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「破綻懸念先」の酒店が破産、日銀松江支店の内部資料流出で

2008.10.30 11:32

 日本銀行松江支店(松江市)が作成した金融機関の決算見込み資料などが、ファイル交換ソフト「ウィニー」を介してインターネット上に流出した問題で、実名で「破綻(はたん)懸念先」にランク付けされた松江市内の酒店が「風評被害で資金繰りが悪化した」として破産したことが30日、わかった。酒店と日銀は補償交渉を進めているが、その最中での破産で、酒店の経営者は「(資料の流出で)とことん追いつめられた」と憤っている。

 関係者によると、酒店は今月10日、負債総額約1億5000万円で松江地裁に破産を申し立てた。同地裁は同16日に破産管財人を決定し、手続きを開始した。

 資料流出で信用を失った酒店は、卸業者から支払期限の短縮や取引継続の保証金計3000万円を求められるなど、資金繰りが悪化し、経営継続を断念したという。

 酒店の経営者は「年金しかない。不安だらけだ。(交渉がまとまらなければ)訴訟もありえる」と話している。

 日銀松江支店は「内部資料流出では改めて深くおわび申し上げます。個別事案にはコメントを差し控えたい」としている。

 内部資料は、男性職員が自宅のパソコンで作業中に、ウイルスに感染しインターネット上に流れた。今年3月下旬に流出が発覚。職員は4月に停職1カ月の処分を受け、自主退職している。

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