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ダライ・ラマ特使と中国、第3回対話へ (1/2ページ)
【北京=矢板明夫】チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の特使が30日に北京に到着、中国側とチベット問題をめぐり、約5日間にわたり直接対話を実施する。香港紙「明報」などが伝えた。今春のチベット騒乱以後3回目となる対話だが、中国側は一貫して強硬姿勢を崩していない。中国の姿勢に失望したダライ・ラマは最近、対話を打ち切る可能性に言及した。今回の対話の結果によっては、ダライ・ラマ側は対中姿勢を硬化させ、チベット問題はさらに複雑化するかもしれない。
チベット騒乱後、双方が最初に接触したのは5月4日だった。共産党中央統一戦線工作部の朱維群副部長と、ダライ・ラマの特使、ロディ・ギャリ氏が広東省深●(=土へんに川)で会談。中国筋などによると、この対話で中国側は「祖国の分裂活動」「暴力行為」「北京五輪への妨害活動」の中止を求めた。ダライ・ラマ側はこれらの活動にかかわったことを否定したうえで了承。その一方で「チベットの高度の自治」を求めた。これに対して中国側は「チベットではすでに高度の自治が実現している」として拒否した。
この対話は、中国が欧米諸国による「人権弾圧」批判をかわす狙いで実施したものであり、中国側には当初からダライ・ラマ側に歩み寄る考えはなかったとみられる。ダライ・ラマ側が求める「人民解放軍の撤退」「漢族移民の削減」「チベット仏教の尊重」などは、多くの少数民族を抱え、共産党一党独裁体制を維持したい中国にとって、いずれも受け入れられない条件だ。