累積赤字が21億円を超える塩釜市立病院(同市香津町)の経営改革策を検討していた「今後のあり方審議会」(会長・本郷道夫東北大教授)は29日、予算、人事、給与の権限を市から病院事業管理者に移行することなどを盛り込んだ答申書を佐藤昭市長に提出した。
同審議会は、国の公立病院改革ガイドラインなどに基づき市が設置。医療関係者ら11人が5月から6回の会合を開いた。
同病院は45年開院。15診療科を常勤医師17人が担当する。しかし、市民の約半数が仙台など塩釜市外の医療機関を利用することなどから赤字経営が続き、05年度には医業収益に対する不良債務比率が136・5%となり、全国の公立病院中ワースト4まで悪化した。市は「再生緊急プラン」として人件費削減などに取り組んでいるが、昨年度末の累積赤字は21億3000万円に上る。
答申では、これまで市が決定権を持っていた予算、人事、給与について病院事業管理者に移行することを提案。病院業務に精通する専門性の高い職員の育成などを求めた。
また、具体的な数値目標として▽病床数を現在の199床から161床に減らし、利用率を64・8%(昨年度)から90%以上とする▽高度な医療を提供し、入院患者1人当たりの単価を2万6500円(同)から全国平均の2万7500円に引き上げる▽1日当たりの外来患者を170人(同)から200人に増やす--などを提示。そのうえで、3年後の11年度までに経営が改善されない場合は、独立法人化や指定管理者制度への移行や民間委譲も検討すべきとした。
佐藤市長は「病院の置かれた状況を理解してもらい、市民に市立病院を利用してほしい」と話した。【伊藤絵理子】
毎日新聞 2008年10月30日 地方版