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近江八幡市立総合医療センター、経営難で「PFI病院」見直しへ (1/2ページ)
自治体の財政負担を減らすため民間資本を活用して公共施設を建設、運営する「PFI方式」を病院では全国に先駆けて導入した滋賀県の近江八幡市立総合医療センターが経営難に陥り、同市はPFIの解除を含めた契約見直しについて年内にも方向性を示す方針を固めた。内閣府によると、PFIを導入したり、導入を決定したりしている自治体病院は全国で12施設あるが、解除されれば同センターが初の撤退となる。
医療センターは、旧市民病院を移転する形で、施設整備費約145億円で平成18年10月に開院。ゼネコン大手の大林組を代表とする特定目的会社(SPC)「PFI近江八幡」が建設、運営し、30年後に市に無償で譲渡する契約だった。
医療センターによると、当初計画では、新築効果を期待して医業収益を年間100億円と見込んだ。しかし入院患者が伸びず18年度は75億円、19年度は84億円にとどまり、実質赤字は8億5000万円に膨らんだ。
経営再建のため市が設置した検討委員会は当初計画を「経営上の試算は丼(どんぶり)勘定」と指摘。槙系院長も今年3月の論文で「医師数が確保されていない中では机上の数字。甘い計画のツケが押しつけられた」と発表した。
検討委では、このままでは市財政を圧迫し、23年度に市が財政再生団体に転落する恐れもあるとの見方も出ている。
市は再建策として、SPCに支払う建設費の金利総額99億円をなくすため、病院施設をSPCから一括で買い取ることを協議。SPCに委託している清掃や給食業務を、市が業者に直接委託し、PFIそのものを解除することも視野に入れている。