県赤十字血液センター(長野市)で、赤血球に含まれるヘモグロビンの値が基準を満たしていない女性から採血して製品化し、埼玉県内の医療機関の小児科で輸血に使われていたことが分かった。29日の厚生労働省血液事業部会運営委員会で、日本赤十字社(東京都港区)が報告した。女性は採血時にふらつきなどの症状を訴えたが、すぐに回復し、輸血を受けた乳児も別条はなかったという。
日赤経営企画課によると、女性は8月31日、県赤十字血液センターで献血の事前検査を受けたが、ヘモグロビン値が0・1リットル当たり11・5グラムで基準値(同12・0グラム以上)を満たしていなかった。女性看護師が、血しょう成分だけを抽出して献血する際の基準(同11・5グラム以上)と混同、0・2リットルを採血したという。
センター職員が誤りに気付いて指摘したが、看護師は女性のヘモグロビン値を同12・5グラムと書き換えた。女性の血液は血液製剤を製造する埼玉県赤十字血液センターに送られ、製品は9月5日に同県内の医療機関に納入され、乳児に輸血された。看護師は「医師に『血液の品質には問題ない』と言われ、献血を無駄にしたくないと思って書き換えた」などと話しているという。
毎日新聞の取材に、日赤は「医師が書き換えを指示したわけではない。再発防止に努めたい」と述べた。【藤原章博】
毎日新聞 2008年10月30日 地方版