韓日環境賞:「ツキノワグマはアジアの象徴」(下)
日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長
-人間に害を与える熊を保護する理由は。
「非常に難しい質問だ。日本では熊が徐々に増えており、農作物への被害も大きくなっている。人間が殺されるケースも時々発生している。そのため日本政府は、2006年に野生の熊4800頭を処分することにした。日本では現在、“人間と熊は共生すべき”という主張に共感が得られていない。しかし熊にもやたら命を奪われない権利があるという点を忘れてはならない。熊を見つけたら射殺するというやり方も問題だ。人間がどうすれば被害を減らすことができるか。この点から最初に研究すべきだろう。例えば民家にやってくる熊を捕え、撃退用スプレーを吹き付けて恐怖感を植え付ければ、その熊は二度と民家にはやってこないという習性がある。熊を殺す前に、このようなさまざまな研究が必要だろう」
-熊は生態系の中でどのような存在であり、またどのような役割を果たしているのか。
「熊は(排泄物を通じて)木の種子やドングリの種などを遠くに繁殖させ、それを通じて自然の生態系が維持・存続されている。しかしこれは、ごく一部の機能的な側面に過ぎない。熊が生態系に存在するという事実だけでも、人間と自然は大きな恩恵を受けている。北海道の森や林がそのいい例だ。北海道のヒグマはツキノワグマの4倍の体重があり、体格もはるかに大きい。人間はこのヒグマを恐れて北海道の森や林に手をつけられない。そのため今も自然がよく保存されている。自然は熊にとってすばらしい生息地にもなるが、人間にとっても大きな恩恵を与える。熊の存在自体が自然にとってはプラスになっているのだ」
-今後の計画は。
「ツキノワグマはアジアの象徴的な動物の一つだ。そのため日本だけでなく、韓国や中国でも熊の保護活動を行っている。今後はロシアや台湾などにも活動の範囲を広げたい。アジア人として、今後も熊と共生して保護活動を行っていきたい」
■米田一彦氏
34年間にわたり野生のツキノワグマの生態研究と保護活動に携わる専門家。秋田県で野生の熊を担当する公務員として勤務した後、1992年に「日本ツキノワグマ研究所」を設立し、日本だけでなく韓国や中国などでも熊の保護活動を行っている。1997年11月には日本の熊研究者20数人と共に韓国を訪れ、韓国の研究者と共同で智異山の野生ツキノワグマの実態調査を行い、智異山に8頭のツキノワグマが生息している事実を確認。これをきっかけに智異山のツキノワグマを繁殖させるプロジェクトが本格的に開始された。
パク・ウンホ記者
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