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【記者ブログ】コメント欄がいっぱいなので、ここでまとめてお返事 福島香織 (3/5ページ)
■もし、読者が権力者の素顔、虚をつかれたときに思わずでる本音などをみたい、知りたいと願っているとしたら、それはメディアとして記者として真っ当な仕事のしかただと思う。もし読者、そんな意地悪な質問をして、権力者様をこまらせるな、権力者様はわれわれのために働いてくださってお忙しいんだバカヤロー、と思うなら、読者を味方にした権力者の勝ち、新聞は権力者におもねるしかない。
■ちなみに、福島がナイーブな質問、というのですぐ連想するのは、やっぱり江沢民・前国家主席に青筋をたてさせた香港記者の質問だろう。
■2000年10月、当時の中国国家主席の江沢民氏が北京で開いた記者会見で、香港記者から、「北京が支持したから、(来年任期が切れる)香港特別行政区の董建華行政長官の続投は当然ではないか?」との質問を受け、江沢民氏が「ユア トゥー シンプル、サムタイムズ ナイーブ」と青筋たてて怒ったのだ。この質問は、はっきりいって自明の理なので、わざわざ質問するようなことではない。幼稚というなら、そのとおり。もし江沢民氏が「香港の行政長官は選挙によって選ばれている」とふつうに切り返せば、ニュースにもならなかった。しかしキレた江沢民氏は「香港記者が他国の記者より勝てるのはかけっこくらい」とか香港記者のレベルをこきおろす発言を延々つづけた。このニュースが香港でトップニュースになったどころか、世界中のメディアで取りあげられたことはご存じであろう。今も江沢民的ナイーブという言葉が、いろんな場面でメディアで使われるくらいである。
■江沢民様はお忙しいんだ、香港記者のあほな質問に怒って当然だ、という論調は国内でも少なかった。なぜ?つまり江沢民氏が国民の支持を得ていなかったということである。そして、今回、麻生首相の夜会合のニュースを報じたマスコミ、記者にこれほどご批判が集まったのは、支持率が下がっているといわれている麻生首相は実はコアなファンが大勢いて、国民に人気のある宰相でるということに証明にはなろう。
■マスコミをマスゴミと呼ばれる方へ。
■読者が、そのマスコミを否定、批判、論評するのはかまわない。というか当然の権利である。反対であれば、新聞を買わなければいいし、読者には不買運動をネットでよびかける自由もあろう。匿名読者が記者個人の名前や顔をさらして批判するのも、うーん、ありかもしれない。記者とはそういうことを甘んじて受けねばならない職業なのかもしれない。第3の権力だからね。まあ、私は同業者をかばうとかそういう問題ではなくて、誹謗中傷を受けている個人を擁護したいだけだったが。
■では、記者という、権力者に直接相対する権利を与えられた人間は、どのような質問をするのが理想的か。それは読者の聞きたいことを聞くのが理想的だ。私は北海道新聞読者が、夜会合について質問して欲しいと思ったのかもしれない、と理解している。質問が野党に利用されている、政権を悪意をもって傷つける質問だ、と怒るのは、それはイザ読者が麻生内閣支持者の立場から見ているからであって、北海道新聞読者には民主党支持者が多いのかもしれない。その読者にあわせた質問を記者としてすることを、どうして私が個人として批判できよう。産経新聞がそのスタンスの違いから、北海道新聞を批判するのはかまわないとしても。
■産経が劣化している、という方へ。
■何が正しい、正しくないという基準、何が国益に合致しているかしていないか、といった基準の多くはスタンスの問題であり見方の問題であることが多いから、私は自分の原稿が直されてもいいし、産経の主張が自分の意見とずれていても、まあ、こういう見方もあるわな、と社の論調に会わせた記事を書く。おおむね納得しているけれど。ただ、ブログは、記者の個人の意見を書いてよい、と社から許可を得ている。産経新聞社は記者個人の言論の自由を認めるというスタンスなのである。それゆえ、ボツ原稿もこのブログで収容できる。というわけで、私がブログで書いていることは私のスタンスでの意見で感覚であり、産経の許可を得ているが、産経を代表する意見ではない。だから、このブログで書いていることが気に入らないからといって、産経が劣化しているとは思わないでほしい。 まず、これがひとつ。