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不況と中小企業

2008年11月1日

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 政府がどのような対策を打ち出そうと、もはや不況は避けられないのではないか。麻生政権も必死になって不況対策を練る。とくに中小企業向けの緊急融資などには、細かい配慮を見せている。

 しかし、不況対策で最も重要なことは、企業自身の努力。絶対に倒産しない企業体質をつくる自助努力こそが大切だ。その際の基本戦略としては、「新技術の開発」「管理技術の定着」「戦略的財務管理の実行」などが考えられる。

 新しい世の中に適応する技術を、「新技術」という。2度の石油危機を乗り越えた日本経済の原動力は、省エネ・省資源、公害防止といった新技術の開発だった。また、故障、性能のばらつきがない、といった品質の管理技術は、世界で認められ、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の「称号」を与えられた。そして日本経済は、さらなる発展へと突き進んだ。

 ここで忘れてはいけないのが、企業の財務体質。健全な財務体質の構築は、非上場の中小企業にとっては、とくに重要課題だ。利益をあげ、税を納め、配当や役員賞与は受け取らず、ひたすら留保金を積み上げ、自己資本の蓄積に励んできた。自己資本比率の高さは、企業の基礎体力の高さでもある。

 基礎体力の高い企業は、社員に安心と希望を与え、定着率の向上につながる。新技術開発も管理技術の定着も、根底に企業と社員の信頼関係がなくては、良い結果は生まれない。信頼は、企業への帰属意識と誇りによって築かれる。

 派遣社員などの低賃金雇用に頼る企業では、新技術の開発などは不可能。「人材育成」は成長の必須条件だ。不況は、企業体質を問われる厳しい通過点でもある。(樹)

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