医療介護CBニュース -キャリアブレインが送る最新の医療・介護ニュース-

CBネット |  医療介護CBニュース

医療一般


8病院が妊婦受け入れを断った理由

 東京都内で妊婦が8病院に受け入れを断られた後に都立墨東病院で死亡した問題で、厚生労働省は10月31日に開かれた民主党の「厚生労働部門会議」で、各病院などからのヒアリング調査の途中経過を説明した。

 厚労省によると、死亡した女性は10月4日午後7時ごろにかかりつけの産科医院に入った後、この医院が7病院に照会。東大医学部附属病院については墨東病院が照会したという。
 墨東病院を含む8病院に受け入れを拒否されたが、2回目の照会で墨東病院に搬送された際には、女性の頭痛が激しくなっていたため、病院側は受け入れを決めた。
 病院から呼び出された産科部長が女性を診察。患者の頭痛が悪化していたため、ERの担当医が呼ばれ、担当医が脳卒中の可能性を指摘した。その後、脳外科医が女性を診察し、麻酔の関係などから家族の同意を得て、帝王切開で子どもを娩出。それから頭部の手術を行った。だが、女性は3日後に脳内出血で死亡した。

 妊婦のかかりつけの産科医院からの調査が終わっていないため、厚労省側はまだ確定ではないとしながらも、8病院が妊婦の受け入れを困難だと判断した理由を次のように示した。
(1)都立墨東病院―「土日は基本的に母体搬送を受け入れていないため」
(2)東京慈恵会医大附属病院―「NICU(新生児集中治療管理室)が満床であったうえ、NICUでの管理が必要な未熟児の出生待機中であったため」
(3)日本赤十字医療センター―「急患が入院し、MFICU(母体、胎児集中治療管理室)が満床となったため」
(4)慶大病院―「感染症を疑ったが、個室が満床であったため」
(5)順天堂大医学部附属順天堂医院―「産科及びNICUが満床であり、また、当直医が二人とも分娩対応中であったため」
(6)東京慈恵会医大附属青戸病院―「脳外科医の当直日ではなかったため。また、NICUを持っていない」
(7)日大医学部附属板橋病院―「NICUが満床であったため」
(8)東大医学部附属病院―「NICUが満床であったため」

 その結果、8病院のうち4病院の回答がNICUの満床だったことが分かった。
 また、東京慈恵会医大附属青戸病院は、照会された際に脳神経の病気ではないかと疑ったが、その日は脳外科医の当直日ではなかった。そもそも、高リスクの妊婦に24時間体制で対応する「周産期母子医療センター」の認定を受けておらず、NICUすら設置していなかった。

 31日の閣議後、舛添要一厚労相が周産期医療の検討会を設置する意向を示したことから、厚労省は近日中に調査結果をまとめ、この検討会に報告する方針だ。

【今回の関連リンク】
NICUについて議論―民主・厚労会議


更新:2008/10/31 20:52   キャリアブレイン

この記事をスクラップブックに貼る


注目の情報

PR

新機能のお知らせ

ログイン-会員登録がお済みの方はこちら-

CBニュース会員登録メリット

気になるワードの記事お知らせ機能やスクラップブックなど会員限定サービスが使えます。

一緒に登録!CBネットで希望通りの転職を

プロがあなたの転職をサポートする転職支援サービスや専用ツールで病院からスカウトされる機能を使って転職を成功させませんか?

キャリアブレインの転職支援サービスが選ばれる理由

【第35回】川合秀治さん(全国老人保健施設協会会長) 介護報酬改定の議論が白熱する中、全国老人保健施設協会(全老健)会長で、社会保障審議会介護給付費分科会の委員も務める川合秀治さんは、「2−3%上げても意味がない。減額される前の水準に戻してから議論すべき」と主張する。そのためには、予算を大胆に組み替 ...

記事全文を読む

 島根県では現在、県内の医療機関で勤務する即戦力の医師を大々的に募集している。医師確保を担当する健康福祉部医療対策課医師確保対策室が重視しているのは、地域事情などに関してできるだけ詳しく情報提供すること。実際に生活することになる地域についてよく知ってもらった上で、長く勤務してもらうのが狙いだ。同室で ...

記事全文を読む

病院の印象を劇的に変化!
「インプレッショントレーニング」

もし、病院の印象を劇的に変えることができるとしたら。今回は、そんな夢のようなことを現実にしてしまう「インプレッショントレーニング」をご紹介します。

>>医療番組はこちら


会社概要 |  プライバシーポリシー |  著作権について |  メルマガ登録・解除 |  スタッフ募集 |  広告に関するお問い合わせ