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未来のエースだ浅尾

 今季ほど近年の中日投手陣のやり繰りが苦しい年はなかった。シーズン前に計算していた投手が相次いでけが、不調に悩まされた。そんな中で2年目の浅尾拓也投手(24)がセットアッパーとして成長した。人気、実力とも付いてきた右腕にさらなる成長を期待してペンを置きたい。
■今季、セットアッパーに成長
 2006年の大学・社会人ドラフト。日本福祉大の一室でパソコンのリロードを何度も押し、中日の欄に自分の名前が出ることを祈っていた。「あっ!」。3巡目で名前がパソコンの画面に出た瞬間、こわばった表情が崩れ、笑みがこぼれた。あれから2年。「太れない」と言っていた細身の青年が、中日の未来を背負える投手になりつつある。
 左耳にはピアスの穴が三つある。「高校の授業中に遊びで開けて…。若気の至りってやつですから」。そんな今時分の青年だがとにかく周りに気を使う。「僕なんて…」と謙そんする言葉をよく聞く。そこを褒めれば「腹黒いんですよ」と笑う。話せば誰もが魅力的な人間だと感じるはずだ。
 端正な顔立ちからイケメンと書かれることもある。本人はそれを嫌がるが、今や浅尾のコールでナゴヤドームに黄色い歓声が上がるほどの人気になった。人気が出るのは顔立ちのせいだけではない。サインは基本的に断らない優しさを持ち合わせる。寒空の下、わざわざジャンパーを持ってきて1人1人サインをしたこともある。「サインが欲しいのに、きょうもらえなければ2度ともらえない人もいるんですよ。そういう人にサインをしたいですから」
 そして実力も付いてきた。今季は右肩痛から出遅れたが、中盤から中継ぎとして定着。今でも右肩に心配はあるが、インナーマッスルを鍛えるなど自覚も出てきた。先日は約80万円もする温熱効果などがあるという超音波治療器を自腹で購入。「効果あるの?」と聞けば「やってマイナスにはならないですから」と笑った。自分への投資を惜しまず、考えもプロらしくなってきた。
 落合監督は将来の先発要員として考えているという。本人も「先発がやりたい」と以前から公言するほど、こだわりはある。それでも「(1軍でで)投げられることがうれしい」と今はどこでもOKだ。それよりも「真っすぐで空振りが取れる投手になりたい」と直球にこだわる。
■阪神の藤川を目指す
 目指すタイプは阪神の藤川。投手力が強い阪神を象徴する存在だが、浅尾にも中日を象徴する投手になってほしい。実力も人気もある投手に。浅尾ならなれる。そんな将来性のある投手にかかわれたことに感謝したい。(山本 剛史)
【写真説明】「真っすぐで空振りが取れる投手になりたい」と話す浅尾

(2008年10月31日更新)


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