2008-09-25
適当に書いてみる『ローゼンメイデン』(第一部)論
こんないい加減な論文など本来は許されないのですが、東浩紀スレッドで『ローゼンメイデン』が話題になっており、これが2chにおいて特権的な地位を得た作品であるというのも考慮して、これのどの辺が面白かったのか、ちょっと僕なりの感想を(2ch書けないし)。
僕はこの作品をかなり重要だと思っている。単純なレベルとして人形可愛いとかロリータかわいいとかそういうレベルもあるが、そしてそれはフィギュア萌えする人間の心理を反映しているとか、色々いえるが、「メタ・オタク」作品としてこれはかなり面白いのだ。
「オタク」的な心性を持つ人が「かわいい人形」を愛でる、しかも「マスター」と呼ぶ。こういう萌え萌えな設定や、無条件の愛を注ぐ姉という願望充足的な設定の裏で、結構エグく「学校に行けない」「対人恐怖」「他人の言葉」などがガンガン挿入される。そしてその「他人の言葉」はネットの文字のように描かれ、画面背景もコマをはみ出したりして、かなり「ネット的」な感じになっている。ネット、夢、漫画が重なって描かれ、「現実逃避していること」自体がかなりえぐくメタで描かれる。単純な願望充足ではない。そしてそれはネットに逃げ場を見出した「ひきこもり」的心性とかなり重なっているだろう。
僕がこの作品に一番感心したのは、人形同士が争いあい「アリスハート」(だっけ?)を奪い合うという設定のバトルロワイヤルを完全に放棄して作品を投げたところだ。完全に競争を降りている。降りた末に、『不思議の国のアリス』を模したウサギが、扉の向こうの「別の世界」へ誘って終わる。新シリーズは見ていないが、こういう、汚れて争いに満ちて悲惨な現実世界を放棄し、別のユートピアを求めるというようなある種ロマン主義的な心性が、ネットユーザーの欲望とうまく共振したのではないか。カリフォルニアイデオロギー的な感じで。(逃げた先のネットがどんな荒野であるかは我々が理解している通りである。ここはユートピアではなかった)
第二部はまだ読んでいないのだが、このテーマは『ベルセルク』第十四巻(のはず)のロストチルドレンの章と共鳴する。アル中の父親に殴られ、無力な母親を見、貧しい村から逃げ出せない少女が、空想のフェアリーの世界に行くが、そこは悪夢で、焼け落ちる。そして彼女は逃げ出そうとして、主人公である黒い騎士ガッツに「ここではない場所に連れて行って」と抱きつく。しかしガッツは言う。この自分が抱えている闇が見えるのかと。逃げ出してもそこは戦場だ。お前はお前の戦いをしろと。突き放す。そして彼女は小さな戦いをする覚悟を得て村に戻る。
両者とも、「空想」のロマン主義的な世界を肯定するところは同じで、それに対するメタ意識が炸裂しているのだが、汚く、乱暴で、泥にまみれて現実と戦う『ベルセルク』に対し、戦いのないやわらかく美しい世界を望む『ローゼンメイデン』の対比というのは面白いものである。『ゾンビローン』や『ローゼンメイデン』第二部の展開を楽しみに見たい。
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