八戸市立市民病院での暫定運航が決まったドクターヘリのヘリポート建設をめぐり、県と八戸市で折半することになっていた工事費の負担額が両者で大幅に異なる異例の事態に陥っていることが29日、明らかになった。県と市が個別に工事費の見積額を算定したため、県の負担額が市より約2545万円低い結果となった。市はやむなく、県が負担すると見込んだ額も盛り込んだ補正予算案を31日の市議会臨時会に提出することになった。【喜浦遊】
ヘリポートは市民病院の南側に建設予定で、ヘリの発着場のほか、格納庫や燃料貯蔵所などを作る。来年3月の完成予定で、同月中に運航を開始したいとしている。
建設費は、県と市が半額ずつ負担することで合意していた。しかし、県が費用を6200万円と算定。半額の3100万円を市に補助する補正予算案を県議会9月定例会で成立させた。
一方、市は県の予算成立後の10月上旬、1億1290万円がかかると積算。それぞれの負担額は5645万円だとした。
両者の見積もりの差額約5000万円について市は、「県は簡素な建物を想定しており、耐震性などが不十分。市の見積もりは過大ではない」と主張。県に予算の見直しを求めることにしている。一方、県は「議決を経たものを見直すのは難しい。必要な機能を果たすためには十分な設計で、必要以上の負担は市がすべきだ」と反発。議論は平行線のままだ。
市は年度内の運航開始に向けて年内に着工したい考えで、市民病院は「救える命を助けるため、これ以上整備が遅れるのは避けたい。市は、着工後でも減額補正予算は組める」と話し、県に検討を求めていく姿勢を示している。県は「31日に市議会で議決してもらい、一日も早く運航したい」としている。
毎日新聞 2008年10月30日 地方版