現役のJRの電気機関車では最も古い「EF55」が来年2月、引退することになった。その独特の形状から「ムーミン」の愛称で鉄道ファンに人気がある。12月から「さよなら列車」計10本が運転される。
JR東日本高崎支社が保有していた同型の1号機で、1936(昭和11)年3月に製造された。当時流行だった流線形を採用、東海道線で特急「つばめ」や「富士」をけん引していた。旅客列車用の運転席が一方しかなく、終着駅で転車台を使って方向転換をしなければならないことなどから3両しか造られなかった。
戦後は3両とも高崎線で使用されたが、64年までに廃車となり1号機は東京都国分寺市にあった中央鉄道学園で教材用に保存された。78年に同学園が閉鎖されると群馬県高崎市の高崎第二機関区(当時)に移され、国鉄民営化前のリバイバルブームで独特の形が注目を集めて、86年に再び走行できるように整備されされた。
主に群馬県内でイベント臨時列車などに使われてきたが、昨年9月に故障が発見された後は運転されていない。交換の部品の入手が困難になったことや、旧式の機関車を整備できる人材も少なくなったことから、引退させることにしたという。準鉄道記念物に指定されていることから、引退後は静態保存の道を検討している。
「さよなら列車」は高崎、上越、信越線で、快速列車として運行される。全席指定。問い合わせは高崎支社(027・320・7111)へ。【増田勝彦】
毎日新聞 2008年10月21日 10時47分(最終更新 10月21日 11時00分)