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普通養子と特別養子とは?

 養子縁組とは、親子関係のない者同士を、法律上親子関係があるものとすることです。養子縁組には、普通養子縁組(一般養子縁組)と特別養子縁組の2つがあります。
 普通養子縁組とは、養子が実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係をつくるという二重の親子関係となる縁組のことをいいます。この場合における養子を普通養子といいます。
 特別養子縁組とは、養子が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いにする縁組のことをいいます。この場合における養子を特別養子といいます。
 
普通養子縁組  
特別養子縁組  
 

民法上の養子

 普通養子、特別養子ともに縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得します(民法809)。したがって、養子は実子と同様に、養親の法定相続人となります。
 また、普通養子では、実親との親子関係が存続したままなので、実親・養親の双方に対し相続権を持ちます。
 

税法上の養子

 民法上の法定相続人の地位には影響がありませんが、税法上において制限を設けています。「法定相続人の数」に入れることのできる養子が、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までとなります。
 相続税の基礎控除額などを計算する計算上で、「法定相続人の数」にいれることができる養子の数には制限があります(相法15)。
 @被相続人に実子がいる場合
  「法定相続人の数」に含められる養子の数は1人までです。
 A被相続人に実子がいない場合
  「法定相続人の数」に含められる養子の数は2人までです。
 このような制限が設けられている理由は、無制限に養子の数を増やし、法定相続人の数を好きなだけ増やして「基礎控除額」などを大きくし、相続税を安くする、ということを防ぐためです。
 そのため、 この1人または2人の養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、この1人または2人であっても法定相続人の数に含めることはできません(相法63)。
 なお、次に当てはまる養子は、実子として取り扱われるので、人数制限から外れ、すべて法定相続人の数に含めることができます。
 (1) 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
 (2) 被相続人の配偶者の連れ子(実子)で被相続人の養子となっている人
 (3) 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人(相令3の2
 

法定相続人の数が関係する項目

 (1)相続税の基礎控除額の計算をするとき(詳しくは、基礎控除額のページまで)。
 (2)死亡保険金の非課税限度額の計算をするとき(詳しくは、死亡保険金のページまで)。
 (3)死亡退職金の非課税限度額の計算をするとき(詳しくは、死亡退職金のページまで)。
 (4)相続税の総額の計算をするとき(詳しくは、相続税の計算と金額のページまで)。
 

まとめ

 
普通養子 特別養子
実親 養子縁組の同意 養子が15歳未満のときは、代わって承諾(法定代理人)(民法797 同意が必要(民法817の6
親子関係 継続 終了(民法817の9
養親 年齢 成年であること(民法792 成年であり、一方が25歳以上であること(民法817の4
配偶者   配偶者がいる人(民法817の3
親子関係 養親子関係 実親子関係に準じた関係
年齢 年齢の制限なし 原則6歳未満であること(民法817の5
相続権 実子と同じ権利がある。また、養親だけでなく、実親の相続権もある。 実子と同じ権利がある
相続税 法定相続人の数」に入れることのできる養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで 実子として取り扱われ、人数制限から外れ、「法定相続人の数」に含めることができる
養子縁組の成立 当事者の合意と届出 家庭裁判所の審判を受けて成立
家庭裁判所 後見人が被後見人を養子とする(民法794)とき、あるいは未成年者を養子とする(民法798)とき、家庭裁判所の許可が必要 養親となる者の請求により、審判(民法817の2)。
縁組の必要性(実親が子供を適切に育てられないなど)や、6か月以上の監護した状況を考慮(民法817の8
離縁 縁組当事者の協議で、離縁が可能(民法811 特別な事情がある場合、家庭裁判所は離縁させることができる(民法817の10
 

   
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