秋の楽しみといえば紅葉。その美しさは森林の豊かな恵みを再認識させてくれる。津山の山々も色づき始めた。秋の深まりが待ち遠しい。
二〇〇四年、台風で岡山県は空前の倒木被害を受けた。津山市など県北中心に被災は約五千五百ヘクタール。復旧問題をテーマに被災地を取材して回った経験があるが、広大な山肌に倒木がへばりついた無残な風景は今も忘れられない。被災地に限らず森全体が元気を失って、紅葉など景観面にも大きな影響が残った。
だが、県の五カ年の復旧計画に従って倒木撤去と植林が進み、九割方は復旧しているという。倒れた多くが針葉樹林だったというので、落葉樹と針葉樹の混交林が主体になるそうだ。まだ若い木ばかりだから新緑や紅葉が楽しめるのは先になるが、成長するにつれ、四季折々に変化に富んだ美しい風景を見せてくれることだろう。
被災地以外の森林も元気を取り戻してきたようだ。関連産業の状況も〇四年ごろと比べると国産材の需要が高まるなど好転の兆し。さらに洞爺湖サミットなどを通じ、温暖化防止など環境面やエネルギー問題の視点から森林に対する社会の関心、認識は深まっている。
わが津山支社エリアでも最近、真庭市に続き津山市も農林水産省から「バイオマスタウン構想」認定▽新庄村が国土緑化推進機構から県内初の「森林セラピー基地」認定―といった、山や地域が元気になるような明るいニュースが続いている。
県立森林公園、奥津渓、蒜山、神庭の滝…。都会の方、ぜひ美しい県北の秋を満喫してください。
(津山支社・井谷進)