成年後見制度：司法書士が無断借用　寝たきり女性の口座から、制度を悪用　／福井

　◇２９５万円
　福井市の司法書士が成年後見制度を悪用し、今年８月に死亡した鯖江市の女性（当時８４歳）の預金口座から無断で２９５万円を引き出していたことが２９日、わかった。県司法書士会の調査に、司法書士は事実関係を認め、謝罪したという。
　福井市内で会見した同会の中川国基副会長によると、司法書士は０３年１２月、福井家裁から法定後見人に選任され、寝たきりだった女性の預金通帳と印鑑を管理していた。女性の死後、親族が通帳を確認したところ、０７年８月に小切手の支払い名目で２９５万円が支出されていることが判明。その後今年１月までに２回に分けて入金、全額返却されていた。
　さらに親族が今月中旬、女性の財産目録を調べると、司法書士は親族の名を使って２９５万円の小切手を切っていた。親族には「別の相続財産管理案件で、国庫納入期限が迫り、一時借用した」との謝罪文が届いており、刑事告訴はしない意向という。
　中川副会長は「このようなことになり申し訳ない」と陳謝。「（本人は）被後見人の財産を流用したことに、十分な反省の意を表している」と述べたが、処分を検討していることを明らかにした。【大久保陽一】

１０月３０日朝刊