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定性的リスク管理

2008年10月31日

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 企業のリスク管理には大きく二つのアプローチがある。定量的アプローチと定性的アプローチである。近年は定量化が流行している。実際定量化は出来るに越したことはないが、かなりの腕力が必要で課題も多い。

 例えば火災保険に入れば、保険料の支払い分だけ利益が減るが、収益は安定する。リスクヘッジの目的は、コストを払って収益の安定化を図ることだ。ところが、リスクヘッジがリスクを打ち消す保証はなく、一つのリスクを別のリスクに置き換えるに過ぎないことが多い。

 火災保険の例で言えば、保険事故が起こった時には保険会社が倒産していたとか、免責事由に該当して払ってもらえないとか、保険事故の認定に時間がかかってキャッシュフローが回らなくなるといった別のリスクがでてくる。つまり、定量的リスク管理は必要だが、相当の専門能力と時間と金がかかり、しかも途中でやめるわけにもいかないのである。

 一方、定性的リスク管理に成功すれば(その保証は全くないが)収益のぶれを引き下げたうえ、期待利益が上がるという大変結構な話となる。そんなうまい話があるのか、といわれそうだが、例えば「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ、セーフティー」という6Sの実践がそういうことである。

 物づくりの生産現場というのは、人身事故のような労災も発生する。このような事故を最小限にする努力というのが期せずしてリスク管理になるのである。日本の優良企業の多くは、生産現場でのこのような改善運動の徹底に成功した企業である。

 このような定性的リスク管理ができない限り、いかなるリスク管理技法も真に機能することはない。(ドラ)

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