政府・与党が30日にまとめた追加経済対策には、人々の身近な暮らしにかかわる社会保障分野の対応も多く含まれている。
介護では、低賃金、人手不足が目立つ介護職員の確保策として、09年度に介護事業者の収入となる介護報酬を3%引き上げる。00年度の介護保険制度発足以来、原則3年に1度改定される介護報酬は03、06年度はいずれも減額されており、プラス改定は初めて。
介護給付費は報酬の3%アップで約2100億円(うち国庫負担約550億円)増える。政府は勤続年数が一定以上の職員を雇用したり、人員体制が手厚い事業所に報酬を加算することで、職員の平均月額賃金の2万円アップや、介護職員(120万人)の10万人増を目指す。
一方、報酬を3%引き上げると保険料も上昇し、65歳以上の人なら平均月額(4090円)が120円増となる。このため1200億円の基金を準備し、09年度はアップする120円分全額を補てんするほか、10年度も半額の60円分を補助する。40~64歳の負担増分も同様に補助する。
子育て支援では、現在5回分の補助しかない妊婦健診の費用(平均1回約9000円、総額約12万円)について、妊娠から出産までの望ましい健診回数とされる14回分の無料化を盛り込んだ。
雇用をめぐっては、年長フリーターを正社員として雇う中小企業を対象に、初年度に50万円、2年目と3年目に25万円ずつ給付し、3年で計100万円を支給するほか、雇用保険の保険料率を09年度に限り引き下げる。【吉田啓志】
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<介護>介護報酬3%増、それに伴う保険料増額分の全額補てん(09年度。10年度は半額)
<子育て>妊婦健診14回分の無料化▽未就学の第2子以降に3万6000円の特別手当支給
<雇用>年長フリーターを雇う中小企業に100万円支給▽雇用保険料0.4ポイント引き下げ
毎日新聞 2008年11月1日 東京朝刊