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デンソーからトヨタに出向し、うつ病 両社に賠償命令

2008年10月30日18時59分

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 出向先のトヨタ自動車での過労やパワハラなどが原因でうつ病になり、休職を余儀なくされたとして、大手自動車部品メーカー「デンソー」の男性社員(44)が、両社を相手に休業損害や慰謝料など計約1900万円の賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁(多見谷寿郎裁判長)は30日、請求を一部認め、両社に連帯して約150万円を支払うよう命じた。

 判決はまず、デンソーと出向先のトヨタのいずれも、原告に対して健康上の安全配慮義務があったと指摘した。

 さらに、うつ病の発症は、原告の出向後の勤務時間が大幅に増えたことや、業務内容が大きく変わって労働密度が高くなったことに加え、原告が精神的に弱かったことなどの複数の要因が重なったことが原因だと認定。男性がデンソーに戻ることを求めたのに、デンソー側は約束に反して出向を延長させたことから、うつ病を発症させたと認めた。

 そのうえで、判決は「負担を軽減しなければ、うつ病を発症・悪化し、休職するおそれを予見できたのに、両社は業務を軽減するなどの義務を怠り、さらにデンソーは出向延長に配慮するなどの義務を怠った」と結論づけた。

 一方、トヨタ社員の叱責(しっせき)については「表現は過酷でパワハラと評価されても仕方ないが、うつ病の直接の原因とは言い難い」と判断した。

 判決によると、男性は99年8月から1年間トヨタに出向し、エンジン開発を担当。この間にうつ病となり、00年8月から約2カ月間休職した。 男性は判決後の記者会見で「うつ病で苦しんでいる人の励みになると思う。私のように苦しんでいる人が一人でも少なくなるよう、会社には改善してほしい」と話した。

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