健康注意報:性交経験のある女子高生の約7人に1人がクラミジア (05/07/14)
「性器クラミジア感染症」は日本で最も多い性感染症ですが、最近では若者、特に10代女性の感染率の高さが、将来の不妊にもつながるとして問題視されています。
若者における性器クラミジア感染者数は、1990年代後半から急激に増加していることが、医療機関の受診データなどから明らかにされています。しかし、症状がないため医療機関を受診しない感染者もかなり存在するとみられており、特に高校生における感染のまん延が懸念されています。
これまで、日本の高校生における感染の実態は明らかではありませんでしたが、昨年12月の日本性感染症学会では、旭川医科大学健康科学講座助教授の今井博久氏らが、性交経験のある高校生の1割以上が無症状のままクラミジアに感染している──との、ショッキングな調査結果を報告しました。
この調査は、ある県内の13の高校に在籍する15〜18歳の男女生徒を対象に、性交経験の有無などを尋ね、尿の遺伝子検査でクラミジア感染を調べたものです。
中間報告によると、解析対象となった男子生徒1407人、女子生徒1769人のうち、性交経験があったのは男子495人(35.1%)、女子827人(46.7%)であり、性交経験者のうち女子の13.9%、男子の7.3%が無症状のままクラミジアに感染していることが分かりました(図)。
感染率は男女いずれにおいても16歳で最も高く、女子においては23.5%にも上りました。ただし今井氏によれば、「現時点ではまだ中間報告のため、調査対象の絶対数が少ない。今後、調査対象が増えるに伴い、割合などは変化する可能性がある」とのことです。
性器クラミジア感染症では、感染しても男性の約50%、女性の約75%は無症状です。そのためクラミジアに感染した人の大部分は、自分が感染したことに気づかず、医療機関も受診しないことが多いのが問題です。
性器クラミジア感染症だと早く診断がつけば、抗菌薬できちんと治療ができます。しかし、治療も受けずに放置しておくと、女性では、子宮頚管炎から骨盤炎を起こし、不妊や子宮外妊娠の原因となる可能性があります(関連記事:クラミジアの咽頭感染が増えています)。
また最近の研究によれば、クラミジアに感染している女性は、感染していない女性に比べて、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者との性交渉で、HIVに感染する確率が5倍になることも分かっています。
例年、性器クラミジア感染症の患者報告数は5月から10月にかけて増加する傾向があります。国立感染症研究所によれば、昨年1年間における性器クラミジア感染症の報告数は、7月が最も多く3560件でした。これは夏季に感染の機会が増えるためだと推測されています。
まもなく夏休みを迎えますが、高校生の性感染症対策は早急に検討すべき課題といえるでしょう。
〔参考文献〕
今井博久:SEXUALITY 2005;019:028‐031.
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