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取材はたった1日だった!「植草一秀氏名誉回復訴訟」証人尋問

ひらのゆきこ2008/04/25
日本 裁判 NA_テーマ2

目次
P1.刑事裁判は東京高裁で控訴棄却
P2.取材期間は1日だった


取材期間は1日だった
 次に、弁護団が質問したのは、04年4月12日の共同通信の配信で事件を知り、その4日後に「フライデー」が出ていることから、入稿日はいつか、また、どのような取材をしたのか、ということと、逮捕された時点で有罪と決め付け、犯罪前提で取材をし、記事が書かれていることに対する報道姿勢のあり方についてでした。

 K記者に対する証人尋問を通して明らかとなったのは、取材期間がわずか1日か2日であったこと、「変質的な犯罪をなぜ起こしたのか」といった断定的な書き方など、問題となっている記述の信憑性も含め、この記事が予断をもって書かれたものであるということでした。

 反対尋問をしているとき、裁判官からもK記者に対して質問がありました。最初に、左陪席の裁判官が、入稿日について質問をすると、K記者が「14日」と答えました。(共同通信の配信が12日だったので)13日に取材をしたのか、と聞くと、「12日夜から(取材を)スタートした」と答えました。1日だけの取材で十分だと思ったのか、それとも、また取材をするという認識があったのか、という質問については明確な答弁はありませんでした。

 再度、弁護団が質問に立ちました。警察関係者が「おおむね正しいよ」と言ったのはいつか、と聞くと、K記者は「えーと……」と言いながら、少し考え、「14日」と答えました。「14日の何時ごろか」と重ねて聞くと、「昼前後」と答えました。「具体的な内容を聞いたか」と聞くと、「(植草さんの)前歴を書きたかったのでなく、どういう人間だったかを書きたかったので、(具体的な内容には)重きをおかなかった」と答えました。

裁判長 ライターに裏づけはとったのかと質問
 次に、石井裁判長から、初めの情報は警察担当の新聞記者から聞いた13日か、という質問がありました。K記者が「夜中」と答えると、「夜中というのは」と石井裁判長が聞き返したので、「13日になっていた」と答えました。問い合わせたのは現職か、と聞くと、「はい」と答え、その人から内部の現職の人に聞いてもらったのか、と聞くと、「はい」と答えました。

 さらに続けて、「どうしてそういう情報を出せるのか、聞かれた人は」と聞くと、K記者は答えることができませんでした。本来出せない情報をもらうのか。正面から取材をしても教えてもらえないから裏づけがとれないのか。返答に窮しているK記者に、石井裁判長が裏づけのとれない理由を聞くと、K記者が「裏づけとは?」と聞き返しました。石井裁判長が「聞いた話が本当かどうか」と言うと、K記者は「人間が信頼できる」としか答えることができませんでした。

 その情報を載せることによって、どんな効果があると思ったか、という質問に対しては、「その時点での事実を補足していく人間関係を示すことができた」と答えました。この前歴のことを書いたのは「フライデー」が最初かと聞くと、「同様の報道を共同通信がしている」と答えました。

弁護団 最終準備書面の提出を申し出
 証人尋問のあと、弁護団から最終準備書面を提出したいとの申出がありました。被告代理人からも提出書面についての申出がありました。石井裁判長からは、被告側が時効を主張していることから、原告側は反論はできるか、という質問がありました。弁護団は「できる」と答えました。次回期日(6月9日)を決め、予定時間の12時を5分ほど過ぎ、閉廷しました。

 裁判のあと、弁護団に「時効」について聞いてみました。被告側は、問題の「フライデー」が出たのは平成16年4月16日なので、時効(3年間)を主張しているそうです(提訴は平成19年4月19日)。本が出た日から換算すると3日ほど過ぎていますが、植草さんがこの記事のことを知ったのはもっとあとなので、「時効にはかからない」と弁護団は考えているということでした。

筆者の感想
 名誉回復を求める民事訴訟の口頭弁論を何回か傍聴していますが、記事を書いた記者の証人尋問を傍聴したのは今回が初めてでした。K記者は、懇意にしている警視庁担当の記者から、「過去7、8回の同様の行為で厳重注意を受けた」という話を聞き、その情報が正しいかどうか、旧知の警察関係者に確認したそうです。

 その警察関係者が、過去の犯罪歴にアクセスできる人に調べてもらい、「まあ、そうだ」「おおむね正しいよ」などと言ったので、その情報は正しいと思い、記事を書いたと証言しました。また、自分1人ではなく、複数(2名)の記者が同様の情報を得たことも、その情報を信じた理由であると述べました。

 情報の裏づけを取ったのかという質問に対しては、「懇意にしている」とか、「信頼している」といった説得力に欠ける答弁を繰り返し、その情報が事実であるかどうか、質問者を納得させる具体的事実を示すことはできませんでした。

 K記者は、ほかの2名の記者も同様の結果を得たと言っていますが、その2名の記者もK記者と同じような経緯を辿って情報を入手したのだとしたら、旧知の警察関係者からの情報と同じように、その情報が正しいと信じた理由にはならない、との感想をもちました。

 一方の当事者ともいえる立場の人から得た情報を、裏づけもとらず、あたかも事実であるかのように書いたK記者(とその取材班)の報道姿勢が厳しく問われるのは当然ですが、わざわざ内部の人に調べてもらい、K記者に「おおむね正しいよ」と言ったとされる警察関係者についても、かりに犯罪履歴なるものが実際にあったとしたら、その発言の真贋も含め、機密に値するような内部情報を勝手に外部に漏らしたことは、厳しい処罰の対象になるのではないか、との感想をもちました。
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