就職セミナーを受ける学生たち。就職戦線はにわかに厳しさを増してきた=28日午後、大阪府内の私立大学、高橋一徳撮影
大学3年生の就職活動はまさにスタートしたばかりだ。28日、商社の企業説明会を受けてきたという和歌山大教育学部3年の女子学生(20)は「説明会でも景気の影響で採用は減ると言われた。不安なので、公務員試験の勉強もしています」。
奈良県立大(奈良市)の就職指導室では、3年生に早めに就職活動を始めるよう指導するつもりだ。「学生には公務員など別の進路を考えることも指導したい」と担当者は話す。
就職支援サイト「リクナビ」の岡崎仁美編集長は「売り手市場は08年春入社でピークを超えた」とみる。流通や外食産業を中心に採用計画の見直しが進み、来春採用の内定者が採用予定数に満たなくても補充しない企業も増えてきた。岡崎さんは「大学3年生が就職する10年春の採用では、募集するかさえ決められないでいる中小企業も多い」と話す。
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〈内定取り消し〉 厚生労働省によると、内定は雇用を保障する労働契約と認識されている。だが、内定の定義は厳密ではないため、解雇のように労働基準法で厳格に制限されているわけではない。最高裁判例では「客観的に合理的と認められ、社会通念の上で相当と是認できる場合」に限り取り消しができるとしている。同省は、企業経営の悪化などが合理的な理由といえるかは、個々のケースで判断するしかないとしている。