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【社説】為替を安定させた300億ドルの韓米通貨同盟

 韓国と米国が300億ドル(約3兆円)規模の通貨スワップ協定を締結した。韓国銀行が米国連邦準備制度理事会(FRB)にウォンを預け、米国は300億ドルの範囲内で韓国がいつでも必要なだけドルを使えるようにしたものだ。外貨準備が事実上それだけ増加した効果があり、これまで国内の金融市場で広まっていたドル不足に対する不安を大きく解消できるようになった。

 その影響で30日の韓国総合株価指数(KOSPI)は1084.72を記録し、前日に比べると115.75ポイント(12%)跳ね上がった。為替も1ドル=1250ウォンを記録し、これも一気に177ウォン値を戻して取引を終えた。10月の経常収支も10億ドル(約990億円)以上の黒字が見込まれ、国際通貨基金(IMF)が新興国に対して一時的にドルを支援する案をまとめたのも、不安の解消に一役買った。

 しかし最も大きな材料は、やはり米国との通貨スワップそのものだ。通貨スワップとは米国が韓国経済の健全さに信頼を置いていることの証しであり、国家破たんの危険はないという証明書を発行したのと同じようなものだ。これまで米国が欧州中央銀行や日本・英国・フランスなど先進10カ国の中央銀行とだけ通貨スワップを行ってきたという事実が、その信頼性を証明している。相手国経済と通貨に対する信頼がなければ、通貨スワップは決して行われることはないからだ。

 米国は今回初めて通貨スワップの範囲を新興国へと広げたが、相手は韓国以外にメキシコ、ブラジル、シンガポールが選ばれた。韓国など4カ国を世界的な金融不安解消に向けた政策のパートナーとして受け入れ、一種の通貨同盟を形成したことになる。韓国経済に対する海外からの信頼も高まり、海外の投機勢力が韓国ウォンに対していたずらに攻勢をかけることをできなくする効果も期待できるだろう。

 もちろん、通貨スワップにより経済・金融危機の恐れが完全に解消したわけではない。今も国際金融市場におけるドル不足という現実は厳然と存在しており、企業の破たんや実体経済の収縮に対する心配もそのまま残っている。韓国政府は日本や中国との通貨スワップ拡大交渉を迅速に進め、外貨の流動性に対する不安が完全に解消するよう今後も対策を立てる必要がある。現在韓国は日本と130億ドル(約1兆3000億円)、中国とは40億ドル(約4000億円)規模の通貨スワップ協定を締結している。この額を2倍以上に拡大するというのが政府の目標だ。

 建設業界の資金難など、国内経済の不安要因を解消することにも力を入れなければならない。通貨スワップで為替が安定すれば物価に対する不安が多少は解消することから、政府は金利を引き下げるなどの財政措置を拡大する選択肢が増えることになる。金融市場における当面の課題は取りあえず解消したことから、今後は内需を復活させ雇用を創出するなどの景気対策により力を入れなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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