憲伸いきなり復帰で快投
エース登板の真相

 中日の川上憲伸投手が24日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)で北京五輪から帰国後初登板。チームが逆転した直後の三回からマウンドに上がると3回を1安打無失点に抑え、82日ぶりに8勝目を挙げた。最高の復帰戦となったが、裏では復帰プランの変更を余儀なくされる大ピンチに陥っていた。そんな状況でも勝つのがエースなのだ。
■中継ぎで3回を無失点
 「ピッチャー、川上」
 その男が出てくるだけで場内の空気が一変した。既にその段階で勝負は決したようだった。シーソーゲームになりかけた試合展開に現れた「ヒーロー」。シナリオ通り、最高の復帰舞台に見えた。誰もがそう思ったはずだ。しかし森コーチは「予定通りではなく、たまたまだった」と偶然の復帰舞台であることを隠さなかった。
 「もともと昨日(23日)ときょう(24日)は投げるはずじゃないやつが投げているんだから」
 前日の先発は清水昭。この日は小笠原が先発マウンドに上がった。ローテーション通りならば山本昌だったが、体調不良で急きょ前日の先発を変更。さらに翌日になっても状態は上がらず、2日連続で先発を回避した。この回避が川上復帰プランにも影響を及ぼした。
 「いろいろ計算通りにいかなかった。川上は2軍戦で投げる予定が雨で流れたし、(23日の)紅白戦もやめた。本当なら下で投げて、上に来たら(北京)五輪みたいに2回ぐらい中継ぎで投げさせるつもりだった。復帰を焦らせるつもりはなかった」(森コーチ)
 今季チームを救ってきたベテラン左腕のピンチで川上は2軍の紅白戦も回避して復帰を早めた。それが復帰戦で勝ち星も付く最高の「試運転」になるのだから格が違う。森コーチも「逆転してもらった後で、気分も良く投げられただろう。憲伸にも大きいし、チームにも大きい。勝負どころはまだ先にあると思うし、その試合の前に一度投げられたのは結果的に良かった」と危機的状況の中でのマウンドに意味が付いたことを喜んだ。
 川上は「正直五輪から帰ってきて1試合は投げられた。でも次から駄目になると思った。肝心な時に『知りません』では嫌だった」とチームのピンチや重要な試合で投げるために準備を整えてきて、いきなりの快投。
 「チームの雰囲気が盛り上がって活気づけばいい。それを僕も望んでいるから」
■3位浮上、竜CSマジック9点灯
 チームを覆っていた黒雲はエースが振り払い、光が差し込みだした。再び3位に浮上、クライマックスシリーズ進出へ役者がそろいつつある。(山本 剛史)
【写真説明】いきなりの登板も3回を1安打無失点。8勝目を挙げた川上=24日、ナゴヤドーム

(2008年9月25日更新)


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