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毎日新聞に勝訴!「植草一秀氏名誉回復訴訟」判決 傍聴報告

ひらのゆきこ2008/09/10
一連の名誉回復訴訟で植草氏は毎日新聞に勝訴しました。弁護団によりますとセクハラ癖が認定されたのは問題だが肝心な点はしっかり認められたということです。毎日は控訴ではなくまず植草さんに謝罪する事だと思います。
日本 裁判 NA_テーマ2

毎日新聞に勝訴!「植草一秀氏名誉回復訴訟」判決 傍聴報告 | <center>記者会見で判決の報告する弁護団</center>
記者会見で判決の報告する弁護団
 週刊誌に事実無根の記事を書かれ、名誉を毀損されたとして毎日新聞社を提訴している経済学者の植草一秀さんの「名誉回復訴訟」の判決言渡しが8日、東京地裁でありました。

 これまでの各社に対する「名誉回復訴訟」はいずれも植草さんの勝訴

 植草さんは、毎日新聞のほかにも4社(小学館、徳間書店、講談社、朝日放送)に対し、「名誉回復訴訟」を起こしています。これまで小学館、徳間書店、講談社については、すでに和解(実質植草さんの勝訴)や植草さんの勝訴が確定しています。裁判の審理の過程で明らかになったことは、警察関係者などからもたらされた情報を、記者は、事実確認をせず、勝手に自分の判断で正しいと思いこみ、記事を書いたということでした。

 問題は、これらの記事が刑事事件でまだ起訴されていない段階で書かれているということです。植草さんは一貫して無実を訴えています。本人のその声は黙殺され、一方の当事者ともいえる警察や検察からの情報を、なんの検証もなく伝えることは、大変危険なことです。深刻な人権侵害をもたらすと同時に、その後の起訴や裁判の判決にも重大な影響を及ぼす可能性があります。

 今回の「サンデー毎日に」掲載された記事も、手鏡事件のわずか12日後に発行されており、この記事が手鏡事件に与えた影響は決して少なくないものがあります。事実に基づかない無責任な報道によって、無辜の市民が犯罪者に仕立て上げられる危険性があることを、この裁判も含め、一連の「名誉回復訴訟」の裁判は問いかけています。

判決言渡し

 毎日新聞に対する訴えは、同社が発行している「サンデー毎日」(04年5月2日号)に載った植草さんについて書かれた記事の中にある「セクハラ癖があるのは業界では有名な話」「テレビに出始めたころ同じような逮捕歴があった」などとする記述です。いずれも植草さんは、事実無根であると主張しています。

 この裁判については、証人尋問はなく、書面のみのやり取りに終始し、今日の判決を迎えました。大学のサークルの人たちが裁判の傍聴に来ていたので、傍聴席は常にも増して賑やかとなりました。司法記者クラブの記者やメディア関係者の方も傍聴に来ていました。

 午後1時5分過ぎ、大段亨裁判長と2名の裁判官(本多智子裁判官、重田純子裁判官)が入廷しました。同10分、書記が開廷を告げ、大段裁判長が判決を言渡しました。

主文

 1 被告は、原告に対し、金33万円及びこれに対する平成16年5月2日から支払済   まで年5分の割合による金員を支払え。 
 2 原告のその余の請求は棄却する。
 3 訴訟費用は、これを20分し、その1を被告の負担とし、その余は原告の負担とす   る。
 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

 判決言渡しは、いつものようにわずか50秒にも満たない短いものでした。今回も植草さんが勝訴しましたが、これまでの賠償額に対し、あまりにその額が少ないので、弁護団の見解を聞きたいと思い、記者会見が開かれるのかどうか尋ねると、やるということだったので、司法記者クラブに行って参加申し込みをしました。

記者会見

 午後3時より、司法記者クラブで弁護団による記者会見がありました。弁護団は、今回の判決について、次のように述べました。

 「被告に対し、33万円の支払いを命じる判決が言い渡されました。以前あった事件1件のみで『セクハラ癖』があったと認定したことについての問題がありますが、『業界で有名な話』という記述は真実ではないということが認定されており、肝心なポイントはしっかり認定されました。

 原告弁護団としては、慰謝料額についてはさらに増額されてもよかったのではないか、また、「セクハラ癖」との言葉の理解については疑問がある、と考えますが、何らの裏付けもなく掲載されたメディアの無責任な記事に対して、明確に損害賠償責任を認めた点については、高く評価できるものと考えます」

 次に、質疑応答がありました。

質問:朝日放送に対する訴訟はいつ終結するのか?
答え:ほかの4つの裁判は同じ日に提訴したが、朝日放送は半年ほどあとに提訴したので   最後になった。場合によっては、10月2日に和解成立の可能性がある。
質問:裁判所が認定したセクハラ癖について、植草さんの見解は?
答え:判決が出たあと、短い時間だが植草さんと電話で話した。公になっている事件以外   、認定されている事件はないので、セクハラ癖の認定については、裁判所と我々の   判断は異なる。解釈の問題だと考えている。我々が主張した「セクハラ癖は業界で   有名」だけが違法だと認定された。裁判所の「セクハラ癖」の解釈については不満   がある。
質問:植草さんはいまなにをしているのか。
答え:経済の分析などをする会社を経営している。
質問:経済評論家とか、エコノミストとしての活動はしているのか。
答え:経済アナリストして、インターネットなどで情報を発信しているようだ。
質問:捜査関係者の話として、(鞄の中に)たくさんの盗撮画像が入っていた、などと書   かれているが、このような情報はどこからもたらされたのか。また、それが事実で   あるかどうか、裁判で明らかになったのか。
答え:記事の中のポイントは2カ所のみ。それ以外は立証の対象にならないので、審理    はしていない。刑事事件について規制をするのは難しいので、なにも行っていない   。
質問:判決は、33万円の支払いを命じたが、ほかは棄却すると言っていた。賠償金の請   求以外、ほかになにか請求したのか。
答え:こちらが請求したのは1100万円。賠償額は33万円なので、差額は棄却すると   いうこと。違和感はあるが、肝心な部分は認められている。

 東京地裁の判決に対する植草さんのコメントと、毎日新聞社のコメントは次の通りです。

植草一秀さんのコメント

 今回の判決は、賠償の金額と、犯罪とされた事実のみをもって「セクハラ癖」が存在したと認定した点に不満が残りますが、これ以外に「セクハラ癖」の内容を示す事実を認定しておりません、不満が残る部分は言葉の解釈の相違に過ぎず、基本的な主要部分での私の主張が認められており、妥当な判断が示されたと考えています。

 社会に多大な影響力を持つメディアは報道にあたり、十分な事実確認、適正な裏付けの確保を求められています。虚偽の情報の流布により人間の尊厳は大きく損なわれます。報道に関わるすべての言論機関、言論人にはこのことを改めて強く認識していただきたいと思います。

 法廷での闘いを含めて、違法な人権侵害の行為に対しては、今後も毅然とした姿勢で対応して参りたいと考えております。

山本隆行・サンデー毎日編集長の話

 当方の主張が一部認められなかったことは承服できない。速やかに控訴の手続きを進める。

毎日新聞に勝訴!「植草一秀氏名誉回復訴訟」判決 傍聴報告 | <center>植草さんの「名誉回復訴訟」に高い関心を示す、記者クラブの記者のみなさん</center>
植草さんの「名誉回復訴訟」に高い関心を示す、記者クラブの記者のみなさん
筆者の感想

 今回も植草さんが勝訴しました。しかし、判決で、原告にセクハラ癖があると認定したことについては、植草さんや弁護団と同じように、筆者もまったく納得できない、との感想を持ちました。植草さんは、平成10年、電車内で女性の両膝を触るなどしたとして、罰金5万円を支払っています。この事件1つでセクハラ癖があると認定したことは、どう考えても無理があります。

 しかも、この事件については、相手の女性の誤解から生じた可能性が極めて高いことが、植草さんの著書「知られざる真実―勾留地にて―」を読むとよくわかります。電車が揺れたとき、指先がほんの一瞬向かいの座席に座っていた女性の膝に触れ、たまたま通りかかった車掌にその女性が「この人、変なんです」と言ったことからこの事件は起きています。事情を説明しても納得してもらえず、駅の鉄道警察に連れて行かれ、警察に「女性の膝に触っただろう」と言われたので、「触ったのではなく、電車が揺れ時ほんの一瞬接触しただけだ」と答えると、押し問答になり、「触ったと言わなければ逮捕する」と大声で怒鳴られ、なおも押し問答が続き、「認めなければ逮捕する。泊っていけ」と言われ、恐怖感にかられて、「どうしたらいいのか」と聞くと「認めて上申書を書けば帰してやる。一切秘密にして外には漏らさないようにする」などと言われ、不本意ながら言われるままに上申書を書いたことなど、その経緯について植草さんは著書で詳細に述べています。

 罰金5万円を支払ったという事実があったとしても、その1つの事件をもって「セクハラ癖があった」と認定する裁判所の判断は、説得力に欠けており、恣意的なものさえ感じます。しかも、「性的な嫌がらせにより人間性を傷つける言動に及ぶ傾向があったと認められる」と決めつけ、「したがって、原告にセクハラ癖があるとの事実は真実であると認められる」などと結論づけています。 たった1回の、それも本人が否定している事件のみで、「セクハラ癖」があったなどと認定することは、非常識であり、少なくとも、この記事が書かれた時点では、ほかにはなんら事件を起こしていないのです(この記事が出たとき手鏡事件で逮捕されていたが、まだ起訴されておらず、植草さんは一貫して無実を訴えていた)。

 判決では、原告のセクハラ癖は真実と認められるが、「業界で有名」という部分は真実の立証がないから、不法行為が成立する、としています。「業界で有名」という部分については違法性を認めるが、「セクハラ癖はある」と認定する・・・。穿った見方をすれば、現在、上告審で審理をしている刑事裁判を意識した、極めて恣意的な判断による不当判決であると言わざるをえません。さらに、納得できないのは、被害の程度については、「この記事が掲載されたのは事件が起きた1ヶ月後であり、この事実はテレビなどで報道されていて一般人の知り得るところになっていたことから、社会的評価の低下の程度が大きいとは評価できず、原告がこうむった被害を慰藉するには30万円が相当である」とし、弁護士費用の3万円を加算し、33万円の支払いを命じていることです。

 この記事が掲載された「サンデー毎日」が発行されたのは、事件の1ヶ月後ではなく、12日後の4月20日です。まだ手鏡事件で起訴されていない段階で、新聞社が発行している週刊誌に「セクハラ癖」とか「業界では有名」などといったことを書かれることが、植草さんにとってどれほどの不利益を被ることになるか、裁判所がいうように「慰藉するには30万円が相当」という結論には、到底なり得ないことは自明の理です。あまりに配慮を欠いた判断であるといわざるをえません。

 毎日新聞はこの判決を不服として控訴の手続きを進めるとのコメントを出していますが、今回の判決で違法性を問われた記述について、その事実を立証することができなかったことを謙虚に受け止め、毎日新聞に求められているのは、控訴ではなく、植草さんに対する謝罪であることを、よく理解してほしいと思います。

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