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奥深すぎる1円携帯の世界
昨夜はやや落ち着かない分娩の方が2人同時に陣発していて、やや不安な夜であった。
とはいえ深夜分娩とはならなかったので運良く朝まで眠る事は出来る。助産師さんの的確な対応もあり、その内一件は無事に明け方出産となっていた。分娩室からの朝の呼び出しで、早起きは要したが寝不足になるほどの事は無しで済む。
今日の外来もしっかりと混んでくれた。朝から多方面より腹痛、腰痛と様々な訴えがあり、その対応に追われる。これだけの人数の患者さんを全て上手く?こなしているのは、自分で言うのも何だが、僕は優秀な医者だと思う。
さて話は変わり、昨日僕は仕事が終わってから、新規開業安売りセールの広告が入っていた携帯電話ショップに行き、新型?foma携帯電話を購入した。
3〜4年程前に0円で購入した今までのmova携帯電話でも何ら支障無く使えていたのだが、来春の海外登山に備えて、海外でも使え、かつブログに写真や文字をアップしやすい新型携帯機種が欲しいと思ったのだ。聞いた話ではブログというのはほとんど携帯を通じてアップされているものらしい。僕ももっと最強のコミュニケーションツール携帯電話を使いこなせる様になろうと思う。
さてなかなか話を聞けば聞くほど目写りする各種新型携帯だが、結局あまりに各種サービスが豊富で幾ら聞いてもその中味の差は良く理解できない。それでも海外でも使えて、写真が美しく撮れるというソニーのサイバーショット携帯というのを購入した。
ちょうど大安売りセール商品だったのが最大の決め手だった気はする。定価は50000円程度らしいが、大安売りでそれが今は1円に何故かなっている。
だが良く話を聞くと1円になるのは、料金プランをベーシックコースで選択した場合のみで、バリューコースを選択したら、機種の値段は17000円になると言われた。
どうも僕の携帯にはもともとファミリー割引とか、何とか割引とか知らないうちに色々な割引が付いていたらしく、バリューコースを選択すべき状況にあるらしい。
ところがそれもmovaからfomaへの変更、及びドコモポイントの使用等?により、何故か結局携帯自体はほぼ無料で買えたりする。
聞いたら何とかオプションに加入すれば、更に使用料も安くなるらしい。新しい新型機種をほぼ無料で購入して、更に通話料まで安くなるなんて、なんだか狐につままれた気分になる。だが多分騙された訳ではないだろうから、きっと本当に安くなるのだろう。
その場で購入を決めたが、なんだかとっても得した気分になったりする。
その後家に帰って、うきうきと子供が玩具を取り出すときの様に、箱を開けて新しい携帯をいじりまくる。これがまた難しくて、取扱説明書を見てもなかなか理解できない。これは新型携帯を使いこなすためのハードルは中々高そうだ。
それでも今はその新型機種を使いこなし、来春は海外からブログに、美しい写真や文章をアップできれば良いと考えている。これはもともと機械が苦手の僕にとってHP作成に続くなかなかのチャレンジだったりする。
そんなこんなで今日は携帯電話の深すぎる世界に、ちょっと戸惑う好奇心豊富なお父さんの話を書いてみました。 |
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要注意分娩の段取り
外来は毎日結構混んでいるが、分娩は少ない。お陰でここのところ夜中に突然呼び出される事は、ほとんど無く済んでいる。
それは良いのだが、そうなると今度は後からのしわ寄せが怖い。安産ならともかく手間のかかる難産はやはり上手い事ばらけて産まれてくれないと、段取り上困る事が多いのだ。
今日も沢山の注意を要する臨月妊婦さんが外来に受診された。もしこれらの方の分娩がまとまって始まったらそれは大変な事になるだろう。もちろん危険でもある。
特に気になるのは、僕が高山から離れている間に妊婦さんや児が危険な状態になった場合だ。難産ははっきり言って僕のいる平日の昼間に産まれて欲しい。そうでないと色々と困る。
僕にも週末は幾らでも高山を離れる用事はある。直ぐに引き返せるところにいれば良いのだが、山の奥深くにいたり、人並みに名古屋、東京に用事で出かける時だってある。
今まで僕は自分で言うのも何だが、動物的嗅覚?と幸運で幾つもの難産を遠くからでも切り抜けてきた。
とはいえ東京ディズニーランドの入り口ゲートをくぐった途端に、救急呼び出し電話が入り、中央高速を飛ばし飛騨高山の手術室まで直行引き返した事もある。こういうのは今でも思い出す悲しい記憶で、一緒にいた家族は泣く思いだったろう。
要するに、危険な分娩がどの程度どれだけの数控えているかで、僕がどこまで高山から離れられるかが決まる事となる。携帯の受信範囲ももちろん重要だ。
さてこれからしばらくの間僕は色々な用事で、高山近辺を離れる事が多くなりそうな気配だ。具体的には産婦人科医会の研修、病院の職員旅行、その他個人的な用事等々などでだ。
それら用事と、たまりにたまった要注意分娩が重ならないか、今からちと心配だ。いったいどうなっちゃうんだろうと他人事みたいに思ったりする。
さて先日の報道で、とある県の周産期センターでは、当直の産科医が何処にいるか24時間常に把握できるGPSシステム導入を始めたというニュースが流れていた。そうする事で救急隊が素早く母体の搬送先を決めれる様になるらしい。
ただもしこれが僕に当てはめられるようになると、月に20日間産直の僕は、年がら年中宇宙からの電波で居所を探られるようになる事となる。そういうのもちとたまらないぞと思う。
今日も看護、事務各方面から、僕の週末不在期間に、外来はどうするのかとか手術はどうするのかとか、要注意経過中の方はどうするのかと、何回も聞かれた。心配に思うのはそれは当然だろう。
とはいえ僕としては「もうなるようにしかならないや」というのが、正直そのままの気持ちだったりする。 |
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飲んで食べてWiiFitに乗ると
昨夜は病棟の送別会があった。経過中の方もいないので、多分夜中に呼ばれる事も無いだろう。というわけでこの手の飲み会では珍しく、比較的気兼ねなく酒が飲める。
比較的寒い夜で、ビールが美味い季節も過ぎ去ったようだ。久しぶりに焼酎のお湯割りで、助産師さん看護師さんらと団欒を楽しむ。
ただ最近の若い看護師さんらには、飲まない人が随分と増えた。
飲酒運転の厳罰化のためかもしれないが、やはり世の中の健康志向が関係しているのだろう。飲まない看護師さんらを前に、男一人?焼酎をあおる。ビールより焼酎の方が健康に良いと能書き垂れながらも、少し寂しかったりする。せっかくの飲み放題が勿体無いとも思う。
さてさて飲んで食べたら2次会にも流れず、会はお開きとなった。僕も真面目にそそくさと帰宅し、健康一番と寝る前の日課のWiiFitでヨガに励んだ。ところが食べすぎで大分体重が増えたらしく、WiiFitから食べすぎはいけませんよと鋭く指摘される。「こんなことじゃあいけませんねえ」とゲーム機に指摘されても、何だか少し複雑な気分だ。
今日は雑用の水曜日。昨夜は焼酎ばかりにしたのが良かったのか、二日酔いも無くさくさくと仕事に励む。楽は出来ないが、まあまあの時刻には帰れそうだ。
さて、一昔前の飲み会では、後先考えず飲んで騒いで、翌日は二日酔いでふらふらになりながら仕事するのが普通だった。
僕も節制して来春予定している遠征登山に備えないといけない。僕もWiiFitに指摘されるまでも無く、スタイル宜しい看護師さんを見習って、節制ダイエットに励みたい。
世間の健康志向はそれは良い事だろう。とはいえ何だかそういうのばかりでも、ちとつまらない気もしたりする。
確かに仕事は大変だ。お年寄りの入院が増えて、看護師さんの業務も大変だと思う。
翌日の仕事を考えると、簡単に飲みすぎる訳にはいかないのだろう。とはいえスタイル宜しい痩せた?看護師さんらと真面目な話をして、どこで彼女等はストレスを発散しているのか、それも少し不思議に思ったりもする。
三人に一人は飲まない飲み会が、今時の飲み会です
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母体搬送される方
仕事はもちろん楽でないが、昨夜はまあまあの時刻には帰宅できた。家族と夕食を食べてその後は病院フットサルの公式練習にも参加できる。身体の動きは相変わらずさえないが、仕事と年のせいにして、それなりにボールを追いかけ汗をかいた。
今日は一日中外来の火曜日だ。途中昼休みも取れたし、寝不足も無いから言う事は無い。各種心配事は多いが、そういう事は誰にでもある。
さて最近のニュースやネットを見ると、先日東京都で起きた脳出血妊婦受け入れ拒否とそれに伴う母体死亡事件の件が未だに報道されていた。何でも石原都知事と舛添厚生労働大臣との責任なすり付け合いバトルが話題になっている様だ。
まずはこういう事に巻きこまれた、都立墨東病院の勤務産科医には気の毒な事だと思う。難しいかもしれないが、これにめげず仕事をぜひ続けていってもらいたい。
また石原都知事と舛添厚生大臣との責任転嫁バトルも、基本的には不毛な事で意味は無い。もちろんどちらがどう悪いという事も無い。
あえて言えば悪いのは、世間の産科医に対する過剰な要求水準と、過去の一方的なマスコミ報道だ。更にこれに追加して異常な検察の判断もあった。要するに言ってしまえば、一番悪いのは周産期の現実に対する世間の無知にあるのだろう。
さてさて、脳出血の様な重症妊婦さんを受け入れるのは、普段からさんざん忙しい産科医には誰しも嫌な事だ。突然無理やり火中の栗を拾わされに行くようなものだろう。
ネットで見たニュースによると墨東病院では産科医不足を理由に、都に母体搬送受け入れ施設の指定解除の希望を出していたらしい。その希望を受け入れられる前に、この様な事態に巻き込まれた産科医は全く可哀想でならない。
無理やり受け入れ施設に指定させられて、挙句の果てにたらい回しの責任を取らされては、医師もやる気を失うだろう。
そういえば僕の病院も1年ほど前に、一方的に岐阜県産科医療施設の2次受け入れ機関に指定されそうになった。その時はすぐさま抗議して、指定対象から外してもらったが、今回都で起きた事を思えば、全く僕は正しい判断をしたと思う。だいたい産科医師が僕一人しかいない病院を、受け入れ病院に指定しようとする考え事態が、僕には全く理解できない。
さてさて今回の事を受けて、舛添大臣は周産期センターの全国調査を始めたらしい。
だがこれにも僕は心配がある。基本的に最大の問題は産科医不足にある。周産期センターのマンパワーを無理に充実させたら、今度は末端の病院やクリニックの産科医が今度は不足する事となる。そうなると一般妊婦さんの分娩可能施設はますます減り、世間の分娩難民はますます増える。
つまり、脳出血合併妊婦さんの様な十万に一の例を救命できる様にしたら、今度はその分一般の妊婦さんの分娩先が逼迫して来るのだ。
大変な後遺症を持つにいたるであろう母親一人を救うために、何千の分娩先が無くなる事になる。これではやっぱりいかんのじゃなかろうか。
僕は前から何度も書いているが、もともと分娩は危険なものだ。これから先もこの様な母体死亡は必ず起きる。大事なのは妊婦さんの分娩に対する覚悟にある。
小子化問題を何とかしようと少しでも真剣に考えるなら、少産少死を目指す事より、マスとして多産多死を容認する考えに戻す必要がある。産科医がそう書いちゃ元も子もないという話もあるけど、これはどうしようもない事実だと思うがどうだろうか。 |
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子供を応援したいけど
代務の先生に来ていただいているお陰で、今週末は夜中に起こされる事も無く自由に過ごす事が出来る。
昨日日曜日は雨交じりの天気だったが、三男のサッカー大会新人戦には問題無い程度であった。
朝に何時まで経っても慣れないサッカー会場ライン引きお手伝いを済ませると、時々のサッカー試合応援を交えつつ、愛車点検や病院の停電対応などの業務で過ごす。
今日月曜日も朝から外来と手術と分娩が2件続き、何時もの様に忙しい。とはいえ代務の先生と助産師軍団の力を借り、今のところはスムーズにこなせている。
さてさてこの土日は、僕は山歩きとか、その他自分の雑用で概ね時を過ごしてしまった。
とはいえ他の少年サッカー保護者の方々は大変だった様だ。土曜日にU−12地区トレセンの強化遠征、日曜日に少年サッカー育成団チームの新人戦と、2日連続で少年サッカーU−12の大会が続いたからだ。
中には朝から晩まで、様々な装備の積み込みや片付け、更には遠征用のバス手配から長距離運転までしなければならない保護者の方もいて、全く申し訳なくて僕は足を向けては寝ていられない。その他昼食の準備や、ゴミの片付け関係も馬鹿にならない。
親としては、子供がサッカーで活躍している姿を見るのは楽しいものだ。とはいえ2日連続の子供の世話で、いかにも疲れた雰囲気の保護者の方もいて、大変だったんだろうなあと思う。
少年サッカーというのは基本的に、色々な点で保護者の協力が無いと成り立たない。当たり前だ。サッカーを通じて子供達が成長してくれたら、親としても言う事は無い。
ところが僕の場合仕事も忙しいし、趣味の登山にもかなりの時間を費やしている。
子供がサッカーで活躍している姿を見ると、当然応援したくもなるが、そこに自分の都合や思惑をどうフィットさせていくか、色々複雑な思いもあったりする。子供達がサッカーで成長するには、親さんも一緒にいろいろ成長しなければならないのだろう。とはいえ僕はあまりその点自信が無かったりする。 |
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落ちるのは葉っぱだけで
昨日の大笠山山行は最初から最後までずっと落ち葉の上を歩く山行だった。落ち葉の絨毯の上をずっと歩いていたような感じだ。
前日の雨で落ち葉が濡れている事もあって、傾斜の急なところはまるで落ち葉の滑り台みたいになっている。
転んで怪我しないように、それなりに気をつけて下山したが、それでも2〜3度足を滑らせて転倒してしまった。そのまま脇の谷に落ちてしまわないで良かったと思う。
その後高速で飛騨トンネルをくぐり帰宅して、子供達と遅めの昼食を食べてから、週末ならではの各種用事を済ましに出かける。
ついでにレンタルビデオ屋でDVDを借りたら、あろうことかビデオ屋店内で車の鍵を落としてしまった。どうやら午前中の山行の最中にキーホルダーの留め金が壊れてしまっていたらしい。
大慌てでビデオ屋の店内を探したが見つからない。半ばあきらめて店員さんに紛失物の連絡をしていたら、幸い何方か親切な方が、落ちていた鍵をレジの人に届けてくれたという報告が入る。
有難い事だ。何処に落ちていたのかは分からないが、見ず知らずの親切な方に感謝する。
ついでセルフガソリンの店に行きガソリンを入れていたら、今度はガススタンドの前でデジカメのメモリーカードを落としてしまった。これはスタンドを立ち去る前に気づいて事なきを得たが、水溜りや油たまり?に落としたりしていないで良かったと思う。
どうも昨日はモノを落す日だったようだ。その後100円ショップに行ってキーホルダーの良さげなものを購入し、つまらん流れを断ち切る。
山で落ちる落ち葉はいずれまた土に戻り、植物や動物の栄養源となる。自然のものは壊れて再生してくるくる輪廻している。
しかし人工物を落すとそれはただのゴミだ。自分はモノを落さないようにしよう。もちろん自分も山で転んで落ちないようにしないといけない。
今日の子供のサッカー会場の落ち葉を見ながら、何だかそんな事を今日の日記に書こうと思いました。
数え切れない程の落ち葉で埋まった登山道を歩く

美しい落ち葉も、直ぐに雪に埋もれて土に帰る

今日のサッカー大会会場も紅葉が美しかった
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錦秋と落葉の山歩きでした
今日は三男のいるサッカーチームの強化試合がある。子供の強化に付き合うか、自分の弱体化を防ぐための山歩きに出かけるか、昨夜は夜遅くまで悩む。
代務の先生は高山まで来てくれているから、多少の遠出は出来る。天気もまあまあ良さそうだ。また有難い事に昨日金曜日には、珍しく手術が午後に1件だけで済んでいた。体力的には余裕があり、土曜日は多分早起きできるだろう。
様々な都合や思惑もあったが、結局子供の付き合いは任せ、自分はストレス解消?運動不足対策の山歩きの方に出かける事とした。三男には遠くからエールだけ送る事としよう。
というわけで今日は午前中から昼にかけて、さらりと五箇山桂湖から大笠山フカバラ尾根を往復してきた。長男次男の食事の世話?はあるので、あまりゆっくりしたくはない。
予想通り山はちょうど紅葉の美しい季節だった。落ち葉を踏みながら楽しい山歩きとなる。意外に長くて歩きづらい尾根にそれなりに苦労緊張したが、それでも素敵な晩秋の登山を、思う存分楽しむ事が出来て良かった。
大笠山からは笈ヶ岳が登高意欲を誘う

錦秋の山歩きでした

濡れた落ち葉が滑りやすくて、やや緊張の下山
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市内に僕の隠れ場所は無いの?
昨日は午後の外来終了後に運良くちょっと空いた時間が出来た。こういう時間は珍しい。
これはチャンスと大急ぎで準備をして来春の海外登山に備えて、パスポート取得に出かける事とする。高山では週に2回のお昼時しか、パスポート申請できる時が無い。時間のある時に申請しておかないと、次にいつ都合の良い空いた時間が出来るか分からない。
何となく悪い事をしている気分??で病院を昼間にさらりと抜け出し、飛騨総合庁舎に向かった。必要書類は揃えておいたので、申請はもちろんそつなくこなす。
担当者にサインの仕方が悪いですねえと、何度も駄目出しを出されていた時に、突然後から「先生どうしたの」と声かけられた。振り返ると三男のサッカーチームの保護者の方だ。聞いたら此処で職員として働いているという。
「海外に何しに行くの?」と聞かれたが、「えへへーちょっと・・ウッヒッヒ」とここはさりげなく誤魔化しておく。
更に飛騨総合庁舎に出るところで、今度は何かの打ち合わせに来た病院職員の方とすれ違った。すれ違いざまに「あれ先生なんでこんな所にいるの?」と聞かれたが、「イヤー別に・・」とこれまた言葉を濁す。
その後パスポート申請書類の印紙を買いに郵便局に言ったら、今度は患者さんが隣に座っていた。話かけられ無いように?ちとうつむき気味で順番を待つ事とする。
更にパスポートの県証紙を買いに農協に行ったら、今度は受付の方がまた知り合いで「あれまあこんな所で・・」と話しかけられた。
最後に病院に戻る前に、通りがかりのコンビニに寄った。するとそこのレジさんがまた患者さんだ。「先生妹もよろしくね。その後大丈夫なの云々・・」と話しかけられて、質問までされてしまう。
高山みたいな狭い土地で、10年も産婦人科医をしていたら、こんな事は当然なのだろう。もう慣れてはいるが、何処に言っても知り合いの方がいるというのも、ちと複雑な気分がしたりする。
そしてその後病院で回診等の仕事を済ませ、夜に帰宅した。すると何も知らないはずの人が「今日病院から何処か外に出かけていたね」と知っていたりする。
何でも僕と何処そこで出合ったというメールが届いていたらしい。
今日あった人の中の誰が、どんな内容のメールを送ったかは不明だ。とはいえこれじゃあまるで誰かに見張られているみたいだよと思う。
こんな事は良くあるし、だからどうという訳で無いが、そんな感じで僕には市内に隠れ場所もほとんど無いのですと言う様な話を、今日は書いてみました。 |
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都立ER墨東病院と五の橋産婦人科
今朝も例によって分娩室からの呼び出し電話から一日が始まった。寝不足は無いが、今朝も慌しい朝だ。
ちょうどワイドショーでは東京で起きた、脳内出血合併妊婦の母体死亡のニュースが流れていた。受け入れ病院を探したが6件に断られたと言う。一応ニュースを最後までチェックしてから、いそいそと分娩室に向い仕事に励む。
さてそのワイドショーでは、妊婦の夫、搬送元病院の医師、担当都職員から東京都知事まで現れ発言し、更に医療事故専門のジャーナリストが、様々なもっともらしいコメントを出していた。
一昔前の一方的に産科医を悪者扱いしたマスコミの態度とは、いささかニュアンスが異なってきたのは確かだ。しかしまだまだ現実の厳しさを把握して無いコメントばかりで、いささか怒りを覚える報道もある。
この手のマスコミニュースは、流れれば流れるほど事態が悪化し、周産期医療の現場が更に逼迫するのだが、今回はそういう事にならない様に願うばかりだ。
さて僕は多分この手の周産期医療における出来事の本質を、医療専門ジャーナリストよりよほど理解していると思う。ほとんど当事者に近い存在なのだから当然だろう。
ここで僕が言いたい事は、搬送元の産婦人科クリニックの医師は3人いたが、搬送受け入れ先のER墨東病院の当直医師は駆け出しの産科医一人だけだったという点だ。ご丁寧にクリニックの産科医は、妊婦さん受け入れを何回も断られて困ったという趣旨の話を、テレビインタビューで話している。
しかしちょっと考えてみれば分かるが、この手の突然の重症患者さんに対して、送り出す産科医が3人で、受け入れる産科医が若手一人のみなんて、その構造自体がおかしくないか。
突然の重症患者さんを受け入れる以上、受け入れる側はそのマンパワーが送り出す方の数倍いてしかるべきなのに、実際はその逆なのである。
僕はこの手の事が起きる理由が良く分かる。妊婦さんを受け入れる方も送り出す方も、産科医であることは同じだ。ただその普段の仕事は、墨東病院の産科医の方が間違いなく大変だ。しかも収入はずっと少ないに違いない。
墨東病院のような妊婦受け入れ側の大病院産科医は、全く割に合わない激務の仕事を普段からしているのだ。当然どんどん開業医院の方に医師は逃げる。寝ずに身を削る仕事が低収入では長続きする訳が無い。
そして大病院の産科医はどんどん減っていき、重症妊婦さんの突然の受け入れは、ますます不可能になる。
大病院の産科医が、現状のまま全ての妊婦さんを突然受け入れなければならないなんていう論調では、ますますこの事態は深刻化する。というより既にもう手遅れだろう。
今回の五の橋産婦人科医の医師も、元は墨東病院で働いていたという。
自分が元働いていて堪らず?出て行った病院に、妊婦さんを送って受け入れてもらえないと嘆くのでは、産科救急を曲がりなりにもがんばって維持してる病院の勤務産科医に、とても義理立てはできないと思う。
さてさてそれはさておき、本質的には産科医が少なすぎるのが、最大の問題点であるのは間違いない。
この手の母体死亡を今の半分にしようと思ったら、産科医の人数を今の倍にする必要がある。そのためには大病院で働く産科医の年収をすぐさま倍にして、更にこの先10年間の育成期間を待つ必要がある。そうしない限りこの手の母体死亡の数は減らない。それが現実なのだ。
それが出来なくて待てないのなら、全ての妊婦さんに今の割合の母体死亡確率で、覚悟納得して分娩に挑んでもらう。それ以外に他に方法は無い。 |
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今年の冬は寒くなりますか
毎日それなりの沢山な仕事量をこなしているが、深夜業務は無しで済んでいるので体調は悪くない。昨日も比較的早く帰宅できて、夜は三男のサッカー練習にお付き合いする事が出来た。ただやはり一日中の外来で心が磨り減っているのか、足はイメージ通りに動いてくれない。
これは年のせいかもしれないし、ただ運動神経が鈍いだけかもしれない。とはいえとりあえず仕事のせいにしておけば、足技が決まらなくても気持ち的には合理化できたりする。
その後はウィーフィットでヨガをして、風呂入ってビール飲んで朝まで寝れたから、幸せな夜だとは言えるだろう。
さて今年はこれから新居に引っ越して最初の冬である。新居は今流行り?のオール電化住宅で、ガス代や配達灯油代はかからない。夜間電力を上手に使っているせいか、電気代もそれほど増えなかった。
トータルでその手のライフライン経費はかなり安くなった気がする。
先日短い時間だが停電があって、その間家の機能は全てマヒした。その後電気が戻ってから様々な設定に障害を来たすのではないかと心配したが、無事問題なく回復もした。
総じて新しく便利な機能も多いし、オール電化住宅は思ったより優れものというのが僕の印象だ。
とはいえ多分この手のオール電化住宅の最大の欠点は、多分暖房機能に弱いという事だろう。今までの病院社宅には大きな室外機付きファンヒーターが備え付けてあって、真冬でも暖房を入れていれば寒い事はなかった。
しかし今のオール電化住宅は、一応暖房機能付きクーラーがあるだけで、今から冬の寒さがやや心配である。今のところ灯油ストーブとコタツで対応するつもりだが、寒がりの家族には辛い冬になるかもしれない。
というわけで、今年の冬が寒くなるかならないかは、この季節に良く話題になる事だ。
この数年は3年前の大雪を除き、全て暖冬だった。今年もきっと暖冬だろうと僕は思っている。しかし今年はカメムシが大発生?したから大雪になるに違いないという説もある。
それにそなえて、屋根に雪下ろし不要落雪シャッター?を付けろと強く主張する。氷が屋根から落ちて、車がへこんだりするのが心配だと言う訳だ。運が悪いと落ちた氷で怪我するかもしれないとも言う。
この数年は高山でも碌に雪は積もらないから、そんなの無くても大丈夫じゃないかと僕は思うのだが果たしてどうだろうか。
早く雪が沢山降って、山スキーが出来るようにならないかという気持ちもあれば、寒さと雪かきを心配する気持ちもある。この辺が雪国?に住む、オール電化山スキーヤーの複雑な気持ちがあったりもする。 |
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指は商売道具なもので
外来は混むし、入院患者さんもじわりと多いし、何時もの様に楽でない火曜日だ。とはいえ夜中の分娩は無かったから寝不足感は無い。朝から晩までの外来でイライラするし、右腰も痛いが、まだマシな方だと思いもう少し頑張ろう。
さて昨日の夜たまたまテレビを見ていたら、日本の誇る登山家山野井泰史の、グリーンランドにおけるフィヨルドの大岩壁オルカ初登攀記録が再放送で流されていた。何でも今年度のNHKのドキュメンタリー最優秀作品に選ばれている作品らしい。
素晴らしい映像と、山野井夫婦の壮絶な生き様が良く伝わるドキュメンタリーで、思わず引き込まれる様にして見た。山野井夫婦と言う強烈な説得力あるキャラクターが何と言っても強烈だし、迫力ある映像の伝える力にも改めて驚く。
それにしても、こういう真のアルピニズムを体現する方たちから見たら、僕のやってる登山なんて子供の玩具遊びと何ら変わる事は無い。
中でも特に強烈に印象に残ったのは、登山家3人が3人とも手足の指を何本も落としているという点だった。指の無い生活の不便さと、にもかかわらずビックウォールクライミングに挑戦する根性が並大抵でない。
彼らは全て高所登山を通じて指を落としている。僕の知っている登山家岳兄先輩方にも何人も指を落とした方がいるし、超高所ヒマラヤに挑戦すると言う事は、指を落すリスクが相当に高いのは、まず確かな事だろう。
それでも命を落すよりは、指を落としてでも生還した方が、遥かにマシな事である事は間違いない。
さてさて僕の職業の産婦人科は指が命の仕事である。僕は日々、自分の指先と口先?の技術能力で、家族もろともその生計を立てている。そこでもし僕の指が無くなれば、たちまち生活に困る事になる可能性は高い。
実は僕も10数年前に雪崩で埋められて、右小指がマヒして動かなくなり、その後しばらく仕事で難渋した事がある。それでも片手と右親指で何とか手術等もこなした。その時は何とかなったが、山野井夫婦の様に強烈に指を失ってまで仕事が出来るかは大いに不安だ。
しかし世間では片手の無い大リーグ選手や、足の無い短距離走者もいる。山野井夫婦の様に指の無いビックウォールクライマーもいる。そう思うと指の無い産婦人科医というのがいても、そうはおかしくないかもしれない。
もちろん僕が先々指を落す事になると、思ってはいない。とはいえ来春に予定している高所登山の事を思うと心配はある。
それにしてもそういう強烈な方の爪の垢でも煎じて貰っておいた方が良いか、なんていう思いも心にはあったりする。 |
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ビールとワインと日本酒とどぶろくとか
代務の先生のお陰で夜中に呼ばれる事は無い。昨日の秋山登山の心地よい疲労感で、きちんと朝まで眠り、気持ちよく出勤する。とはいえ朝一番の連絡は、手術になりそうな要注意分娩の方が新たに入院してきてるというものであった。
代務の先生がみえる間に、手術になるかならないか、はっきりさせる必要がある。緊急手術になる可能性を睨みつつ勝負誘発促進の指示を出す。
作戦は成功し無事分娩は昼過ぎに終了した。お陰で今日の手術は午後1件のみで済んだため、空いた時間に郵便局に行って各種用事も済ます。
さて話は変わり、この夏に高山と高速で繋がったばかりの白川郷萩町では、伝統の祭りのどぶろく祭りが今行われている。
代務の先生も、この土曜日にちょっとした隙間の時間を見つけ、飛騨トンネルを通り、すかさず白川郷観光に出かけ、仕事中にもかかわらず?どぶろく祭りを楽しんできたと言う。
僕にもどぶろくのお土産を、2本も買ってきて下さるという心憎い気配りもあり、有難うございました。
一説には、白川郷でのどぶろく製造販売は、あきらかな酒税法違反だという話もあるが、それはさておき世界遺産の白川郷では今、観光シーズンの真っ最中でそれは潤っている事だろうと思う。
なんでも白川郷のどぶろくは、お賽銭と同様扱いとして、実質的に販売されているという(税金は多分払っているでしょうが、どこまでしっかり計算しているかは??)。
さてさて、僕はどうもなぜか、患者さんや関係各位(医師含む)から、酒好きだと思われる節があるらしい。毎年相当量の日本酒やワインを頂く。少しづつなら僕一人毎日飲んでも、無くならないくらいの量だ。ところが僕は、ほぼ毎日産直の身で、毎晩酒飲んで夜を過ごせるほど、贅沢な環境にはない。
それでもビールもしくは発泡酒は、ほぼ毎日飲むが、もともとそれほど酒好きでも酒に強い訳でもない。貰い物の日本酒やワインは、実はほとんど何方か別の方に回る事が多かったりする。
本来なら患者さんから医師への付け届けも、大抵の病院で原則禁止されている。しかしどういう訳か酒類は周囲も大目に見る場合が多そうだ。酒にまつわる決まりと言うのは、ザル?の決まりがどうも多い。
飲酒運転こそ厳罰化されているが、どぶろく祭りの最中に、高速入り口で飲酒検問をしたらそれは大変は事になるだろうと、誰もが簡単に想像は付く。
だからどうと言う訳ではないが、お酒というのは便利なものだと思う。あくまで程度問題だが、世の中全て杓子定規では上手く行かないのだろう。
交通事故の原因やアル中になったりするといけないが、こういう社会の潤滑油も、きっと世間では、少し必要とされているという事なのだろう。 |
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秋の山を楽しみました
日曜日も快晴だ。やはりこれは体力維持のためにも何処かに出動しない訳には行かない。何処にでも行けそうな素晴らしい好天だが、この時期紅葉を楽しむ山行もいいだろう。
というわけで、今日はちょっと遠出して、馬場島から大猫山と猫又山を縦走してきた。終始、剣岳を見ながらの縦走路で予想以上の快適尾根に驚く。
子供達は今週もサッカーの大会で忙しかった様だが、僕は秋の快適な一日を、楽しい山歩きで一人贅沢に過ごさせていただいた。
剣岳を見ながら、カヤトの尾根を縦走

紅葉もいけてました
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来春の為に
天気予報ではこの週末は嬉しい秋晴れになるという。代務の先生も来ていただいているし、比較的雑用も少ない。これは貴重な週末だ。
とはいえ金曜の仕事はしんどくて遅くなり、じわりと疲れも残る。せっかくの好天が勿体無いが、土曜日は休養と各種準備作業に当てる事とした。
午前中は床屋や買い物、子供たちとのお付き合いで過ごす。午後からはインターネットを駆使して、来春の長期休暇をどう有効にかつ豪快に過ごすが、情報集めと各種連絡業務に励んだ。
外は快晴で、野外活動には最適な一日だ。とはいえ様々な資料を分析するうちに、あっと言う間に時間が経つ。身体をろくに動かさないうちに夜になってしまった。
色々と思惑通りに進まない事もあるにはあるが、何事も段取り8分だ。何とか上手く事をこなして、来春の生涯賭けた挑戦に備えていきたい。 |
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寝不足もうつ病の原因ですから
昨日は午後に手術や処置が入ってなかったお陰で、外来や病棟の患者さんの人数は多くても、比較的早く帰宅は出来た。帰ると早速、三男との親子ナイターサッカー誘いの連絡が入り、ビール飲むのは後回しにし、着替えて急遽東小グラウンドに向かう。
子供の前で無様な姿は見せられんと、中味はともかくグラウンドを走り回った。小学生相手に覚えたてのフェイントを多用し、カッコよくシュートを決めようと思うが、そうは問屋は下ろさず、身体がクルクル回るだけで一向に相手選手を抜けなかったりする。
自分では上手く足技をしているつもりでも、ギャラリーから見れば「何やってるのあのオッちゃん」という感じらしい。自分のイメージと実際の姿はかなり異なるのだろう。とはいえそんな事は気にせず、それなりにごっつあんシュートを何回か決めて、気分は良くする。
帰宅後はWiiFitでヨガをして、風呂入ってビール飲んで、ぐっすり眠ればそれでOKのはずではあった。ところがそれで問屋は卸さないのが、産婦人科医の世界で夜中の午前3時過ぎにまた予想外の分娩連絡が入る。
せっかく気持ちよく眠れていたのに、がっかりだ。半分眠りながら出動して夜中の仕事に励む。分娩は予想外に時間がかかり、睡眠時間は大いに削られた。
その後僅かな時間の2度寝は出来たが、それでも今日は心身ともに辛い寝不足外来、寝不足手術となる。それでも外来は混むし、午後2件目の手術はややタフな手術だった。手術を受ける患者さんも不運な事だと思う。
寝不足だからさくさくと手術を進めたいが、焦って出血量を増やしてもいけない。ここは根性と忍耐で無事に手術はこなした。その後もなかなか仕事は終わらず、眠いし口の中にはストレスで口内炎も出来る。この前の0mからの富士登山でも身体は平気だったから、やはり仕事と言うのはそれなりにストレス大きいのだろうと思う。
さて話は変わり、今日は外来患者さんの中に、不眠と産褥うつ病の方も混ざっていたらしい。ところが僕のところの列を成す秒単位外来に受診意欲を失い、僕のところではなく病棟婦長さんの所に患者さんは向かっていったと言う。
何でもその後婦長さんは2時間に渡りその患者さんの訴えを聞いてあげたとある。それはとても良い事だろう。寝不足な上に秒単位で仕事をこなさなければならない僕には、一人の患者さんに2時間もかける余裕はとても無いし、現実的に不可能な事だ。
実はうつ病と言うのは皆が思うより、ずっと怖い病気だ。僕の患者さんの中にも、受診直後にそれで自殺された方が2人もいる。そうなると周囲に大きく影響するし、僕も後味が悪い。
しかし一方、他人の事を気にする前に、僕もこんな眠れないでのハードワークを続けていたら、自分が先にうつ病になるよとマジに思ったりもする。
自分が仕事でしっかり眠れてないのに、患者さんにしっかり眠りなさいよと指導するのも、ちと気持ち複雑な思いもしたりするのだ。 |
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マッサージで何が直るの
外来も病棟もじわりと患者さんが増えてきている。何だか巷に原因不明の発熱性疾患と下痢が流行っているようで嫌な感じだ。まだインフルエンザには早すぎる時期で、何かウィルス性の胃腸炎がパンデミーを起こしているのだろう。季節の変わり目でもあるし、体調管理には気をつけとかなければいけないと思う。
そうこう言いながら、今日も混雑秒単位外来で多くの患者さんの各種飛沫を何回も浴びた。イライラすれば仕事の合間にチョコレートやお菓子を散々食べているし、中々節制した暮らしはできないものだ。
標高0mから富士山まで運動すれば、少しは体重も減らないかと思ったが、そんな事は無く却って増えてしまっている。背部痛や頭痛もあり気は楽でない。
さてさて今朝起きて、朝一番のワイドショーを見ていたら、一目怪しそうな整体師が、マッサージで筋腫が治ると宣伝して患者を集めた理由で逮捕されたというニュースが流れていた。
どこか宗教の教祖めいた整体師さんで、多くの患者さんがマインドコントロールされていたのだろうと思う。
大体人気のある整体というのは、多少は口技巧みにマインドコントロールを利用している気がするが、そこまで言ってしまえば多くの真っ当な整体師さんは怒ってしまうだろうか。
なお僕も背部痛で一時期病院の理学療法の方に大分マッサージして頂いたことがある。電気やアロマや牽引もした。
マッサージされている最中はそれはそれは気持ちよいものだ。しかしそれで決して背部痛自体が根本的に直る事は無いと言う事に気づき、もう最近では全くこの手のマッサージ療法は受けてない。
何かと忙しくてマッサージを受ける暇も無いというのもある。あくまでもこの手のものは、その場しのぎのものでしかないのだろう(多分)。
なおマッサージで筋肉痛を取るのも容易じゃないのに、マッサージで子宮筋腫を小さくするなんで事はできる訳がない。ただ殆どの筋腫はそれほど悪さもしないし、患者さんには直接主観的にその大きさも分からない。だからこそ、この手の疾患はマインドコントロールによる治療がまかり通るのだろう。実際に巷には保険外の筋腫治療法が山ほどある。
子宮動脈塞栓の様に、副作用はともかく一時的にはかなり効果がありそうな、保険外治療もある(もちろん僕はしてませんが)。
さてさて僕が医師になり立ての頃は、手拳大以上の筋腫は手術適応だと言って、どんどん手術摘出していた時代があった。僕も駆け出しのころ、それで沢山の子宮筋腫を手術した。おかげで随分と手術が上手になったと思う。
筋腫摘出は更に高度なガン手術を行うための練習だったと言えば言い過ぎだろうが、そういう面も多少は無いわけで無い。
しかし最近では、生理を止める薬が出来た事もあり、筋腫の手術件数は随分と昔より減った。とはいえ筋腫の手術件数が減る以上に産婦人科医の人数が減る方が早かったので、決して僕の仕事は楽にならない。
上手な整体師さんは、マッサージで筋腫を小さくする技を開発する暇があるのならば、ぜひ全ての背部筋肉痛を根本的に直す活気的マッサージを開発していただきたいと思う。
そうすれば婦人科医の持病でもある背部痛が減り、もっと婦人科医が気持ち良く手術できるようになり。その結果間接的に筋腫で困る人を世の中から減らす事が出来る。そんな我田引水的な思いを抱いてしまったりもする。 |
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アノマリーのスクリーニング
水曜日は手術や外来を入れず、仕事を楽に設定している分、他に様々な業務が入り込む。そのため仕事内容はバラエティーに富んでいる。今日も各種書類業務から、流産処置、ドック検診、分娩2件、看護学校講義等々に呼ばれ続け、何が何だか分からない内にどんどん時間ばかりが経っていった。
それでも隙間時間に、一昨日の海から富士山往復記録ページを作りUPしたから、自分は時間の使い方が上手だと思う。
さて話はいきなり変わり、誰もが産まれてくる子供が五体満足である事を望んでいる。しかし実際には各種先天異常を持って産まれてくる子供の数は、一般が想像するより多いものだ。
一番多いのが足や手の指の奇形、いわゆる少指症や多指症で全分娩の1%弱くらいとされている。幸い指の異常は早いうちに処置する事で、何事も無いと同様に出来る時代となった。
これもやはり発生率が多い口唇口蓋裂も、昔と比べ格段に治療法が進歩し、小児口腔外科に適切に対応していただければ、大人になって以後、ほとんど分からないくらい治癒する。
次に多いと思われるのは、肛門や外陰の奇形である。肛門が閉じていたり、尿道が割れているとかなり困る。これはそれぞれに応じた適切な手術、対応が要求されるだろう。
大体外から直ぐ分かる外表奇形というのは、指、口、肛門、外陰でその9割以上を占める。それ以上の大きな奇形の大部分は、生まれてくる前に流産や早産で自然淘汰されるのに違いない。目が4つあるとか口が2つあるとかそういう奇形は原則世の中にありえないと考えて良い。
腕や脊椎といった箇所での異常を持った児も、たまに産まれてくる事もあるが、それらの人数はずっと少ないし、多くの場合死産となる。また外から見えない異常では、心奇形や方腎が多いが、これらも多くの場合分娩後直ぐに問題となる事は無い。
さてさて今、妊婦検診では超音波診察を殆ど毎回行うのが一般的となってきた。当然親からは何処か異常を持ってないか聞かれる事が多い。しかし僕は妊婦検診超音波において、胎児奇形のスクリーニングはしない事にしている。理由は何か異常があると分かっても、妊娠中に対応できる事はほとんど無いからだ。
横隔膜ヘルニアとか特別な心奇形とか、希なケースを除いて、殆どの場合これらの先天異常は、分娩前に分かっても意義は無い。かえって母親の心配を増やし、中絶を強く希望されたりして複雑な状況を作ってしまう。超音波では異常の様に見えても、産まれてみたらなんとも無いというケースもある。
なお日本では法律上胎児要件による中絶は、原則禁止されているから、異常を持っている子供だとは言え中絶は出来ない事になっている。(ただしどういう訳か例外は多数あり、21週以前のダウン症ほとんど中絶されてますが・・・)
さて分娩の事を英語でReproductionと言う。これはそのまま日本語に訳すと再生産という意味だ。生物ならではの事象で機械には決して出来ない大変な事だ。神秘的な世界としか思えない。
再生産の段階で何らかの人為的淘汰を加える思想を、優勢保護とも言い、ナチスドイツの崩壊以後危険思想とされている。
しかし妊婦検診で胎児異常のスクリーニングをする事は、この優勢保護思想の最初のワンステップと考えられなくも無い。五体満足の子供を産みたいという自然な感情は、優勢保護思想と根本的なところで矛盾しているのだ。
さてこれ以上のことを言及するのは、産科医としてあまりに危険なのでもう止めとこう。産科医は胎児を淘汰する手段を知っているだけで、それ以上では決して無いと、ここには書いておくのだ。 |
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新幹線でエコ登山でも・・・
昨夜は富士山から、自転車と電車を乗り継ぎ夜中の11時過ぎに帰宅した。
急いで山装備の後片付けをして、病棟に電話連絡をしたらやや要注意の分娩が入っている。これは夜中に出動となるかもしれない。
自業自得かもしれないが、夜中の2時からぶっ続け行動して、更に深夜に手術等で呼ばれたらこりゃ堪らんと思う。ここは気にして眠りが浅くなれば、今日の仕事に響く。ここはいちかばちか起こされない方に賭けて、風呂に入るとビールを飲んで速攻でぐっすり眠ってしまった。
幸い夜中に呼ばれる事は無く、朝まできちんと眠れた。お陰で富士山の疲れもそこそこに、きちんと今日は仕事に励める。3連休明けで予想通り外来は混んだ。
分娩もあり仕事量は多かったが、それでも富士登山とMTBでリフレッシュできているため、今の所は概ね問題なく経過してくれている。
さてさて昨日の登山はいつもと異なり、車ではなくて電車で山懐まで移動した。理由は太平洋田子の浦まで長距離運転するのが嫌だったし、電車内でゆっくり?本を読みたかったといのもある。また車で行くよりは公共交通機関を使った方がエコにも良いだろう。案の定、久しぶりの電車はそれなりに旅気分も味わえて楽しかった。新幹線に乗ったのも10年ぶりくらいだろうか。
ただ乗り継ぎは例によってスムーズでなく、駅構内での待ち時間はそれなりにあった。自転車輪行だったので荷物が多いのもストレスだ。
とはいえ僕は20年前にそれこそ山のような荷物を抱えて、アジアやアフリカをバスや列車で横断した事がある。それを思えばどうという事は無い。何事も若いうちの経験は人生の宝物だ。
さてさてそういう電車移動にも各種欠点がある。まずは時間がかかる。時刻表を見て工夫しても、やはり車の持つ機動性と便利さには比べられない。そして今回痛感した最大の問題点?は、電車での速攻登山では帰路温泉に入る時間が無いという事だった。汗臭い身体のままで、満席に近い列車に乗るのはやはり苦痛だ。今時珍しい輪行だったし、車内の他の乗客にはかなり顰蹙を買ったかもしれない。
一方嬉しい事は、帰りの列車の中でビールを飲めるという事だ。これは他の何物にも代え難い魅力がある。周囲への迷惑と乗り過ごしさえ気にしなければ、臭い身体のままビール飲んで寝てしまうという手もある。
とはいえ自分勝手な僕もそれなりに周囲を気にする。さすがに高山本線の中でそこまで傍若無人な態度は取れなかった。自転車が乗客の邪魔にならないか気にしながら、缶ビール一本だけ飲んで小さい身体で目立たない様にしている。
何と言っても今時いい年したおっちゃんが、自転車持って列車に乗ってれば嫌でも目立つ。これが久美愛病院でいつも偉そうにしている産科医だと知れたら、それはちと恥ずかしい。
というわけで昨日も特急飛騨の列車の中で、ビールと寝不足と豪快MTBダウンヒルの余韻で、赤い顔をしながら、僕は気づかれない様に、ずっと本読んでうつむいていた。
周りに座った乗客は、汗臭さと親父臭で辟易したかもしれない。何はともあれ許してくださいねとここには書いておこう。
自転車持って新幹線へ

駅前で早着替え

長い待ち時間にはセルフタイマー写真とか
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標高0mからの富士山
この連休も豪快な休日を楽しむ事が出来た。日曜の朝、子供たちのサッカー大会のライン引きと設営の準備を手伝うと、大急ぎで自転車に跨り高山駅に向かう。
自転車を大きな輪行袋に詰め込んで、ザックを担いで高山本線名古屋行きの特急飛騨に乗り込んだ。少し名古屋で買い物をしてから、コダマに乗り継いで、夕方遅く新幹線新富士駅に到着した。
さくさくと自転車を組み立てて、まずは富士山の反対方向の海に向かう。田子の浦ではるか彼方の富士山を眺めてから、ひたすらの自転車漕ぎが始まった。
真っ暗になり富士宮に到着、温泉健康ランドを見つけて深夜2時までそこの仮眠室で休む。
2時から再度自転車を漕ぎ出して、尻の痛みと戦いながら苦闘6時間富士スカイラインの新5合目に到着した。そこから足回りを変え、歩いて富士山頂上を往復する。標高差3776mを何とか克服できた。
富士スカイラインのMTBかっとび自転車も、スリル満点だった。10回やれば1回は交通事故で大怪我するだろうなあと思いながら、一回も自転車ペダルを漕がず、新5号から富士宮まで降りる。
再び新富士駅まで戻り、自転車を分解すると汗臭い身体のまま新幹線に乗り込んだ。その後高山本線の乗継が悪く時間かかったりしたが、無事荷物が珍道中する事も無く、昨夜10時過ぎに高山に帰りつく。
危惧していた寝不足によるバテも何とか克服できたようで大丈夫だった。短い時間だったが、電車輪行による旅気分も味わえ、浮世離れした生涯忘れえぬ素敵な時間を過ごす事が出来たと思う。
富士スカイラインは長かった。顔は笑っていてもお尻は痛い

富士山頂上より、左側の雲の合間に少し海が見える
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自分勝手な45歳
この3連休の初日の土曜日は僕の45歳の誕生日だった。産まれたばかりの頃の事を覚えている訳ではないが、何だかんだと人生の半ばを過ぎ、45年間生きてきたのだなあと感慨深い。
馬齢をいたずらに重ねたとは思わない。おもえば山あり谷ありで、今ここで生きていられるのが不思議な出来事もあった。それでも健康に毎日きちんと生きていられるのは有難い事だと思う。
というわけで11日の夜はそれなりに家族がお祝いしてくれた。子供達はお父さんの誕生日よりも、バースデーケーキを食べれる事が一番楽しい事のようだが、そんな事は気にしない。
例年病棟の看護師さんらが僕の誕生パーティーという名の飲み会をこの時期開いてくれていたのだが、今年は話にも出なかった様だ。今時はそんな時代でないし、僕も含めて皆それぞれ忙しい。
特に僕はここのところ自分勝手な行動著しく、看護師さんも家族もちと呆れ果てている。その最たるものが来年春に予定している3ヶ月間の臨床業務からの休養撤退だろう(産婦人科は維持しますので念のため)。
来春の3ヶ月間は僕にとって、自主的に取った自分のためのSabbatical Leave(説明は省略)なのだ。
Sabbathというのは欧米の大学教授にある4年に1度の研究リフレッシュ長期休暇の事だが、働き者の多い日本にはもちろんそんな習慣なんて無い。そんな身勝手な人間を許容する事すら出来ないのが普通だ。それでも長年のお付き合いの病棟婦長さんからは、唯一小さな誕生日プレゼントを頂いたりする。人背に一寸先は闇で、これから先何が起こるか分かりませんが、今年もプレゼントどうも有り難うございました。
さて土曜日は朝から雨が降っていた。金曜の業務が忙しかったので、とても何処かに遊びに行く元気は出ない。なんだかんだと各種準備で半分休養しながら過ごした。
日曜日は次男の6年生最後のサッカー大会、サッカーの祭典があり、月曜の体育の日祝日は三男のサッカークラブチームの強化試合ウィズハート杯がある。
だけど僕は日曜の朝、大会のライン引きと会場設営だけ済ませると、自分を強化するためのトレーニング登山に出かけるつもりだ。家族や他の親さん等には申し訳ないが、またまた不義理をさせていただく。
そんなところも、徹底的に自分勝手な45歳だと思う。 |
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身体は筋肉に包まれた袋ですから
今日の午後にはややタフな手術が3件入っている。途中で疲れきらない様に体調整えて一日を乗り切らないといけない。まずは幸運にも夜中に起こされずに朝を迎える事でホッとする。これで寝不足は無いからまず大丈夫だろう。
午前中の外来もそれほどは混まないで助かった(これも計画的に混まない様に仕組んでおいたからですが)。
昼休みも十分に取れて手術室には入れたから、まあまあスムーズに3件の手術は済んだ。それでも手術が終わって病棟に戻る時には、かなりくたびれて腰やら背中やらがギシギシと痛い。いつまでこんな業務を続けていられるか、全くもって先行き不安だ。
さてさて婦人科の手術は大きく、膣式と腹式に分けて考える場合が多い。
要するに膣から手術するか、腹から手術するかの違いだ。同じ腹腔内の手術をするのなら腹式手術の方が、視野が大きく得られる分、たいてい容易だ。
やろうと思えば膣から卵巣を取ったり、盲腸を取ったりする事も可能ではあるのだが、狭い視野のなかでのボトルシップ手術になるため、格段にその操作は難しいし、その分術者のストレスも大きい。
それに膣からの手術だと、どうしても術者は狭い穴の中を覗き込む姿勢を取らざる終えない。この姿勢はとても腰や背中に応える。
膣式手術の方が、腹に傷も残らないし、患者さんへの浸襲度も低いのだが、その代わり術者への浸襲度は高い手術となる。
そのため、ただでさえ末期的にマンパワーが不足している産婦人科の世界では、膣式手術はどちらかというと下火傾向にあると言えるだろう。
さてさてそういった中でも、膣式手術がやりやすい患者さんというのが見える。具体的には身体が大きくて、膣が大きく、何より骨盤底の筋肉が緩み、膣から膣粘膜や子宮が脱出しやすい方だ。そういう方は膣からでも比較的簡単に子宮や卵巣の操作が出来る。
だから子宮膀胱脱といった、骨盤底の筋肉が緩んで起きる疾患については、膣から行う方が合理的だ。
さてさて最近巷では、骨盤ダイエットなるものが流行してるらしい。ネットで見たらビリーズブートキャンプをしのぎ、骨盤ダイエットは今年のダイエットのムーブメントだという。
確かに皮下脂肪が少ないから、美しいメリハリのあるくびれた身体が出来る訳ではない。ウェストがくびれた身体を作るのは筋肉だ。
下手に食事制限で痩せれば、筋肉量が減るのでかえって下腹がぽっこり出る事がある。これは女性の下半身が仕事場の僕は良く知っている。だから美しい姿勢を作るためには、確かに骨盤ダイエットは合理的だと思う。体重を減らすだけでは美しいボディラインは出来ない。余裕のある現代女性は欲張り??なのだ。
ただ僕は別にもう美しいボディラインは要らない。ただ背中の筋肉の痛みを取る為には、藁にもすがりたい気持ちだ。
謳い文句では骨盤ダイエットは腰痛にも効くらしい。しかし骨盤ダイエットで鍛えた身体の方の膣式手術をする事は、婦人科医の腰痛には良くないだろうなあ、何て事を少し思ってみたりもする。 |
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グルメに自転車に仕事
昨日の夜は名古屋からやってきた高額所得者?の友人が、美人秘書同伴で高山まで来てくれていた。
仕事を大急ぎで何とか片付けて、ケッタマシーンとも言うMTBに跨りホテルアソシアに向かう。
夜は彼等(彼女等)と、おそらく高山で一番と思われる和食料理店で、高級料理に舌鼓を打った。普段さんざん働いているのだから、たまにグルメで贅沢するのも悪く無いだろう。
高級飛騨牛やマツタケは当然の事、カラスミや海鼠腸、その他各種高級食材を存分に味わった。本来なら腹八分目で節制した食生活を営むべき立場であるのだが、たまにボラの卵母細胞(職業上そんな事が頭によぎったりする)とか上質アミノ酸を摂取するのも、美容?と健康に悪くはない。そんな言い訳を考えつつ、ついつい食べすぎ、飲みすぎてしまった。
ところが宴もたけなわの時間に、また分娩室からの呼び出し電話が入った。仕方が無いので再び酔った頭でMTBに跨り、アソシアから直行で分娩室に向かう。赤くなった顔は何時もの様にマスクで隠して、さくさくと仕事はこなした。
ベンツに秘書同伴でやってきた友人等は、夜の闇の中仕事で呼ばれ、ちと悲しそうに自転車に跨る僕の姿を見て目を丸くしていた。貧乏?暇無しという言葉を思い出し、少し恥ずかしく思ったりする。学生の時は似たような立場だったのに、どうしてこんなに違いが出来たのだろうかとも思う。
僕は決して貧乏で無いし、それほどベンツに乗りたい訳でもないが、こういう時に、秘書さん運転のベンツで仕事に向かう立場の人間もなりたいものだと、せっせと自転車漕ぎながら少し心によぎるものはあったりする。
1年分のマツタケもいただきました
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医者の証明書って
今朝も分娩室から「胎児心拍が落ちる」というやや不穏な連絡で始まった。帝王切開の準備を指示して、2度寝に挑戦するが、やはり何時緊急手術で起こされるかと思うと、眠りはどうしても浅くなった。他に進行流産の入院もあり、今日も慌しく落ち着かない朝の始まり方となる。
水曜日は比較的業務を軽くするよう心がけている日だが、それでも分娩、流産処置、書類の束、集団検診、ドック検診、看護学校講義、人工授精等々、僕を待ち受けている仕事はひっきりなしだ。「何処まで続くぬかるみぞ」と思いながら、手を抜けるところは抜いて、ただひたすらに仕事に追われて過ごす。
さて水曜日の僕の業務に、各種証明書類の記入というのがある。その約半分は生命保険の証明書だ。細かい部分は全て事務さんに任せて、汚い字で短い時間に多くの枚数をこなす。
その他にも、出産証明、妊娠証明、母性健康管理指導連絡カード(要するに仕事を休むためにお役所が作った診断書)、一般病気診断書、傷病手当請求診断書など色々な証明書を書く。たまに生活保護申請のための診断書や、介護保険の主治医意見書といのを書く事もある。
大抵は言われるがままに、右から左に流れ作業で証明書を書くのだが、中に毎回2〜3通くらいはどう書こうか困る診断証明書が含まれているものだ。
時々、妊娠経過中に調子が悪く1週間入院し、その後2ヶ月間仕事を休むという妊婦さんがみえる。本当に休業が必要ならそれは仕方が無い事だろう。しかし実際に仕事を休む必要があるかどうかクエスチョンマークの場合も少なくは無い。
一回も外来受診が無く、2ヶ月間仕事休んだから傷病手当診断書を書いてと言われても、どうしようかと思う事は多いのだ。
しかし腹痛や嘔気といったものは主観的なものだ。それがどの程度のものなのか他者には分からない。本人が腹が張って痛いといえば切迫流早産、気持ち悪ければ悪阻の診断書を、医師は書かざる終えないのが現実だったりする。
更に生活保護の申請や介護保険の主治医意見書というのも困る。
僕は婦人科医で、基本的には女性の骨盤の中が仕事場だ。いわゆるホームドクターというのとは異なる。その人の置かれた社会的境遇や、家庭での生活レベルなどはさっぱり分からない。
ましてや僕の外来は秒単位なので、多くの患者さんが僕の前に座っているのは1分に満たない。もちろん患者さんの顔と名前を、僕はいちいちとても覚えていられない。
僕の前に数秒座っただけで、その人の生活レベルを当てるのは、それは超能力者でないと不可能だ。にもかかわらず生活保護の証明書や介護保険の意見書というのは、中味がかなり厳密にできていて、内容も複雑だ。
そりゃそうだろう、医師がどう書くかで、その人の受けられる行政サービスの中味はがらりと変わってしまう。
ここは僕にこの手の証明書を書けという方が無理あるんじゃないのと、声高に言いたかったりする。同じ病気でも、人により生活の質への影響は様々だ、婦人科的診察だけでは、この手の事は分かりようがないのだ。
そんなこんなで、今日も沢山の各種証明書類を書いた。命が関わる業務と異なるとはいえ、あまり訳分からない証明書を書かされるのも、それなりにストレスであったりもする。 |
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分娩の適齢期
今朝も分娩室からの電話で朝は始まる。寝不足になる時間帯ではなかったからましだが、分娩自体はやや時間がかかった。お陰で外来開始時刻は少し遅れ、朝一からカルテは山盛り、診察券はトランプの7並べ状態になっている。
という訳で今日火曜日は朝から一日中の秒単位外来診察が続く。これだけ多くの患妊婦さんや患者さん等と話をすると、今朝に何があったか思い出すのも大変だ。
さて話は変わり、女性に結婚適齢期という言葉はあるが、分娩適齢期という言葉は無い。しかし社会の健全な維持のために重要な事は、結婚適齢期という概念よりも分娩適齢期という概念の方が重要なのは明らかだと僕は思う。
今全世界的に、女性の社会進出、高学歴化が進むにつれ、結婚適齢期はどんどん上がる傾向だ。日本でも一昔前はクリスマスケーキとか言って、女性は24を過ぎて売れ残ると安くなるなどと揶揄されていたが、今はそんな事を言う人は殆どいない。
24歳以前で結婚すればむしろ早い方だ。結婚適齢期というのは、時代や社会でどうにでも変わる。
しかし分娩適齢期というのは、種に特有のもので、基本的には太古から人類女性にそれほど変化は無い。それでは具体的に人類の分娩適齢期というのは何時頃だろうか?それは初産に限って言えば10代だと僕は思う。
それは早すぎるんじゃないかと思われる方が多いかもしれないが、人類300万年の歴史の中で299万9900年位は、多くの女性は10代から妊娠を経験してきたはずだ。30代(時に40代)で初分娩を経験するようになったのは、人類の歴史の中でほんのこの50年くらいの事に過ぎない。抗生物質や吸収糸、帝王切開という方法の無い時代での分娩では、30代初産というのは非常に危険なものであったと考えられるのだ。
あまり世間ではおおっぴらにされてないが、分娩の時には膣や外陰は切れる。基本的に初産の場合100%どこかに裂傷ができると考えていて間違いない。
人間には自然治癒能力があるから、大抵の傷では放置しても死に至らず治癒するのだが、質の悪い傷の場合、ここで適切な止血が行われなければ妊婦さんは出血多量で死ぬだろうし、ばい菌が入れば感染症を起こして死ぬ(もちろん今は適切な糸や抗生剤があるので、こんな事は滅多に無いですが)。
しかしごくたまに初産でも傷が小さく済んだり、切れない事がある、それは10代の分娩の場合だ。
10代後半の女性というのは身体も柔らかいし、特別な適応力がある。皮膚も柔らかく柔軟性に富むので、傷もできずらい。
これはオリンピックで活躍する女性の年齢を考えれば直ぐ分かるだろう。体操やスケート、卓球等々様々な個人競技で、10代女性が今オリンピックで一番活躍している。
早くからきちんとトレーニングさえ積めば、オリンピックの女性金メダルは、その大部分が10代女性で占められるに違いない。
10代後半の女性というのは、初分娩に備えての特別なハイパフォーマンス状態であると、僕は思っている。
さてさて社会的には10代の分娩というのは、あまり世間から良い目で見られない傾向がある。10代というのはまだ社会的には発展途上で勉強しなければならない事は多い。またそのため育児の段階で経済的に成り立たない方が、10代女性には多い事は確かだ。しかし産科医の目から言えば、平均的な10代後半女性の分娩は、適切に経過すれば大抵一番安産な気がする。
生き物としての適齢期と、社会的適齢期とは明らかに異なる。世の中それぞれ色々な事情があるわけだが。そういう事もありますという事実を、今日は書いてみました。 |
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雨にも負けず、仕事にも負けず、そういう者に私もなりたい
昨日日曜日は代務の先生もいないし、天気も良くない。雨と共に分娩もポツポツと断続的に入り、僕としてはあまり嬉しくは無い週末だった。これが産婦人科医の宿命だと悟り、大人しく近場で雑用しながら過ごす。
ただ全く運動しないと身体が鈍るので、高山近郊の名も無い峠を幾つかMTBで走って憂さを晴らした。雨が降る中びしょびしょで丹生川のトヤ峠周辺と古川の神原峠周辺を攻める。
本当は天気の良い午前中に長距離ロングライドを計画していたが、朝から昼にかけてやや手こずる分娩が入り込んだので、どうにもなら無い。
思いっきりワークアウトできる週末にはならなかったが、何件か合った分娩はきちんとこなしたし、まあ良しとしよう。
今週は各種手術も多く、忙しくなる見込みだ。今日もやや特別な注意を要する非定形的な手術が入り、大変だったし早くも週初めから背中がギリギリと痛い。しかし何とか無事にこなすしか僕には道は無い。
雨にも負けず風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けず、丈夫な身体を持ち、欲は無く、決して怒らず、いつも静かに笑っている(以下省略)・・・。
こんな宮沢賢治の様な境涯になるのは、難しい事だろうが、せめてネットに愚痴を書き、それでサウイウモノニワタシモナリタイと、思う事としよう。
更に濡れた身体を温泉で温めれれば、もう言う事は無いのだ
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産婦人科のオプショナルサービス
代わりの医者のいない週末だ。それでも何処かで運動はしたい。やはり週に一回はワークアウトしておかないと、気持ちもリセットできないし、心肺機能も衰えていってしまう。代謝機能も悪くなっているから、食べてばかりだと、もうメタボ一直線の身体なのだ。
予報では今日の午後から天気は悪くなるらしい。そこで呼ばれてもすぐ戻れる近場の峠を、午前中だけでもMTBで攻めてみようかと考えた。しかし朝起きて病棟に電話かけてみると、やはり経過中の方の入院が入っている。
どうも午前中に分娩となりそうだ。仕方が無い出動は仕事が終わってからにしよう。代わりに家族の各種送り業務を済ませて今は分娩を待ちながら、この寝不足日記を書いている。
さて、産婦人科医療は他科と同様、基本的には保険診療からできている。分娩は全額自費診療だが、実質的にその代金は健康保険の出産一時金(平均38万円)とほぼ同金額だ。
安産でも難産でも、深夜でも日中でも分娩費はほとんど同額だから、かなりザルの金額なのだが、大体一律一分娩に付き40万円程度が、今現在病院に支払う分娩費の相場だろう。
さて妊婦さんの中にはこの金額でカバーされる以上のオプションサービスを求める方が時々みえる。
具体的には帝王切開時の卵管結札とか、臍帯血保存のための臍帯血採取とか、羊水採取、絨毛検査、各種ルチーン外ウィルス疾患スクリーニング等などだ。
この部分は、完全な保険外オプションで、100%自費が原則である。値段も医療機関が自由に決めて全く構わない。
やろうと思えばこの部分でべらぼうな?値段を請求できない事も無い。
とはいえ僕のところは、僕自身商売っ気が無くて、ほとんどこの手のオプションサービスを実費のみで行っている(その代わりに妊婦さんに勧めもしないですが)。だから久美愛では今の所、この手のオプションサービスはかなり?お得だ。
実はこの手のオプションにも流行り廃りがある。一時ダウン症の羊水検査が流行った時期もあったが、今はすっかり下火になった。理由は多分産婦人科医が忙しくなり、余分なオプション業務をする余裕がなくなったからだろう。
さてさて僕のところでも時々この手のオプションを求められる妊婦さんはみえる。求められるとついついサービス心が湧いてしまう性格で、皆一律に実費でやれる事は受け入れてきた。
しかし、少しでも元気な子供をとにかく産みたいという気持ちは誰しも共通だ。ここの所少しこの手のオプションを求められる方が増えている気はする。
今までは数が少なかったから、サービス実費でまあいいかとやってきたが、あまりその数が増えても困る。そうなるとサービスに値段をつけようかと少し思ったりする。今日もぶつぶつ日曜出勤しながら、そんな事をちと考えていたりもするのだ。 |
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男なら誰にもこだわりはあります
昨日も手術は無く、比較的楽な一日だった。午後7時からの飛騨山岳会100周年記念イベントの山岳映画上映会にも間に合い、高山市民文化会館までエベレストの映画を見に行く事も出来る。僕にはとってもリアルに身に迫る映像が続き、映画の中味に思わず引き込まれてしまった。
更にその後は朝日町に飲みに出かけて、美味しい居酒屋でちょっと一杯を楽しんだ。夜もきちんと朝まで起こされる事無く眠る事が出来た。
今日土曜日の朝は、深夜の内にやや手間のかかる分娩が入り、分娩室からの呼び出しで始まったが、分娩自体は順調に進んでくれた。寝不足感は無いから言う事は無い。その後は買い物や、地区の廃品回収や自転車整備、読書等の雑用で一日を過ごした。今週末は代務の先生のいない悲しい週末だが、それでも病院の近場でやれる事で、できるだけ楽しく気持ちをリフレッシュさせようと思う。
さてさて男には誰でも拘りがあると言う。僕にも当然それなりの拘りがある。昨夜行った居酒屋はお茶漬けの美味しい、お気に入り居酒屋だった。料理の種類は少ないが、美味しくて値段も安い。
僕はそこの居酒屋に行ったら、豆腐料理をつまみに冷やの久寿玉(夏はビールですが)を頼む様にしている。そして最後はもちろんお茶漬けだ。これはそれが一番その居酒屋に似合うスタイルだと思うからだ。それ以外はもうほとんど考えられない。
僕の考えでは居酒屋で焼きそばを食べるというのは邪道である。関東生まれの僕にとって焼きそばは、腹が減った時のおやつか、祭り屋台でしか食べないと決まっている。
そういえば、僕の朝食はトーストとミルクティーと昔から決まっている。これは僕が小学生の頃から40年近く続いている習慣だ。たとえ家族が朝からカレーライスやご飯に味噌汁を食べていようとも、僕はよほどの事が無い限りトーストを食べる。
当然食パンや紅茶の種類にも、それなりの拘りがある。紅茶ティーバックはダージリンかオレンジペコで(日東紅茶や普通のトワイニングでも可ではありますが)、牛乳は配達の飛騨牛乳が良い。
しかし新宅に引っ越してから、どういうわけか配達の飛騨牛乳が無くなった。更に悪い事に紅茶ティーバックを100パック入り安売りまとめ買いティーバックにされる。これは僕にはなかなか許せない。
最初の一ヶ月間は、せっかく買った100パックがなくなるまでと不味い紅茶に耐えたが、毎朝紅茶の味に少し苛つくのはやはりもう嫌だ。勿体無いが残りのティーバックは全て破棄して、新しいダージリン茶葉に替えてもらう。これも僕の大事な拘りなのだ。
だからどうという訳ではありませんが、回りは理解できなくても、誰にもそういう拘りはあります。そんな話を休日の今日はちょっと書いてみました。
晴れた休日は外でアイロンがけも拘りだったり??
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男と女の間には
昨夜も分娩は無く、きちんと睡眠時間は確保できた。帰宅も比較的早くできて、子供の公文やサッカーの送り迎えの合間に各種日用雑貨のお買い物もできる。
ただ買い物の最中にも何度も病院から問い合わせ電話はかかってきて、落ち着きは無い。ちょうどドラッグストアのレジで支払いしながら買い物袋有料化の話を聞いている最中にも、病院から問い合わせ電話がかかってきた。レジのおばちゃんや並んで待っている他のお客さんにも電話の会話を聞かれてしまい、何だかちょっとバツが悪い。
さて話は変わり、昨日の夜何時ものニュース番組を見ていたら、デートDVの話がその番組内の特集で出てきた。
交際中の男性に痛い目に遭わされた女性が切々とその辛い思い出を語っている。気の毒にも痛い目に遭った時の思い出がトラウマとなり、その後他の男性ともまともに付き合う事が出来なくなったと言う。
さてしかし男と女の間には、どうしても痛みを伴わなければ先に進めない時というのがある。それは女性における始めての性交渉の時だ。大抵女性の初性交渉の時には痛みが伴う。処女膜が破れれば傷も付くし出血もする。中には出血多量で病院にその後受診する必要が出てくる例もある。ただ当然誰も合意の上で処女膜を破る事を障害を負わせたとは考えない。当たり前だ。
こんな事を書いたらどんなものかと思うが、こういう特別な時には、男には非情な強引さが必要となるんじゃなかろうか??優しいだけでは、上手く処女膜を破れない。そういった例が、高齢結婚が増えた現代では(昔もあったでしょうが)かなり多いと僕は踏んでいる。
また、以前僕は男と女の間の出来事で、ちと想像を超えた膣壁円蓋部裂傷を起こした例を診たことがある。出血多量で救急に運び込まれてきて、その時は何とか縫合できたが、それは出血多量で死んじゃうんじゃないかと冷や汗モノだった。
縫合を無事済ませて止血してから、やっと話をした男女の方はとっても普通の紳士淑女?であった。それもまたそれなりに驚いたりする。
まあこんな話を書いていたらキリが無いから止めとくけど。要するに何が言いたいかというと、男と女の間には法では裁けない不思議な世界があるという事だ。
DVとSM(なお僕はその手の嗜好は全く無く、とってもノーマルな人ですから念のため)と通常性行為は、実は紙一重でかなり似ているんじゃないか。その差を法律で定義するのは難しいし、もしかしたら多少の無理があるかもしれない。
そしてそれを無理に法律で拘束しようとすると、ますます性行為が不自由となり、子供の産まれる数が減り、少子化が進むんじゃないか?
同じ行為でもそれを嬉しいと思い上手く行く人もいれば、苦痛と思い人生狂わす人もいる。
なんだかとっても変で不思議な世界が男と女の間には元々ある。それはそれで曖昧な暗闇にそっとしておいたほうが良い。なんかそんな妙?な感想を、僕は昨日のニュースで抱いたのでした。 |
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飛騨の貧血の話
昨日は月始めの書類多く、合計50人以上のドックや集団検診もあれば、更に分娩と看護学校講義が重なり、雑用ばかりだが慌しく落ち着き無い水曜日だった。とはいえ夜中に起こされる事無く、無事に朝まで眠れたので疲労感は少ない。それなりに気持ちリセットはできている。
今日の外来も混むには混んだが、手術は無く入院患者さんらは落ちついてくれている。
さて今日のお題ですが、通常妊婦健診をしていると、8割近くの妊婦さんは、30週の血液検査で貧血の値を示す事が分かっている。
原因は妊娠により循環血液量が増えるからだ。循環血液量が増えれば相対的に赤血球の密度が薄くなり貧血となる。これを妊婦貧血と言い、自然の摂理による生理的変化と言ってよいだろう。
ところがここで生理的変化だからとそのまま放置していたら、分娩時出血多量を起こした場合痛い目に遭う。妊婦さんの貧血はできるだけ分娩までに鉄剤で正常範囲に戻しておく事が、産科医療の原則だ。
ましてや飛騨には備蓄血液が少ないので、都市部の分娩よりも出血多量にはより注意しておく必要があると言える。分娩時出血というのは、昔も今も母体死亡の最大原因の一つだ。それが自然だからといっても、分娩時出血多量で亡くなるのは誰もが嫌だろう。
さてさてだいたい30週で妊婦貧血をdetectしておけば、鉄剤の内服のみで分娩時には貧血が治っていると見込めるものだ。
ところが結構な率の妊婦さんは鉄剤飲むと吐気を催すので、胃薬併用でも鉄剤が飲めないという問題が起きる。
鉄剤と言うのは確かに飲みづらい薬だ。そういう場合はどうするかと言うと鉄剤の注射のためだけに病院に連日通院して貰う事となる。
ところが飛騨は広い。東京都と同じ広さだ。しかも冬は雪が降る。僕の所に通院してくる妊婦さんの中には、神岡とか旧宮川村とかとにかく1時間近く車に乗り続けないと病院に着かない方が大勢いる。
そういう方に連日の注射通院を指示するのは確かに気が引けるものだ。東京都で言えば奥多摩から新宿まで毎日鉄剤注射に通う様なものだろう。
毎日2時間も腹の大きい妊婦さんが車運転するのはどうかと思うし、環境にも優しくは無い。
雪が降れば列車で通えといっても、神岡にはもはや列車は走ってない。さてどうしようという事になる。
そういう場合は神岡の旧町立病院や、宮川村診療所などで鉄剤のみの注射をお願いする事となる。いちいち紹介状も書かないといけないし、なかなか医師も妊婦さんも面倒な事だ。
そして、そうこうする内にコンプライアンス不良の妊婦さんは、貧血のまま分娩に臨むという事になる。そこに運悪く出血多量となり、適合血液が間に合わなかったら、絶体絶命のピンチが生じる。
滅多に無い事ではあるが、これももうどうしようもない地域の事情と言えるだろう。そんな飛騨ならではの妊婦貧血事情について、今日はちょっと書いてみました。 |
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