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ウガンダ:カラモジャ地方における栄養失調

2008年10月30日掲載

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ウガンダ北東部のカラモジャ地方では栄養失調は慢性的なものである。しかしこの地方は今年、ここ5年間で最悪の干ばつに見舞われており、人道的危機に直面している。この2年間、異常に激しい降雨をともなった干ばつが繰り返し発生している。市場に出回っている食糧の価格は手が届かないほどに高騰している。昨年は降雨が足りず、今年は降雨が遅れたためにピーナッツとソルガムの植え付けが遅く、また不十分なものとなった。そのために失われる家畜の数も増えた。

カラモジャ地方は人口約100万人、生活を家畜に頼る人の多い地域で、家畜強奪に関連した紛争によってよく知られている。牧畜・遊牧の生活形態と情勢不安のために、人びとが数少ない医療施設へと足を運ぶことは困難である。カラモジャ地方の人道的危機は、食糧不安の程度の高さと急性栄養失調率の高さが特徴的である。

こうした状況を受けて国境なき医師団(MSF)は、最も栄養失調の影響が強いモロト県とナカピリピリティ県において、5才未満の子どもたちを対象に、栄養治療プログラムを開始した。ウガンダにおけるMSFの活動責任者であるコッジョ・エドは説明する。「子どもたちを支援し治療するのに最も良い方法は、村々をまわって栄養失調にかかった子どもを捜し出し、同時に子どもたちが最悪の時期を乗り切れるように2週間分の食糧の配給をおこなうことです。最悪の事態はこれから来るのではないかと危惧しています。」これが、患者に可能な限り近づいて治療機会を提供し、カラモジャ地方で遊牧生活を営んでいる人びとの中でも最も弱い立場にある層に対して手を伸べるのに最も良い方法である。

この栄養治療活動は2008年6月に始まり、当初は9月までの予定であった。これまでに約2万4千人の子どもが検診を受け、うち2300人が重度栄養失調にかかっていたという状況を受け、2009年も活動を続ける見通しとなった。

このプログラムを担当しているケニア人看護師ジョージ・ムバルトは、毎回の移動診療の流れを次のように説明している。「母親たちは子どもたちと一緒にきて待合エリアに座ります。ここで栄養と人の衛生とについて講義を受けるのです。」6ヵ月から5才までの子どもたちはここで「上腕周囲径測定帯(MUAC)」によるスクリーニングを受ける。「上腕の太さが11cmから13.5cmと測定された子どもは、体重と身長を測定します。11cm未満もしくは浮腫(水分がたまったことによるむくみ)のある子どもは即座に重度栄養失調にかかっているものとして入院させています。」

新たに入院した子どもは皆、感染症や下痢といった他の症状についてもスクリーニングを受け、マラリアの検査を受ける。地域によっては、受け入れる子どもたちの6~9割がマラリアにかかっている。2人の看護師が問診を行い、子どもたちを頭からつま先まで診て合併症がないかを確認する。感染症や免疫低下の兆候を探し出すのである。子どもたちは貧血の予防に葉酸とビタミンAを受け取る。合併症があれば抗生物質やその他の薬も受け取る。

重度の栄養失調にかかってはいるが合併症のない子どもはその場で治療を受ける。重い病気にかかっている、あるいは食欲のない子どもは、県内に2つある拠点病院の一つでマタニーにある聖キジト病院へと移送される。ここでMSFは、この地方で唯一の入院可能な栄養治療センターを支援している。センターに入院した子どもたちは、容態が安定したら退院し、自宅に近くで行われている移動診療所に通い経過観察を受ける。

慢性的な栄養失調によって荒廃しているカラモジャ地方では、食糧を買えない家族も多い。栄養のバランスがとれた食品を手に入れるどころではなく、必須栄養素を欠いている穀物の粥で生き延びなければならない。このため、MSFは栄養失調児のニーズに合った「そのまま食べられる栄養治療食(RUF)」で治療するのである。

「治療にはRUFを利用しています。体重8kg未満の子どもたちには2袋、8kg以上の子どもたちには3袋です。」とジョージ・ムバルトは説明する。「衛生状態をよくし、マラリアを予防するために石けんと蚊帳が配られます。RUFの備蓄を母親に渡して10日後にまた来てくれるように頼みます。問題はあまりなく、むしろよい方向に向かっています。子どもたちの大部分はRUFを好んで食べ、体重も増えてきています。場所にもよりますが、一日大体60~70人の患者を診ます。」

チームは地域の医療従事者に、家族訪問によって栄養失調児を探し出すことを奨励している。「これまでのところ、母親たちは安定して定期的に通院しており、だいたいの診療所において来院率は80~90%です。しかし、そのうち一人か二人については規定の回数の半分程度しか来ていません。ですので、そういう場合はこちらから出向く必要があります。」

栄養失調の影響を最も強く受けている地域における課題は、栄養失調に陥った患者を治療するだけでなく、まず全ての子どもたちが栄養価の高い食糧を得られるようにすることで、彼らが栄養失調の最終段階に陥らないよう予防することであると、MSFは信じている。

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