るほど決意も固まってはいない。
 頭の中でぐるぐると回る何かに迷いながらも、しょうがないと諦めかけて手を扉に掛けた正にその瞬間。


 バアン!!


 扉は自分以外の何物かの力で豪快に開かれた。

 それが誰の仕業であるかは目の前で手を突き出す人物を見れば一目瞭然であったが。

「………っは!よ、妖夢ちゃん?」

 吃驚した。それはもうかなりの勢いで。
 このタイミングにあの気概で来られると、少々心臓に悪い。って、もう死んでるか。

「……やはり、○○さん、ですか」

 俯いたままなので表情は分からないが、口調から何となく心境は察することが出来る。
 やはり、ということは俺がここにいる事が分かっていたのだろう。
 分かっていた上であんな破竹の勢いで扉を開け放つとは。空気読もうよ。

「……あー、うん。俺だよ」

 とりあえず返事を返したのは良いが、困ったことにその後の台詞が何も浮かんでこない。
 準備を全くといっていいほどしていなかったのでそれは当たり前の結果であるが、最早それを後悔する暇さえない。
 とりあえず何か適当な話題を、と決心して今日の晩御飯について話を始めようとした矢先。


「行って、しまわれるのですか」


 妖夢ちゃんのか細い声が二人の間に響いた。

「……ああ、そうだね」

「何時ごろ、なのですか」
「……それは俺にも分からないな」

「ここに、居られないのですか」
「……多分無理、かな」

 ギリ、と奥歯を噛む。
 妖夢ちゃんの質問に対して、二択のうち一つの答えしか返すことの出来ない自分の不甲斐無さに腹が立った
 でも、俺はどうすれば………


「……ぅ」

 だが。

「……も゛う」

 そんな俺の迷いも何もかも。

「もう゛、会え゛ない゛、の、でずがっ」

 妖夢ちゃんの涙交じりのその言葉で、全て吹き飛んだ。






「……ッ!」

 ガバッ

「ぁっ……」

 込み上げる思いに堪え切れず、妖夢ちゃんを胸に抱き留める。
 もうこの際、逃げは無しだ。


「……えーっとだな」
「……はい」

 後悔など、決してすることの無いように。
 隠し持った気持ちなど無いようにしよう。


「妖夢ちゃんは、さ」
「……はい」

 彼女は俺の言葉に対して頷くだけ。
 だが、良いのだ。それで良いのだ。


「また俺と会いたいと思ってる?」
「……はいっ」

 妖夢ちゃんの一際強い肯定。
 それこそが彼女の俺に対する思いの表れであると信じたい。いや、信じている。


「じゃ、話は簡単だ」
「……はい」

 そう、とても簡単。
 そして同時にとても難しいこと。

「いつか、絶対に会いに来るからさ」
「……はい」

 だけど、信じよう。
 きっと乗り越えることは出来るのだと。

「それまで、待っててくれるかな?」
「……はいっ!」

 女性を散々待たせるなんて、男としては名折れもいいところだけど。
 その清算はまた再開の時に済ませるということで今回は多めに見てもらいたい。

 腕に込めていた力を解き、妖夢ちゃんの顔を覗き込む。
 そこには涙に濡れながらも強い決意を感じる、半人前と呼ぶにはには相応しくない彼女の顔が在った。
 うん、この顔ならきっと大丈夫。



「……ぁ」

 妖夢ちゃんの呟きと、自分の体に違和感を感じ始めたのはほぼ同時の事。
 これが、消え行くということだろうか。
 見れば俺の体躯は、足の先からどんどんと風景と同化を始めていた。


「…んぅ、…ひっぐ……ぅう…!」

 ああもう、駄目だって。
 お別れは笑顔が良いんだってば。

 さっきまでの一人前の表情はどこへやら。
 またもしゃくりあげ始めてしまった妖夢ちゃんだった。

「○○、さん゛……!」

 だけど、どうすることも出来ない。
 涙を拭いてあげる筈の腕も既に消えかかってしまった。
 せめて安心できるように笑顔を浮かべることぐらいは叶うだろうか。



「もう行くね」



 だんだん意識を保つ事も難儀になってきた。
 相変わらず妖夢ちゃんは泣いてばかりだし。
 この先、一人で大丈夫なのだろうか。


 全く、いつまで経っても心配の残る娘だ。
 最早妖夢ちゃんに見えているのかどうかも定かではない苦笑をこぼす。
 最期に俺の目に映ったのは、桜の舞い散る中で泣き腫らす妖夢ちゃんの姿だった。













 季節は巡り、彼が去ってから数えるのも忘れてしまった幾度目かの春。
 私はいつものように庭の手入れに勤しんでいました。

 今までに、本当に色々な事がありました。
 神社の巫女がまた新しい人物になったり。
 白黒の娘が以前より増して泥棒に入るようになったり。
 まあ変わったのは主に人間の間で、ですが。


 一度も○○さんは訪れてきませんでした。
 いい加減、覚えている自分を褒めてあげたいほどの年月が経っています。
 何年掛かっているんでしょうか、あの人は。
 ですが、『来ない』と思ったことは決してありません。

 彼が待っていて欲しいと言いました。
 私は力強くはい、と返事をしました。
 だから、必ず来るのです。

 と、何度目になるのか分からない自分への励ましを終え、再び箒を手にした私の背中に。




「おぉーーーーーい!妖夢ちゃぁーーーーん!?」




 とてもとても、懐かしい声が掛かりました。


「……っ!」

 思わずその声に向かって走り出してしまいます。
 全く、庭先でなんて事叫んでるんでしょう。
 あの人は相当可笑しいです。致命的です。

 本当可笑しくて、笑い泣きが止まらないじゃないですか。


 だからこの涙も、今までの苦悩も、全部あの人の所為なんです。
 そう簡単には許してあげません。
 それだけの分を返してもらうまでは、絶対に許してあげませんから……!













 後書き          という名の言い訳


 ここまでお付き合い頂き、本当に有り難う御座いました。
 いやー、フラン→魔理沙とどんどん色んなお話書いて妄想膨らませている内に妖夢のお話が完成していたというこの不思議。
 いや、ほんとごめんなさい。
 書き上げたらそっちの方もうpしますんで。


 これ書き終わった時に求聞史記見て、幽霊は喋る事が出来ないと知ったというのはあくまで秘密。


                                               presented by パスタ好きの○○



7スレ目 >>58

───────────────────────────────────────────────────────────

「よーうむー♪」
「わぁ!? ちょ、いきなり抱きつかないでくださいよ!」
「いいじゃないか、幽々子さんは紫さんとこに遊びに行っていないんだし、
 せっかくの二人きりを満喫しようではないか」
「昨日もそういって……その……た、食べさせっことかいって……うー……」
「あぁ、妖夢のあーんしてくれる飯っていつもより美味いんだよなぁ。なんで
 だろ」
「し、知りませんよ!」
「まぁというわけで、堂々といちゃつこうではないか♪」
「みょんっ!? い、いきなりこんな……ッ」
「ん~?ただのお姫様ごっこですが何か?」
「う、うぅ~~~……」
「ほんじゃこのまま妖夢の部屋へレッツゴー♪」
「えぇ!? き、今日は貴方の部屋って……ぁぅ~……」

「幽々子……ここのところ毎日来てない?」
「いいじゃないの~。ここにくれば妖夢の初々しい姿とか見れるし~♪」
「はいはい出歯亀乙乙」
「とかいいながら紫も見るのね」
「女の子の恋愛諸事情を覗くのは若さの秘訣よ?」

7スレ目>>445

───────────────────────────────────────────────────────────

2刀を持つ剣士が膝をついた俺の首筋に剣を突き付ける。

一対一の真剣勝負。

その末に、俺は完全に追い込まれてしまっていた。


「降参しますか?」

「降参だと……?」

「……」

「いいや、しないね。」

「……往生際が悪いですね」

「それよりどうした……あと一歩だよ?」

「……これ以上は無意味です。この状況からの逆転は絶対にありません」


甘い。

甘すぎる。

俺は、心の中で笑う。


「学習能力がないな……そうやって最後の詰めを誤り――――」


この位置からなら、直撃を喰らわせることができる。

本日の俺の切り札――――


「――――取り返しのつかぬ敗北を何度も何度も喫してきただろうに……」


ゆっくりと立ち上がり


そして


起爆スイッチ――――


「ファイア……」

「え?」


――――ON


カチッ…!



 ド ン ッ ! ! ! ! ! 



「!!!???」


俺の胸から火柱が上がり、2刀流の剣士が爆風に吹っ飛ばされる。


「勝負あり……かな?」


完全に動かなくなった彼女を確認し、俺は安堵のため息をついた。

真剣勝負の幕が降りるとともに、観客から声があふれる。


「へぇ~……胸に指向性の爆薬を仕込むとは……奇策だな」


と、黒白の魔法使いが。


「やるじゃない…でも、勝負で汚したところはちゃんと掃除してね」


と、紅白の巫女が。


「あらあら、惜しかったわねぇ 妖夢」


と、白玉楼の亡霊姫が。


「○○さん……素敵です! 愛しています!!」


と、俺の脳内嫁が。


「ふふ、これは通称『ブレストファイアー』って言ってね。
 昔、読んだ漫画の中に出てきた 死刑囚の技を参考にしたんだ。」


参考っていうか、そのまんまだけどな。


「ひ……卑怯です!! 何ですか、今の技は!! 」


お、起きた。

さすがに頑丈だねぇ。


「卑怯じゃないもーん」

「卑怯ですよ! あ、あなた スペルカードの宣言をしてないじゃ――――」

「あれスペカじゃなくて、ただの爆薬だし」


スペルカードを使う際には、それを宣言しなければいけないとかいうルールがある。

……が、爆薬はただの道具なので無問題。


「……ッ」

「これで俺の99勝0敗。もう100勝の大台もすぐそこだねぇ♪」


そう、俺は99にも及ぶ彼女との決闘を越えて不敗。

ただ一度の敗走もない。

俺の勝因はただ一つ。

彼女の性格がまっすぐなためカタにはめやすいってことだろう。

言うなれば、俺は妖夢の天敵とも言える。


「諦めなさい、妖夢。あなたの負けよ」

「くっ……」

「さぁて……今回の罰ゲームは何にしようかな~」

「ああ……また……」


妖夢が絶望の呻き声をあげた。








俺が白玉楼に来たのは2年前

外の世界から幻想郷に迷い込み、白玉楼に辿り着いた俺の前に妖夢が侵入者を撃退せんと立ちはだかり――――

まあ、その後起こったことはあまり思い出したくはないが

悪逆非道な策を弄して辛うじて彼女に勝利できてしまった。

その敗北がよっぽど悔しかったのか、それから俺と妖夢の勝負は始まったのである。

しかし、ただ勝負をするというだけでは俺のモチベーションがアレなので

勝者は敗者に1日だけの罰ゲームを与えることができるというルールを俺の意見により追加した。


なお、妖夢は罰ゲームルールの追加に同意してしまったことを

後に激しく後悔することになる。


今までの罰ゲームをあげるとするならば……


“膝枕で耳かき”とか、“一緒にに添い寝”とか

“妖夢の手料理を「は、はい…あー…ん……(////⊿//)」で食べさせてもらう”etc……


漢の夢が溢れかえるようなシチュエーションばかりだ。


……まあ、俺の言葉による羞恥責めにより真っ赤になってしまう妖夢に

毎回致命傷を負わされてもいるのだが。


たとえば、膝枕で耳かきしてもらったときは――――


「妖夢……」

「な、なんですか?」

「お前の膝、すごく気持ちいいな……」

「――――!?」

「ぬふふふふ……温かくって、柔らかくt」

「な…ななな、何を不埒なこと言ってるんですか――(////⊿//)――!!」


グ サ ッ !


「ウボァ―――!!」


――――てな感じで鼓膜を破られてしまった


だがあえて言おう。


我が羞恥責めに一切の悔いなし!!











そして、今回の罰ゲームは――――


「おおおおおおおおお!!」

「っ……そ、そんなまじまじと見ないでください!!
 恥ずかしいじゃないですか!!」


―――― みょんと海水浴!!


「し、しかも、言うに事欠いてこんな恰好……」


そうそう、ただ彼女と海に行くだけじゃ罰ゲームとして面白くなかったので

彼女の羞恥心を煽るような水着を着せてみたかった。

その結果考え付いたのが、どこぞの8スレ目>>617がジャスティスと叫んでいた


 ス ク ー ル 水 着 だ ! !


しかも、カラダのラインをモロに浮かび上がらせるためにわざと

サイズ少し小さめのものを用意してきたという周到さ!!

水着の胸の部分には『ようむ』と平仮名で書かれた名札付き!!

そして、オプションに白いスイミングキャップと万事において抜かり無し!!


あまりの極悪非道っぷりに自分で震えるぜ……


「いいじゃん、かわいいと思うけど」

「――――ッ!」

「それに、幼い身体にピチピチに喰い込んだスク水が、名前通り妖しい夢を あべしッ!!」


俺の羞恥責めに妖夢の峰打ち制裁発動。


「いてて……」

「もう……不潔です! 変態ですっ…!」

「ありがとう! 最高の褒め言葉だ!!」


親指を立てて白い歯を『キラーン☆』と光らせる俺。


「………」


うん、何も言わなくてもわかってる。

俺もう人としてダメかもしれない。





 だ が そ れ で い い !





その時――――


「あら、あなたたちも来ていたのね」

「ん?」


声をかけられて振り返ると

白いトライアングルのビキニ水着とパレオをつけた咲夜

そして、紅いホルターネックのビキニ水着をつけた中国がそこにいた。


「おう、御二人さん! こんちは!」

「ふふ……デートですか~? お熱いですね~」


まあ、実際はただの罰ゲームだが、とりあえず肯定しておこう。


「ふふふ……そう、デートさ」

「な……ちょっ、○○さん!?」

「あら、違うのかしら?」

「え……ええと、あの……ち、違うって言いますか……その」

「違うんですか、妖夢さん?」

「う……ぅぅぅ~~……!」

「「ふふふふ……!」」


むぅ、よくわからんが 妖夢がピンチだ。

助けなければ。

ここで妖夢を助け出す方法は一つしかない

―――― 本能に従い、俺は空気を読まずに一言。


「それはともかくとして、素晴らしいな美鈴……やはり 王 者 の 貫 録 か!」


なお、水着姿の2人に会ってから 今までずっと、俺の視線は終始 中国の

特に 胸 と か 胸 と か 胸 に ロックオン状態だった。


「――――ッ!!」

「ゐってぇ!!」


正直、この発言により、王者への嫉妬を孕んだ『殺人ドール』と

恥じらいを孕んだ『極彩颱風』の 殺人フルコンボ くらいは覚悟していたが

その前に、妖夢の峰打ち制裁が俺の頭にクリーンヒットした。

ちなみにさっきの言葉責めの時の制裁よりも痛い。


「な、なにをするだァ――――ッ」

「馬鹿…っ!」

「は?」


何故かプンスカ怒っている妖夢。

いや、何故キミが怒るか?

さらになぜか、美鈴と咲夜は二人とも手を合わせて「御馳走様でした」のポーズしてるし。


「ってか、珍しいな……門番はともかく、メイド長は相当に忙しいだろうに」

「『ともかく』は余計ですよ! ……もうっ!
 まあ、それはそれとして――――」

「それとして?」

「今日は、紅魔館の皆で海水浴に来てるんですよ」

「へー」


道理で、やけに女性ばっかりが多いと思った。

この人たち、全員 紅魔館のメイドさんか。


「あれ、でも……」


ふと気付いて、上空を見上げる。

空には相変わらず真っ赤に燃える太陽が「ウワ ―― ッハッハッハ!!」と笑っている。

いや、紅魔館の皆って……あんたらの主は――――


「ハーイ、○○」


噂をすればなんとやら

振り返ると いつの間にか――――

グラサンをかけ、真紅のワンピース水着を身に纏ったレミリア。

赤と白の水玉の 子供用のビキニ水着を纏ったフランドール。

そして、麦藁帽子と薄い紫のワンピース水着と薄手のプールサイドウェアを纏ったパチュリーがそこにいた。

しかも、ビーチチェア + テーブルの上のトロピカルジュース という豪華仕様。

そして、彼女たちの頭上には えらくでかい真っ黒な蝙蝠ビーチパラソルがさしてあり完全に日光を防いでいた。


……シュールだ


「ちょうどいいわ、貴方たち、咲夜たちとビーチバレーで勝負なさい」

「え?」

「少し退屈なのよ、熱い勝負で私を楽しませなさい」

「ビーチバレーか……」


面白そうだな……


「よし、乗った!」


かくして、ビーチバレー大会が勃発した。


(白玉楼スク水チーム)○○ & 妖夢 VS 咲夜さん & 中国(紅魔館メイド門番チーム)





「弱すぎるわね……」

咲夜さんがポツリと呟いた。



―――― 白玉楼スク水チーム 0 - 9 メイド門番チーム ――――



中国拳法 & 完璧なメイド の身体能力は相当なもので

俺たちはみるみるうちに追い込まれていった。

ちなみにルールはスペカ使用不可。

そして、10点先取したほうが勝ちなので、ぶっちゃけもう後がない。


「○○さん……」


不安げな視線を俺に向けてくる妖夢。


「やれやれ……それじゃ、そろそろ本気を出すかな……」

「そろそろ本気を出す? 面白い冗談ね」

「ふふっ! この状況から、逆転はあり得ませんよ!!」

「……どっかの誰かさんもそんなセリフ言ってたな」

「う……」


―――― サーブ権、 メイド門番チーム



「この一発で終わりにするわ――――!!」


そう言って咲夜さんがサーブを打とうとした瞬間――――


ハラリ……


と咲夜さんの胸を覆う白い水着が落ちた。


「さ、咲夜さん、胸の水着が!」

「え…きゃあっ!!」


ピピ――――!!


「な……こ、これは――――!?」


咲夜さんのサーブは明後日の方向に飛んで行ってしまったが

当の彼女は、それどころではなかった。

頬を真っ赤に染めて胸を両腕で隠す。


「おおおおおおお! ポロリ画像 脳内ダウンロォォ あじゃぱァ――!!」


本日3回目の妖夢の峰打ち制裁発動。


「ぐぅぅ……みょんによってアクセスが拒否されました……」

「……もうっ! 見ちゃダメですよ!!」


ちなみに咲夜さんの水着が外れたのは事故でなはない。

何を隠そう俺の仕業だ。

さっきこっそりスペカを使って、咲夜さんが着ている水着の背中のホックだけを破壊しておいたのさ。

鈴仙の旦那さんから聞いて必死に会得したスペルカードがまさかこんなところで役に立つとは

まさに、人間万事塞翁が馬。

……スペカ禁止だけど、まあ 正直バレてなかったからOKだろー。


さーて、流れは変わった――――よな?


「妖夢ー」

「な、なんですか?」

「次から、俺の指示通り動いてくれないか?」

「え?」

「考えがあるんだ……頼む」



―――― サーブ権、 白玉楼スク水チーム



俺のサーブを難なくレシーブする中国。

水着を白いワンピースのものに着替えた咲夜さんがスパイクを打つ瞬間――――


「妖夢! 俺のすぐ後ろに飛べ!」


叫ぶや否や、俺もすぐ前方に向かって走り出す。


『な――!?』


妖夢も咲夜さんや中国、そして観客も皆一様に驚いていた。

咲夜のスパイクは……ちょうど、俺の顔面があったところを通って

妖夢の飛んだ先にピンポイントで来たのだから。

妖夢がなんなくレシーブして浮いたボールを、俺は即座に相手のコートに叩き込む。

中国が必死でボールに食らいつこうとするが


ピピ――――ッ!!



―――― 白玉楼スク水チーム 1 - 9 紅魔館メイド門番チーム ――――



ボールには届かず、白玉楼スク水チーム1点目ゲット。


「さっき、俺に見られちまった復讐がてら、顔面にぶち当てに来ると思ったよ……むふふ」


そして――――



―――― 白玉楼スク水チーム 3 - 9 紅魔館メイド門番チーム ――――


「そんな……バカな……」


次第に次第に――――



―――― 白玉楼スク水チーム 5 - 9 紅魔館メイド門番チーム ――――



「……ッ! どうしてあと一点が入らないんですか!?」


メイドと門番に焦りの色が見え始めてきた――――



―――― 白玉楼スク水チーム 8 - 9 紅魔館メイド門番チーム ――――




「へぇ……やるじゃない。あの男、紅魔館に欲しいわね」

「レミィ?」

「お姉様?」

「ふふ♪」


ピピ―――ッ!!




―――― 白玉楼スク水チーム 9 - 9 紅魔館メイド門番チーム ――――




「す、すごいです! ○○さん!!
 ただのいやらしい人じゃなかったんですね!!」

「存外、失礼だねキミも……」


妖夢の失礼なセリフをジト目で返す。

まあ、彼女との戦いではトリッキーな手段を使って勝つことが多いので

そう思われても仕方のないことかもしれないが……


「で、でも…どうしてボールが来る場所がわかるんですか?」


妖夢が小声で俺に訪ねてくる。


「んー……ヒ・ミ・ツ だよん」

「えー……いいじゃないですか、教えてくれても!」

「ははは、じゃあ 俺に決闘で勝ったら教えてあげるよ」


基本的に俺の戦法は、身体能力よりも戦略や戦術のほうに重きを置いている。

そのためには攻撃時の相手の動作や癖……そして心理状態を見切るのも重要なのだ。

ボールが来る場所が分かるのはそれによるところが大きい。

そして、その癖や心理状態から勝つための戦略を立てる。

実際、身体能力だけでは幻想郷の最下層付近にいる俺は

妖夢と渡り合うために毎日毎日必死に戦略や戦術を考えている。


そして、妖夢は身体能力だけなら幻想郷の中でも割と強いほうだ。

しかし、勝負における駆け引きとか戦略が足りない。

彼女がまだ未熟者扱いされるのはその辺に原因があるのだろう。

……若さゆえにそれは仕方のないことだが。


だが――――俺ならば、その弱点をカバーしてやれる。

そして、妖夢なら俺の弱点をカバーしてくれる。


要するに、互いに弱い部分を補い合うチームワークの勝利だ。


以上、閑話休題



「さぁて、あと一点! 勝つぞ、妖夢!」

「はい、○○さん!!」


メイドと門番も後がない。

必死に負けまいと喰い下がってくる。



その時――――



「きゃあっ!」



咲夜のスパイクをブロックした妖夢が空中で体勢を崩してしまった。


ヤバイ……このままじゃ、頭から地面に!!


紅魔館メイド門番チームのコートに落ちるボールをトスする中国の姿が見えたが

俺は、そんなものには目もくれず――――


「!! ……え?」


ボールは白玉楼スク水チームのコートに突き刺さり……


「大丈夫かー、妖夢?」


俺は妖夢の下敷きとなっていた。


「え…ええ……大丈―――痛ッ!!」


彼女の声に足を見ると――――

そこまでひどくはないが、左足の足首が赤く腫れあがっていた。


「……足を挫いたか?」

「は…はい……」


情けないなぁ……

体張って助けたってのに、それでも怪我させてしまうなんて……


「き、きゃあっ!!」


サーブ権が移っただけなのでまだ勝負は決まったわけではない。

たが、怪我をした妖夢をこれ以上戦わせるわけにはいかなかったので

俺は、妖夢を抱えあげて――――


「……すまないな、ちょっと これ以上は勝負できそうにないわ。決着はまた今度つけよう。
 俺たちは、この辺で失礼するよ」









「……」

「不満そうな顔ね、咲夜?」

「はい……正直、納得がいきません」


勝負が中断になったというのに妙に楽しげなレミリアに――――


「ねぇ、レミィ」


パチュリーが声をかけた。


「なにかしら?」

「さっき、あの男を紅魔館に欲しいって言ってたけれど」

「ふふふ……紅魔館には執事――――軍師がいないから」

「え?」


永遠亭には天才 八意 永琳が

白玉楼にはあの男がいる。

しかし、紅魔館には軍師に当たる人材がいない。

言うなれば執事。

強いて言えばメイドを統括する咲夜やがそれに当たるが

どうしても他の二人に比べて知略では劣る。

また、パチュリーもあの男以上の知識を持っているものの

彼女は戦略家ではなく……また、兵を纏めるタイプでもない。

どちらかと言えば研究者タイプと言えよう。


「あの男…やっぱり紅魔館に欲しいわね♪」


―――― ま、この私が少なからず あの男のことを気に入っているということもあるけれど


うpろだ277・284

───────────────────────────────────────────────────────────

白玉楼への帰り道

私は○○さんに背負われていた。


「あ…あの……」

「ん?」

「ごめんなさい……私のせいで……」


私が怪我をしてしまったせいで、勝負は中断し――――

せっかく海に来たのに泳げもしなかった。


「いや、気にするなって……十分楽しかったよ。妖夢のかわいい姿が見れたしね……」

「――――ッ!?」


心臓の鼓動が瞬間的に跳ね上がる。

密着しているのに――――

い、今心臓がバクバク鳴ってるの……

き、気付かれてないよね……?


「…………」


私を背負って歩く○○には何の変化もない。


……良かった……気付かれてない……


ああ……

すごく広い背中……

それに温かい。


「あ…あの……」

「どうしたよ?」

「あなたの……100勝の望みは何なのですか?」


私は何を聞いているのだろう?

でも、これで98回目になる罰ゲームだけど

はじめはものすごく恥ずかしかったはずなのに

最近では、わずかに期待してしまっている自分がいる。


「妖夢に俺の恋人になってもらう……かな」

「――――え?」


う……そ……?

なんて言ったの?

恋人?

私が?

……あなたと?

今度こそ冗談抜きで心臓が止まった。

思わず、息をすることも忘れ――――

そして、一瞬の後、心臓がフルスロットルで

鼓動を再開させる。

さっき『妖夢のかわいい姿』と言われた時とは比較にならない。

お願い……私の鼓動――――

治まって

お願いだから――――

……こんなにドキドキしてたら……

今度こそ本当に気付かれて――――


「はは……なんてな」

「…………」


……え?

冗談めかした言われてしまった。

じ、じょうだん……?

激しい落胆とともに、急速に心臓の鼓動は収まっていく。


ヒドイ……


でも


それでも――――









布団の中で枕を胸に抱いて、白玉楼への帰り際に言われた言葉を思い出す。


『妖夢に俺の恋人になってもらう』


まだドキドキしている。

もう、丑三つ時だというのになかなか寝付けないでいた。


「……ずるいです」


頬が紅く染まる。

胸が激しく高鳴る。


「そんなこと言われたら
 勝ちたくなくなってしまうじゃないですか……」


もっとあの人と一緒にいたい。

もっとあの人に笑いかけられていたい。


でも、私は……あの人に――――


「……勝ちたいな……」


勝ちたいと考えている自分もいる。

どうすればいいんだろう……?


そこまで考えた時


「そうだ……」


私は、ある事を思いついて

そして――――


「―――― よし!」


―――― ある決心をした。









「や……やった! 勝った! 勝ちました!!」

「………ば、バカな……」

「ふふっ……すぐに、あなたに追いついて見せますからね!!」


あの人との100回目の勝負。

私は……初めてあの人に勝つことができた。

ただひたすら自分の想いを込めた仕掛けた私の切り札『未来永劫斬』は

罠や策をモノともせずに――――


「ふふふ、おめでとう妖夢。
 それで……罰ゲームはどうするのかしら?」

「げっ……!」

「ふふふ……」


私を今まで散々な目にあわせてきた報い。

いま、受けてもらいます!!

覚悟してくださいよ?


「……ええと……明日、何か予定はありますか?」

「い、いや……ないけど……」

「だったら……そ、その……私と一緒に…」

「う、うん……」

「もう一回……一緒に海に行ってください……」

「は?」


ふふふ……

これはほんの始まりです、○○さん!

100勝した暁には……

あなたは…わ、私のモノに……


「妖夢?」


私のモノに……な、なって……

私のモノに……

~~~~~~~!!


ボ ン ! !


「きゅぅ……」

「なにィ!? ちょ、妖夢大丈夫か オイ!?」


うう……

あの人を私のモノにすることを想像しただけでこんなになってしまうなんて

私、まだまだ修行が足りません……




次回予告

                ミ ョ ン
初勝利から一気に99勝をあげる 妖夢。

念願の100勝を手にしようとする二人の前に

○○を我がモノにしようする永遠に紅い吸血鬼の手が迫る!!

……かもしれない

うpろだ300

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盆を過ぎ、ひとまずは落ち着いた白玉楼にて。
「何だか最近春めいてますね、幽々子様」
「あら? 妖夢は相変わらず鈍いのね」
「は? ま、まさか幽々子様また性懲りも無く……」
 主従の二人は暢気に茶を飲んでいる。
 その手元には『文々。新聞』と書かれた新聞が置かれている。
「あはは。夏真っ盛りなのにどこに春が落ちているのやら」
「幽々子には言われたくないですね……」
 新聞には『幻想郷の閻魔、結婚―切欠は聞き違い―』と大きく書かれている。
「あら? 春はめでたいのだからいいじゃない」
「あまりに春一色では困ります」
 見出しの横に『砂糖価格高騰―需要拡大の謎―』と書かれ、最近の幻想郷の砂糖の値上がりを記す記事が踊っている。
 事実、幻想郷担当の閻魔である四季映姫の成婚以来何故か砂糖の値段がうなぎのぼりになっている。
「春はあけぼの、といったところかしらねぇ」
「はぁ?」
 ここ最近幻想郷の菓子の甘さもまたうなぎのぼりに跳ね上がっている。
 最近では砂糖一掴みも入れたクッキーやら、砂糖でスノースタイルにした飲み物が出回っている。
 ある意味乙女には魅力的でありつつもまた過酷な世の中になっている。
「ようよう白く、というよりは桃色、いや桜色ね」
「幽々子様何をおっしゃられてるのか……」
「幽々子様ー、今日の分入荷しましたー!!」
「あら早速。いつも通りお願いします」
「了解です」
「妖夢、手伝ってあげなさいな」
「はい」
 暢気なお茶会を切り上げ、妖夢はいつも通りに運ばれてきた食糧―ほとんどが幽々子の胃へと消えていくが―を台所へ運ぶのを手伝っていた。
 最近になって幻想郷にやってきたらしい○○という者は、物の価値のあまり分かっていない香霖堂で目ぼしいものを安く買い上げ、
 それを人間の里で相当高く(それでも適正価格と言える額だった辺り香霖堂店主の商才が伺われる)売りさばいて財を成し、
 たまたま商人の出入りが少なかった白玉楼の御用商人とも言える立場になっていた。
「あ、いつもありがとうございます」
「いえいえ、いつもこんなに多いと大変でしょうし」
「お気になさらず。多いほど私の身も潤いますし」
「それにしてもこんなに沢山あるのに一日で無くなるのよね……」
「幽々子様はご健食でいらっしゃる」
「亡霊相手にそれは無いと思いますよ」
「それもそうですね」
 ○○は米一俵を抱え、妖夢は野菜の高く積まれた籠を抱きかかえている。
「いつも本当にありがとうございます。今まで村中を駆け回っていたのが○○様のお陰で大分手間が省けました」
「これだけの食糧を毎日掻き集めてたのはすごいね……」
「いつもこれだけという訳には行かず幽々子様のお腹を空かせてしまったこともありました」
「……、ま、まぁたまには小食の方がご健康にもいいと思いますよ……」
「そうですねぇ。ただどれだけ食べても全く見た目が変わらないのはある意味尊敬に値します」
「確かに。今流行りの菓子なんてクッキー一枚でも相当覚悟を決めないといけないらしいですからね」
「その点幽々子様は便利なものです」
 いつも通りに二人は談笑し、重い荷物を台所へと運び込む。
「ありがとうございます。後は私がやっておきますので」
「いえいえ、いつも買って下さるのに力仕事を押し付ける訳にはいきませんて」
 そう言う二人の手が米俵に添えられ、位置が重なってしまい手がたまたま重なり合った。
 しばらく二人は動けなかったが、お互い気づくと慌てて手を引っ込め、そして二人で俵を運んだ。
「いつも本当にありがとうございます」
「いえいえ、また明日もよろしくお願いします」
「はい。ではまた」
 食糧を運び終わった妖夢は後を料理担当の幽霊に任せ、再び元の縁側に戻った。
「あら妖夢、もう終わったの?」
「はい。最近○○も慣れたお陰かスムーズに終わりました」
 そう言って二人はまたお茶をすする。
「ねぇ妖夢」
「はい」
「まだ分かってないとは思うけど……。自分の時間がそのまま当てはまるって考えたら駄目よ」
「はい?」
「まぁいいわ。こういうのもアリってことね」
 暢気なお茶会はまだまだ続くようだ。

うpろだ364

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「ん・・・あれ?もう朝?」
ついさっき寝たと思ったらもう朝らしい、何か損した気分
「いえいえ朝ではありませんよ!此処は貴方の夢の中!」
「誰!?」
底には見知らぬ男が!
「私は貴方の白楼剣の精霊、○○です」
「いやぁぁぁ」
「ああ!?逃げないでっ!っていうか引かないで!」
「知るかボケー!近寄るなぁー!切り捨てるぞっ!!」
「・・・いいのか?君が夜な夜な私を使って「わぁぁぁぁぁぁ!!!!」してる事とか天狗にばらすぞ」
「・・・それで今日はいったいどのようなご用件でイラッシャッタノデショウカ」
おっさ・・・イカス青年は偉そうにふんぞり返って
「いつも幽々子様のために東奔西走右往左往とがんばってる貴方を応援しに来ました、さぁこのありがたい精霊様に何でも言って御覧なさい!」
「そ、それでは・・・私はこの先も幽々子の小間使いで本来の仕事を何もなせずに終わるんでしょうーか?あとこれからもスペカるーるでフルボッコなのでしょうか?」
「・・・まーね」
「うわぁぁあああん!」
「ま、まちなさい幼夢!今のなしっ!ノーカン!ノーカン!」
「うわぁぁん!幼くないもん!」
「そんなことより妖夢!こんなことしている場合じゃありマセン!もう直ぐ君にはゴイスーなデンジャーが迫っているのですよ!」
「へ?」
「さぁ早く起きなさい!」

妖夢起床

「な、なんだったんだあの夢はorz」
そして
~妖々夢~
ぴちゅーん
~えいやさー~
ぴちゅーん
~かえーづか~
ぴちゅーん
~すいむそー~
フルボッコ

「あの精霊め・・・酷い目にあった」
「だからデンジャーだって言ったジャマイカ」
背後からだいぶ前に聞いたむかつく声がした気がした
「幻聴だ、寝てないのに聞こえるわけ無い」
「おい幼女、こっち向けこら、お前が俺等を粗末に扱ってるの妖忌に言いつけるぞこら」
「っ!?ななななんで!?」
「はっはっはいろんな妖気に中てられてパワーアップしたぜ」
「もう斬るしかない、斬り捨てるしかない、そうすれば」
妖夢がなんかブツブツ危ない事いってるし、こわれたー
「剣とは斬る物であって斬られる物ではないのだよ!そもそも斬るという概念である俺っちを斬る事は無理?無駄?」
「・・・そうですね、剣は斬るものじゃなくて折るものでしたね」
「ちょ!?妖忌に言いつけるぞ!?」
「知るかぁぁぁ!!」
楼観剣を振り回して突っ込んでくる妖夢、目がヤバイです
「妖夢がこわれたぁぁ」
脱兎の如く逃げる、ただひたすら逃げる、ぶっちゃけそれしか出来ません

「あらあら、楽しそうねぇ」
「幽々子さまっ!見てないで助けtぶ@しskjly」
「お前が!折れるまで!殴るのを!やめないっ!」

唐突に~終~


うpろだ421

───────────────────────────────────────────────────────────

紫「ねー○○、一緒にお昼寝しない?」
幽「あら紫、○○は私におやつを食べさせてくれるのよ」
○「あのー、昼寝の後におやつじゃ駄目ですか?もしくはその逆」
紫幽「「駄目よ」」

先ほどから修羅場(?)を展開しているのは亡霊の姫君で私の主である幽々子様と
そのご友人であスキマ妖怪の紫さんそしてその渦中でいるのは事の元凶であるただの人間の○○さん
おそらく自分がなぜこんな目に合っているかわからないのでしょう
それもそのはずお二人は私がその……○○さんと恋人同士なのを知っているんです
つまり二人は私の目の前で○○さんにちょっかいを出して私の反応を楽しんでいるのです

藍「妖夢も災難だな、本当なら幽々子嬢や紫様のポジションに居たはずなのに」
妖「別にいいですよ、もう慣れましたから……」

そう、二人がこうして私の前で○○さんにちょっかいを出すのは何も今日が初めてじゃない
最初は三日に一度だったのが最近ではほぼ毎日○○さんにちょっかいを出している

藍「二人ともいい加減にすればいいものを、まったく大人気ない」
妖「私をからかうのが目的ですからね、最初は確かにからかわれていましたけど最近じゃ流して見れるようになりましたから」
藍「その……なんだ、強くなったな妖夢(いろいろな意味で)」
妖「そりゃぁ、恋する乙女ですから」
藍「そ、そうだな恋する乙女は強いからな(強くなったというより壊れてきてる!?)」

紫「さあ、観念しなさーい♪」
幽「お姉さん達にまかせて~」
○「ちょ!?まっ!?よ、妖夢ー!助けてー!HELP ME-!」

段々と二人の行動が過激になりそして最終的には私に助けを求める○○さん
これもいつの間にか日課になってきている気がする

妖「ほら、幽々子様、紫さん、○○さんが困っているじゃないですか離れてください」
紫「あらあら、真打登場ね」
幽「それならここは若い二人に任せて」
紫「頑張ってねー♪」

妖「まったく……○○さん大丈夫ですか?」
○「あ、ああすまないな妖夢」
妖「大体○○さんも○○さんです!お二人に抱きつかれてデレデレして!」
○「いや、そのですネ」
妖「私は貴方のこ、ここここ恋人なんですよ!分かってますか!?////」
○(真っ赤になってる妖夢、可愛いなぁ)「勿論分かってるよ恋人同士だから……キス、する?」
妖「みょん!?キ、キキキキキスですか!?」
○「恋人同士だろ?しようぜ妖夢」

そう言いながら段々と近づいてくる○○さんの唇を見て
視界の端にスキマからこちらを見てくる幽々子様と紫さんが見えましたが同でもいいと思えました

7スレ目>>810

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お前と一緒だからゆゆ様のお世話が頑張れるんだ

7スレ目>>825

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「…突然なんだが、俺はMだ」
「……○○さんッ!?」
「妖夢も…やっぱMか?」
「う、うぅ…そのぉ」
「っと、スマン。 言いたくないなら無理には」
「わ、私はどちらかと言うと『いぢめる』ほうが…」
「…えぇ!?」
「で、でも、貴方にだったら『いぢめられる』のも…」
「…ちょっと待て妖夢、一体何のハナシだ」
「……………はい?」
「いや、俺が訊いたのは服のサイズなんだが」
「え、えぇぇっ!!??」
「あ~、うん。 俺の訊き方も悪かったな…しかし」
「あああの、その」(プスプス)
「そっか~、妖夢は『いぢめる』のがお好きか…
機会があったら試してみようかな~。 あ、でもその前に」
「うあああああああ…あぅ」(プッツン)
「紫さんに苦痛と快感の境界を弄って貰って…
…って妖夢サン? 何でイキナリ抜刀しtはべぎゃ」
「う、うわああぁぁぁぁぁぁんっ!
飛べっ飛べっ記憶! 死ねっ死ねっ記憶ー!」(ガッガッガッ)
「ちょ、妖…っぐお、ぶるあぁぁああ!?」

(少女乱撃中…しばらくお待ちください)

「○○…随分と立派になったわねぇ」
「…………」
「そう見えてるんなら嬉しいですなぁ」
「で、今日は一体ナニでからかったのかしら」
「いえそれが…何を言ったのか自分でもサッパリ」
「…それはまた」
「…………」
「下らない事のような、重要な事のような」
「分からないの?」
「ええ…そうなんですよ」
「「う~ん………」」
「…………」(あぁ…どうしようどうしよう!
○○さんの顔がマトモに見れないよぉぉ!?)

7スレ目861

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1.

白玉楼の座敷で、主従二人が膝を突き合わせていた。
妖夢の眼差しは真剣そのもの、主の言葉に耳を傾けている。
と、突然に妖夢が腰を上げた。意気揚々と座敷を出て行く。

2.

所変わって二百由旬の庭。
葉桜の下で立ち尽くすのは○○である。
「○○さん」
「……よう、妖夢」
彼の背中から手を回して、妖夢が張り付く。
普段の彼女からすれば、いっそ扇情的ではあるが○○は気付かない。
「どうした妖夢。おんぶでもして欲しいのか?」
妖夢の意図に彼が気付くはずもない。
妖夢は煩悶とした。そして思う。心のうちで叫ぶ。
『当ててるのに!』と。

3.

座敷に一人残った幽々子は考える。
従者は意気揚々と繰り出して行ったが、結果は果たして。
彼はおそらく気付くまい。
そしておそらく、妖夢本人も気付かれない理由は分からないだろう。
幽々子は座敷で一人ごちる。

「妖夢に当てるほどあったかしら」

7スレ目902

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「ぅ……ぅぅ……」


一人の青年が、布団に寝かされていた。
青年の顔色は青白く、体調はあまり芳しくなさそうだった。


「○○さん、おはようございます」


障子を開け、一人の少女が食事を持ってくる。


「よう……む……」

「食事にしましょう、○○さん」


うわごとのように、青年は少女の名を呟く。
そして、妖夢と呼ばれた少女は、布団を剥ぎ取った。













青年の身体には、両手足が無かった。


「……助けて…くれ…」

「た、助ける? ひどいことする人がいるんですね!
 誰ですか? 中華門番? 悪魔の狗!? 紅魔館の主!? 
 ――――それとも、幽々子様ですか!!??」

「ぅ……ぁ……」

「○○さん、大丈夫ですよ? 安心してください……私が、ずっとずっと守ってあげますから。
 貴方を怖がらせる人なんて、皆 みんな ミンナ ミンナ ミンナ ミンナ 叩っ斬ってあげます!!!!
 中華門番は無意味にでかい、メザワリな胸を犀の目に斬り刻んで!
 悪魔の狗は両腕をぶつ斬りにして、身動きとれなくした上で、生きたまま妖怪に喰わせて!!
 紅魔館の主は公開斬刑にしましょう! 身体を一寸ずつジワジワと千斬りにして!!
 幽々子様は――――」

「よ…ぅ……む…………なん…で……」


青年は、力なく妖夢の姿を見ることしかできなかった。
対する妖夢の瞳には、青年しか見えていない。

完全に――――狂ってしまっている

ただひたすら青年を自分のものにする為に、どうすべきか迷い、悩み、苦しみ……
その末に、この無残な結末が待っていた。
青年が誰のところにも行かぬように、彼の両手足を切り落とした。
青年が誰の手にも渡らぬように、白玉楼から幽々子や幽霊を追い出した。
今、この白玉楼には青年と妖夢のほかに誰一人いない。


「―――― 二度と貴方に色目を使えなくなるように両目を抉り斬った後、
 両手足とオンナの部分を斬り落として……ココでペットとして飼うことにしましょう!!
 新生活にペットは欠かせないですよね!!」

(ごめ……ん……よぅ…む………)

「――――ずっと一緒ですからね……ふふふふふ……うふふふふふふふっ!!」


彼女に、青年の声はもう届かない。

10スレ目>>508


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